北朝鮮は、世界で唯一の「税金のない国」を謳っている。 故金日成主席は1974年2月、朝鮮労働党中央委員会第5期第8次全員会議において、「古い社会の遺物」である税金制度を完全になくすことについて討議、決定することを指示。それを受けて最高人民会議は同年3月、「税金制度を完全になくすことについて」との法令を発表し、4月1日に世界初の税金のない国になったことを宣言した。この日は「税金制度廃止の日」に定められている。 しかし、インフラの使用料、募金などの名目で、法的根拠のない物品が税金 ...

北朝鮮の国営・高麗航空は今月22日、平壌北京線の運行を3年7カ月ぶりに再開、隔日で運行されている。また、ロシアのウラジオストクからの便も25日に再開された。 陸路は16日に再開しており、滞在期間が終わっても帰国できずにいた留学生、派遣労働者、貿易関係者の帰国ラッシュとなっている。ただ、家族との再会を喜ぶ嬉しいものではなく、気が重くなるもののようだ。 (参考記事:在中国留学生の北朝鮮帰国がついに始まる) 久しぶりの帰国したとたん、空港から国家保衛省(秘密警察)の要員により連行さ ...

北朝鮮が先月31日に強行した軍事偵察衛星の打ち上げが失敗に終わったことで、韓国メディアの報道には「幹部の責任が問われるのではないか」との論調が見られる。 特に「危ない」と見られているのが、朝鮮労働党中央軍事委員会の李炳哲(リ・ビョンチョル)副委員長だ。空軍司令官出身の高官である李氏は同月29日、打ち上げ実施の宣言を発表。この計画の責任者であると考えられている。 「許されぬ領域」 仮に、李氏の指揮に落ち度があって打ち上げが失敗したと少しでも疑われた場合、金正恩総書記は何らかの罰 ...

北朝鮮の「尊敬するお嬢さま」こと、金正恩総書記の娘、キム・ジュエさん。国営の朝鮮中央通信は19日、金正恩氏の国家宇宙開発局の現地指導に同行するジュエさんの写真を配信した。 また、15日の太陽節(故金日成主席の生誕記念日)に合わせて行われた内閣と国防省対抗のスポーツ大会も観覧する写真を公開するなど、記事では言及しない場合にも、その動向を頻繁に伝えている。 (参考記事:金正恩氏、娘と「太陽節」記念スポーツ大会を観戦) まだ10歳の彼女だが、国民受けはかなり悪い。米政府系のラジオ・ ...

韓国統一省は3月31日、脱北者500人余りの証言に基づき作成した北朝鮮人権報告書を公開した。 韓国政府は2016年に施行された北朝鮮人権法に基づき、聞き取り調査を開始され、翌年から報告書を毎年まとめていた。これまでは脱北者の個人情報漏えいの恐れや北朝鮮の反発を考慮して非公開とされていたが、北朝鮮の人権問題に積極的な尹錫悦政権が公開に踏み切った。 妊婦が躍る動画 報告書には、殺人などの凶悪犯罪だけでなく、薬物取引や韓流コンテンツの視聴・流布、宗教や占いなどの迷信行為など、様々な ...

これまでにも本欄で言及したことだが、北朝鮮の朝鮮労働党法務部は今年4月4日、「反動思想文化排撃法違反少年に対する意見対策案」という提議書を中央に提出。金正恩総書記による1号批准を受けた上で、8日から全国の司法機関、安全機関に対し、韓流コンテンツなどを隠れて視聴していた少年らに対する処罰を緩和するよう指示を下した。 平壌と黄海南道(ファンヘナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、反動思想文化排撃法に違反したとして摘発される人が急増している中で、大量の未成年を思想犯にするわけに ...

北朝鮮の国営朝鮮中央通信は10日、「国の戦争抑止力と核反撃能力を検証、判定し、敵に厳重な警告を送るための朝鮮人民軍戦術核運用部隊の軍事訓練が、9月25日から10月9日まで行われた」と、一連のミサイル発射をまとめて報じた。 これは、定例の米韓合同軍事演習「ウルチ・フリーダム・シールド」を受けてのものだが、訓練に合わせて、一般国民に対して15日分の食糧を備蓄せよとの指示が下され、兵士に対しては「今すぐに戦争が起きるかもしれない」として、万全の体制を整えよとの指示が下された。 「食 ...

北朝鮮の金正恩総書記の妹、金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長は、10日に開かれた全国非常防疫総括会議で、国内に新型コロナウイルスが流入したのは、韓国から脱北者が送り込んだビラなどが汚染されていたことによるものとして、韓国に対する報復を示唆する内容の発言を行った。 この様子は、国営メディアを通じて報じられたが、その内容に、北朝鮮国民からは不満の声が上がっている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えた。 「威厳がない」 平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋は、1 ...

2016年、ロシアのハバロフスクで、ひとりの北朝鮮労働者が現場から逃げ出す事件が発生した。この労働者は発見され、監視役として派遣されていた保衛部員(秘密警察)に連行され、見せしめのためひどい暴行を受けた。 監視役は労働者が再び逃げられないようにアキレス腱を切ったり、掘削機で足を叩き潰したりするなど、非道の限りを尽くしたと伝えられている。 (参考記事:アキレス腱切断、掘削機で足を潰す…北朝鮮労働者に加えられる残虐行為 ) それから5年経ったが、実例の報告はないものの、同様の「指 ...

北朝鮮の金正恩総書記に「影武者がいる」との情報がネットを中心に流れている。金正恩氏は9月9日に行われた建国73周年の閲兵式に登場した。かなりスリムになった上に、独特のヘアスタイルにも大きな変化があった。また、どうやら祖父である故金日成主席に似せるためのメイクを施していることから、「別人では?」という印象を与えたようだ。 金正恩氏は、極端な神秘主義を取った父の故金正日総書記と異なり、自らの写真をあけっぴろげと言えるほど積極的に公開している。そのため、写真の比較による検証も容易だ ...

かつて、北朝鮮の外貨稼ぎビジネスの花形だった北朝鮮レストラン(北レス)。一時は中国国内に100を超える店舗を構えていたが、経済制裁やコロナ禍の影響で多くの店が閉店した。 その後、一部は営業を再開したものの、今度は新型コロナウイルスで観光客が激減。もがき苦しみつつ営業を続けていたが、逆にその頑張りが閉店の危機を招いてしまったと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。 (参考記事:ウラジオストクの北朝鮮レストラン、コロナ不況で相次ぎ閉店) 丹東の中国朝鮮族の情報筋に ...

新型コロナウイルスに対して、「病的」なほどの恐怖心を示す北朝鮮。不確かな情報による対策を行う事例がしばしば報告されている。その一つが猫の抹殺だ。 「ウイルスを持ったまま国境を越えて中国からやってきて国内で広めかねない」との理由で野良猫に対して抹殺令を下す一方で、ペットとして飼われている猫に対しても、殺処分を行うように指示を下した。 必死で隠す その結果、ネズミが増える結果をもたらしたという。ローマ教皇インノケンティウス8世が1484年、猫はサタンの化身で汚れた存在だと宣告した ...

今年3月。北朝鮮北東部の山奥の村で、女子高生が殺害される事件が起きた。その残忍な手口に加え、犯人の正体が明らかになり、地域社会に衝撃が走っている。事件が起きたのは、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の明川(ミョンチョン)。核実験場があった吉州(キルチュ)郡の豊渓里(プンゲリ)から、山を一つ隔てたところにある。 郡の安全部(警察署)近隣のマンションの近くで3月28日夜、帰宅途中だった17歳のヤンさんが、男に襲われ性暴力を受けた。彼女は大声で助けを求めたが、それに逆上した犯人によって惨 ...

北朝鮮・咸鏡北道(ハムギョンブクト)穏城(オンソン)郡の南陽(ナミャン)労働者区。地名だけ聞いてもピンとこない読者も多いだろうが、豆満江を挟んだ対岸は、中国吉林省延辺朝鮮族自治州の図們市だ。北朝鮮を間近で眺められ、アクセスもしやすいことから、中国の国内外から多くの観光客が訪れるところだ。 国門と呼ばれる図們税関の高さ11メートルのゲートの屋上に登ると、古ぼけた南陽の町並みや人々の営みが手にとるように見える。観光用として、税関のそばに建てられた朝鮮式の伝統家屋などが立派に整備さ ...

長期化する経済制裁に新型コロナウイルス対策の国境封鎖が重なったことで、経済難のいっそうの深刻化が伝えられる北朝鮮。1990年代の大飢饉「苦難の行軍」の時と同様、治安悪化の様相も表れている。 だが庶民の困窮が増している一方で、一部の富裕層はやりたい放題を続けているようだ。脱北者で東亜日報記者のチュ・ソンハ氏が自身のYouTubeチャンネルとブログで、北朝鮮の金持ちの息子が起こした猟奇的な連続殺人事件について伝えている。 2代目ボンボン それによると、事件は昨年8月に発覚した。 ...

北朝鮮医学界の最高峰、平壌医科大学を震撼させた集団性暴力事件。エリート学生の性奴隷にされ、自ら命を絶った被害女子学生の母親は、不正行為の通報制度である信訴を使い、捜査と加害者に対する処罰を求め続けた。 しかし、その切実な訴えは無視され続けた。長い闘いの末、訴えがようやく取り上げられ、加害者は処刑、信訴を握りつぶしていた責任者やその家族ら60人が首都・平壌から追放される処分を受けた。まさに死屍累々の展開である。 (参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為) ...