米国が今年、韓国から受け取り、ロシアと戦争中のウクライナに供給した155ミリ砲弾量が、すべての欧州諸国の供給量を合わせたものより多いという報道が出た。 米紙ワシントンポストは4日、今年のウクライナ戦争の膠着状況を振り返る深層企画記事で、韓国製の155ミリ砲弾がウクライナに間接支援された過程を紹介した。 今年初め、米国の生産量では月に9万発以上が必要なウクライナの需要の10分の1強しか満たせないという判断が出ると、ホワイトハウスのジェイク・サリバン国家安保補佐官は、弾薬を大量に ...

北朝鮮には、特別市、道ごとに輸血所(献血センター)があり、無償で血液を提供する献血と、有償の売血が並行して行われている。売血の代償は100グラムあたり2000北朝鮮ウォン(約34円)、または飴か砂糖だった。 売血するのは主に親から経済的援助を受けられず生活の苦しい若者や、経済的に苦しい人々が多かった。しかし最近になって売血する人の数が減り、地方の病院では輸血用の血液や血漿が不足する事態となっている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。 平安北道(ピョンアンブク ...

中国で、人身売買の犠牲となる北朝鮮女性が後を絶たない。オランダの国際法律事務所「グローバル・ライツ・コンプライアンス」の今年4月の報告書によると、中朝国境沿いにいる脱北女性は数十万人に達し、その7〜8割が人身売買の被害者であるとした。 望まぬ性産業に従事させられる人がいる一方で、中国人男性に買われ、強制結婚させられる人もいる。 (参考記事:中国奥地で売られた「少女A」の前に現れた救世主) 両者の間に生まれた子どもは、黒孩子(無戸籍の子ども)となり、教育や福祉を受けられないケー ...

ロシアのウラジオストクに駐在する北朝鮮外交官の家族2人が行方不明になっており、脱北した可能性が取り沙汰されてから2週間が経つ。ウクライナ侵攻を支持する北朝鮮とロシアは結びつきを強めており、2人が現地当局に摘発されれば、第三国に逃れることは絶望的だ。 近年、北朝鮮を脱出して韓国などに亡命する脱北者の数は減り続けている。金正恩政権が国境の管理を厳しくしているほか、中露と米国の対立が、北朝鮮の立場を相対的に強化していることも影響している。 金正恩政権の初期までは、違った理由で亡命が ...

北朝鮮の首都・平壌の北にある平原(ピョンウォン)、粛川(スクチョン)、文徳(ムンドク)など、「十二三千里平野」と呼ばれる穀倉地帯。南北40キロ、東西20キロの大きな平野地帯で、地平線の見える朝鮮半島でも数少ない地域だ。 この地域の農場では先月、都市部の学生が多数動員され、一気に田植えを行う「田植え戦闘」が行われたが、参加者のほとんどがその後、発熱や吐き気、下痢などの症状を訴えた。田植え戦闘の失敗は食糧難の深刻化を招くが、一体何が起こったのか。 平安南道(ピョンアンナムド)のデ ...

北朝鮮の北東部、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の会寧(フェリョン)と清津(チョンジン)で、住民を対象とした筆跡調査が行われた。 しばしば行われるこの手の調査、その理由は一体何なのだろうか。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。 会寧(フェリョン)の情報筋は、今月5日から保衛部(秘密警察)と安全部(警察署)が市内の機関、企業所、人民班(町内会)を対象にして筆跡調査に乗り出したと伝えた。ところが、その理由は知らされていないという。 筆跡調査は、主に反政府的な投書や落書 ...

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は、14日付の紙面に掲載した天気予報の記事を通じ、今後に対する危機感を露わにした。 気象水文局兼中央気象予報台の沈明玉(シム・ミョンオク)副台長によると、6月下旬には高気圧の影響を受け、同月末からは気圧の谷の影響で全国的に雨となり、7月上旬、中旬には北西太平洋高気圧と梅雨前線の影響で蒸し暑くなりそうだ。 平均気温は22.7度で、平年の22度より若干高く、昨年の23.3度よりはかなり低くなりそうだ。また、全国の降水量は220ミリから260ミリに ...

12歳から15歳の孤児を収容する北朝鮮の孤児院「中等学院」。現在運営されているものの多くは、金正恩総書記の「子ども愛」をアピールするために新たに開設、または復活させられたものだが、その環境は良いとは言えず、逃げ出す子どもも少なくない。 両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)市の施設では、脱走した少女3人が鴨緑江を越えて中国に逃げ込もうとしていたところを、国境警備隊の隊員に捕まる事件があった。 逃げ出した少女らは拘束された当時、多くの市民が見守る中で「学院に連れ戻されたら殺される ...

「性暴力被害は女性の落ち度」という風潮のある北朝鮮では、未婚女性の妊娠、出産に対しても風当たりが強い。国からの支援も受けられず、生まれた赤ん坊を捨てたり、両親が密かに養子に出したりすることも少なくない。 また、深刻化する少子化対策として金正恩総書記は、避妊と妊娠中絶を禁止する命令を出したと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じている。 そんな中、妊娠してしまった高級中学校(高校)2年生の女子生徒が自ら命を絶つ痛ましい事件が起きてしまった。咸鏡南道(ハムギョンナムド ...

鉱物資源が非常に豊富なことで知られる北朝鮮には、金、銀、銅、鉛、マンガン、石灰石など200種類が埋蔵されている。ただ、それぞれの埋蔵量は明確でない。北朝鮮の2005年の調査によると、採掘可能な石炭の埋蔵量は60.7億トン。一方で、韓国の工業振興公社の2003年の推算によると30億トン。このように「鉱物天国」とも言える北朝鮮だが、採掘の現場は地獄そのものだ。 労働環境は極めて悪く、重大事故が頻発する。誰も行きたがらず、革命化(下放)や追放の行き先、つまり流刑先として使われている ...

「内務署員」「社会安全員」「保安員」「安全員」――警察庁に当たる組織の改称に合わせて北朝鮮の警察官の呼称は変わってきたが、庶民から、常に恨みを買い続けていることには変わりない。 1980年代より前の北朝鮮では、庶民が彼らに楯突くなど考えられなかったが、今では安全員と住民の間のトラブルも絶えない。その結果、安全員本人はもちろん、家族まで報復殺人の犠牲となることが増えている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が、最新情報を報じている。 (参考記事:狙われた“罪なき妻”…金 ...

北朝鮮が先月31日に強行した軍事偵察衛星の打ち上げが失敗に終わったことで、韓国メディアの報道には「幹部の責任が問われるのではないか」との論調が見られる。 特に「危ない」と見られているのが、朝鮮労働党中央軍事委員会の李炳哲(リ・ビョンチョル)副委員長だ。空軍司令官出身の高官である李氏は同月29日、打ち上げ実施の宣言を発表。この計画の責任者であると考えられている。 「許されぬ領域」 仮に、李氏の指揮に落ち度があって打ち上げが失敗したと少しでも疑われた場合、金正恩総書記は何らかの罰 ...

朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の内部事情に詳しいデイリーNKの現地情報筋によると、軍総参謀部は今年1月、軍官(将校)を対象として行われる「土曜学習」の資料で、ある女性兵士が複数の男性将校および兵士により性的暴行を受けた事件について説明し、再発防止を強く訴えたという。 18歳の女性新兵が被害者となったその事件の様相は、資料を見た将校らが一様に顔をしかめるほど残忍なものだったという。 北朝鮮軍で、女性新兵が性暴力の「多重被害」を受けた具体例は過去3年間に、デイリーNKが把握したものだけで ...

度を越したゼロコロナ政策に基づいた国境封鎖、貿易停止がもたらした北朝鮮の深刻な食糧難。一部ではかなりの餓死者を出していると言われ、北朝鮮各地にいるデイリーNKの内部情報筋はいずれも深刻な状況を伝えている。 ゼロコロナ政策がもたらしたのは餓死だけではない。カネ欲しさ、食べ物欲しさと思われる犯罪が激増していることが伝えられている。首都・平壌では、10代の少女が行方不明となる事件が起きた。平壌のデイリーNK内部情報筋が伝えた。 (参考記事:「杭に縛られた美女が…」社会不安の北朝鮮で ...

韓国政府は最近、脱北者500人余りの証言を基に作成した2023年版の北朝鮮人権報告書を公開した。 同政府は北朝鮮人権法が制定された翌年の17年から同報告書を毎年発刊していたが、これまでは非公開だった。その理由については表向き「脱北者の個人情報漏えいの恐れや北朝鮮の反発を考慮したため」とされているが、北朝鮮との融和を掲げた文在寅前政権(2017~22年)が、金正恩総書記に忖度したためだろう。 報告書は、北朝鮮の老若男女が様々な暴力にさらされている実態を明らかにしているが、未成年 ...

中国との国境に接する北朝鮮の両江道(リャンガンド)は、中国との貿易や密輸で地域経済が成り立っていた。ところが、北朝鮮政府は2020年1月、新型コロナウイルスの国内流入を防ぐために国境を封鎖、いっさいの貿易を停止させ、国境警備を今まで以上に強化した。 これにより地域は極度の不況に陥り、モノ不足と食糧不足が深刻化。しばしば出される封鎖令(ロックダウン)と相まって、一部地域では人口の1割近い餓死者を出すほどの状況となった。 この状況の打開に最も求められるのは国境が再び開き、貿易が再 ...