深夜の鴨緑江に銃声が響き渡った。北朝鮮の社会安全省(警察庁)は昨年8月、中国との国境線や、その1〜2キロ以内の緩衝地帯に許可なく接近すれば、人であれ動物であれ無条件で銃撃するとの布告を出した。 人と物の行き来を完全に遮断することで、新型コロナウイルスの国内侵入を完全に防ごうというものだが、布告のせいで銃弾に斃れる人が相次いでいる。 市民らショック 今月11日にも、20代の若者が撃たれて死亡する事件が両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)で起きたが、そのやり方の残酷さに地元住民 ...

地元住民とのしがらみでまともな国境警備ができないとの理由からか、国境警備隊に成り代わって派遣された朝鮮人民軍の特殊戦部隊、通称「暴風軍団」。 粗暴な振る舞いや頻繁なトラブルで、地元住民からすっかり嫌われてしまったようだ。撤収命令が出されていたが、建設予定のコンクリート壁と高圧電流の流れる電線が未だに完成に至っていないため、現在も国境地域に留まっている。 (参考記事:金正恩の特殊部隊 「ポンコツ」過ぎて中朝国境から撤収) 咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によ ...

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は21日、「全国の大家庭の慈悲深いオボイ(親)であらせられる敬愛する金正恩元帥様に謹んで申し上げます」というタイトルのつけられた長文の手紙を掲載した。 「8月1日と2日の間に降った大雨で家を失い行き場を失ったものの、母なる党の限りなき愛を胸熱く受け取ったわれわれは敬愛する元帥様に一気に走り寄り、感謝のご挨拶、クンジョル(ひざまずいてお辞儀)を捧げたい気持ちを押さえられず、謹んでこの手紙を送ります」の一文で始まるこの手紙、差出人名は、「水害被害 ...

北朝鮮の労働現場の映像を見ていると、ワゴン車に積まれたスピーカーから威勢のいい声で何かを叫びつつけている一団をよく見かける。現地で「扇動隊」と呼ばれているものだ。正式には「機動芸術宣伝隊」と呼ばれ、1961年に故金日成主席の指示に基づいて発足した。 工場、企業所、協同農場、建設現場を周り、朝鮮労働党の政策を宣伝し、歌って踊って労働意欲を高めるのが目的で、優秀な隊には賞が与えられる。 (参考記事:北朝鮮で18年ぶり宣伝活動家大会…金正恩氏が書簡) どんな効果があるのか甚だ疑問だ ...

北朝鮮の高位幹部たちの間で、金正恩総書記が新型コロナウイルスのワクチン接種を受け、強い副反応が出たとする噂がささやかれているという。 デイリーNKの内部情報筋が伝えたところによると、「(金正恩氏は)5月、地方の特閣(別荘)でワクチン接種を受け、高熱や嘔吐など強い副反応が出たため、しばらく静養を余儀なくされた」というのがその内容だ。また、金正恩氏と直接会う高位幹部100人余りもワクチンを接種したとされているという。 (参考記事:【動画】金正恩「死亡映像」が北朝鮮で拡散…当局厳戒 ...

昨年1月のコロナ鎖国以降、北朝鮮当局は国境警備を今までになく強化し、脱北と密輸を完全にブロックしようと躍起になっている。国境地帯の兵力まで増員したものの、うまくいかなかなかったため、1400キロに及ぶ中国との国境にコンクリート壁と高圧電流の流れる電線を設置するという、とてつもない計画をぶち上げた。 ところが、コロナ鎖国による物資不足で、予定した10月10日の朝鮮労働党創建日までの完成など夢のまた夢。空き缶と空き瓶を紐でぶら下げ、人が接近すると音がするという原始的な仕掛けを設置 ...

北朝鮮の朝鮮中央通信は22日、「平壌市1万世帯住宅」建設を鼓舞する絵画の創作活動が活発に繰り広げられているとする記事を配信した。 平壌市1万世帯住宅は、「普通江川岸段々式住宅区」とともに、金正恩氏が今年3月に打ち出した建設プロジェクトだ。 万寿台(マンスデ)創作社、中央美術創作社、平壌美術大学などの作家による創作作品には、「決死貫徹」「現場治療隊」「見舞いの手紙」「徹夜作業」などがある。建設現場の労働者や兵士を鼓舞する目的で作られているらしいが、むしろ危険な作業が行われている ...

北朝鮮当局は先月から、一般住民を対象に若者の思想教育が重要だという内容の政治講演会を行っている。しかし、住民の反応は極めて冷淡だと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じている。 咸鏡北道(ハムギョンブクト)清津(チョンジン)の教育分野の情報筋は、最近になって、若者の政治思想教養事業の重要性が強調されるようになり、先月から中央の指示に基づき、住民向けの政治講演会で学生、生徒の思想教養問題が最重要課題として取り上げられるようになっていると伝えた。 しかし、教育が大切と ...

白頭山密営は、金日成主席率いる抗日パルチザン部隊が本拠地としていた場所で、実際は旧ソ連(現、ロシア)のハバロフスクまたはウスリースク近郊で生まれた金正日総書記も、北朝鮮の正史ではこの地で生まれたことになっている。 金正恩総書記につながる「白頭の血統」にとっては「聖地の中の聖地」であり、多くの国民が踏事(一種の巡礼)に訪れる。そこで、とんでもない事件が起きた。 両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋によると、三池淵(サムジヨン)市安全部(警察署)所属の白頭山密営分駐所( ...

いずれも美貌で評判だったという彼女らは元々、「5課対象」だった。中央党(朝鮮労働党中央委員会)5課は、いわゆる「喜び組」など金正恩総書記の身辺の世話をする要員の選抜・管理を行っている。 (参考記事:山に消えた女囚…北朝鮮「陸の孤島」で起きた鬼畜行為) かつての中国では、学校卒業後の就職先は、国から割り当てられるものだった。これを「統包統配」と呼んでいたが、各国有企業は終身雇用の余剰人員を大量に抱え込むこととなり、また、働き口のない若年層失業者が解消することはなかった。 改革開 ...

故金日成主席は生前、こんな「マルスム」(お言葉)を残している。 「子どもたちはわが国の宝です。未来の朝鮮はわれわれの子どもたちのものです」(金日成 1989.4.15) しかし、そんな言葉とは裏腹に、北朝鮮では多くの子どもたちが勤労動員、金品の供出などの義務を押し付けられ、教育の機会を奪われている。また、昨今のコロナ鎖国下の経済難の犠牲となっているが、それは就学前の子どもとて同じだ。 咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えてきたのは、著しい生活苦のはてに起 ...

北朝鮮当局が最近、違法薬物と「わいせつ物」を体制の脅威となる「悪性腫瘍」とみなし、撲滅に向けた全面戦争を宣言したと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。 平安北道(ピョンアンブクト)のある住民はRFAに対し、次のように説明した。 「今回の薬物乱用と性不良行為に対する取り締まりは、国家保衛省(秘密警察)の主導で今年1月から全国的な規模で実施されている。これまでと異なり、布告文や指示文を通じて一般住民に警告する手順を省略し、不意に現場を急襲する手法で行われてい ...

韓国紙・東亜日報記者で脱北者出身のチュ・ソンハ氏が、自身のYouTubeチャンネルとブログで朝鮮人民軍(北朝鮮軍)総政治局38部なる組織について語っている。 北朝鮮にはこれと似た名称の、朝鮮労働党39号室という部署がある。こちらは金正恩総書記の独裁資金を管理するセクションだ。では、軍総政治局38部は何をやっている部署か。 チュ氏によれば、38部は金正恩氏とそのファミリーが利用する「特閣」「招待所」と呼ばれる邸宅や別荘を管理しているという。特閣や招待所は、平壌市内とその周辺だけ ...

北朝鮮の朝鮮日本軍性奴隷・強制連行被害者問題対策委員会(被害者対策委)は今月15日、日本が第2次世界大戦で敗北して76年となったのに際して、日本を非難する声明を発表した。 声明は、「日本帝国主義の殺りくと強奪蛮行によって、840万人余りに及ぶ罪なき朝鮮人が日帝の戦場と苦役場へ、『慰安所』へ連れて行かれて獣にも劣る奴隷暮らしを強要され、100余万人が無残に虐殺された」と主張。 続けて「日本が20世紀に40余年間わが国を占領し、朝鮮人民に計り知れない人的・物的・精神的被害を与えた ...

東端から西端まで1400キロに達する中国と北朝鮮の国境。今までは監視塔から肉眼で見張るのが関の山で、国境警備はザルそのものだった。北朝鮮当局は昨年1月、新型コロナウイルスの国内流入を防ぐために国境を封鎖したものの、それをあざ笑うかのように、脱北、密輸が各地で起きてきた。 それを効率的に防ぐために、金正恩総書記は国境線沿いにコンクリート壁を建設し、電線を設置して高圧電流を流し、平壌から5Gネットワークを使ってモニタリングするシステムの導入を命令した。当局は、朝鮮労働党創建日の今 ...

北朝鮮で1970年代、当時最高の人気を誇った芸能人集団「ピパダ(血の海)歌劇団」がキューバ公演に向かう途中、乗っていた旅客機が爆発し、全員が死亡する事故が起きていたことは以前に本欄でも言及した。 韓国紙・東亜日報記者で脱北者出身のチュ・ソンハ氏によれば、この情報は、単なる噂レベルのものではない。金正日総書記の側近だった崔益奎(チェ・イクキュ)元党宣伝扇動部副部長が執筆し、北朝鮮国内で出版された『主体(チュチェ)芸術の嚮導性』という書籍の中で、ごく短くだが言及されているという。 ...