「飢えた特殊部隊員」が国の食糧庫を襲撃…北朝鮮軍の末期症状

地元住民とのしがらみでまともな国境警備ができないとの理由からか、国境警備隊に成り代わって派遣された朝鮮人民軍の特殊戦部隊、通称「暴風軍団」。

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粗暴な振る舞いや頻繁なトラブルで、地元住民からすっかり嫌われてしまったようだ。撤収命令が出されていたが、建設予定のコンクリート壁と高圧電流の流れる電線が未だに完成に至っていないため、現在も国境地域に留まっている。
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咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、暴風軍団に対する食糧供給が滞りがちになっている。民間人と良好な関係が築けていれば、何らかの支援が得られるが、鼻つまみ者の彼らに救いの手を差し伸べようとする民間人はいない。

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地域住民は、暴風軍団に対してとにかく冷たい。

「暴風軍団の兵士の間からは『人民から水一杯もらうのも大変だ』という言葉が漏れ聞こえる。国の仕事をしに来たのに、国境地域では『治安隊』扱いされ、立つ瀬がない」(情報筋)

ちなみに治安隊とは、朝鮮戦争当時に、韓国軍と国連軍が占領した地域で行政や治安を担当した組織のこと。「アカ」の監視・摘発を行い、虐殺に及ぶことも少なくなかったため、北朝鮮ではならず者の代名詞のようになっている。

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店に行っても「売る品物はない」と追い返されたり、ぼったくられたりと散々な扱い。また、国境警備隊なら可能な「ツケ」も、暴風軍団の兵士はしてもらえない。さらには、密輸で生計を立ててきた地元住民から「こんなに苦しい思いを強いられているのは、誰のせいだ」と露骨に罵られる有様だという。

また、国境警備隊とは異なり、食糧を調達してもらえる中国の密輸業者とのコネもない。さらに、常駐しているならば副業地(部隊所属の畑)があるが、一時的に派遣されているだけなので、それすらない。
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そんな彼らのたどり着いた窮余の策は、泥棒だ。

道内の会寧(フェリョン)では今月初め、暴風軍団の兵士3人が、会寧市保衛部(秘密警察)の壁を乗り越えて忍び込み、倉庫から食糧を盗み出す事件が発生した。すぐにパトロール中だった保衛員に見つかり、現場で逮捕され、除隊処分を受けた。

現役の兵士が保衛部の倉庫を襲撃するという前代未聞の事件に、3人の所属する大隊の大隊長、政治指導員、保衛指導員3人も責任を問われ撤職(更迭)、大隊人員そのものが今月中順に総入れ替えとなった。

この事件が知られるきっかけとなったのは、朝鮮労働党中央軍事委員会の講演資料に、国家機関の食糧に手を付ける深刻な法的問題、国境地域で起きている規律の乱れに警鐘を鳴らすという意味合いで掲載されたことだ。

軍内部では、暴風軍団の撤収を急ぐべきとの声が高まっている。また、暴風軍団の指揮部も、駐屯期間が長期化するにつれ、任務の遂行が困難になり、思想的乱れにより兵士の脱北が発生するかもしれないとして、1日も速く撤収すべきだと考えているとのことだ。

しかし上述の通り、コンクリート壁、高圧電線の工事が、資材不足による遅々として進んでおらず、撤収はむしろ予定より遅れるのではないかと見られている。

その工事だが、一般の兵士に任せると脱北されてしまうかもしれないとの理由で、軍官(将校)が作業に当たるという状況になっている。
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さて、会寧付近におけるコンクリート壁、高圧電線の工事の進み具合だが、稼働に欠かせない変圧器を国が供給せず、各道の労働党、人民委員会(道庁)、軍が自力更生で調達せよとの無責任な指示が下されている有様だ。決して安くない変圧器を大量に購入するほど財政的に余裕があるはずもない。

コンクリート壁、高圧電線は、朝鮮労働党創建日の10月10日までに完成させよとの指示が下され、同月1日から国境に接する咸鏡北道、両江道(リャンガンド)、慈江道(チャガンド)、平安北道(ピョンアンブクト)で、労働党中央委員会、内閣、国家保衛省の合同検閲組(監査班)が工事に進み具合を評価することになっているが、不合格となれば、暴風軍団の撤収はさらに遅れるだろう。