北朝鮮の金正恩総書記が、今年1月の朝鮮労働党第8回大会で提示した「国家経済発展5カ年計画」。その達成に欠かせない労働力を確保するとして、北朝鮮当局は兵士の兵役を短縮して集団で送り込む「集団配置」を行ったり、都市部に住む若者に「嘆願」の形で半ば強制的に農村、炭鉱に送り込んでいる。日本で言うところの「Iターン」のようなものではなく、島流しそのものだ。 デイリーNKの内部情報筋によると、中央の指示に基づき、平安南道(ピョンアンナムド)の平城(ピョンソン)市で農村進出者選抜事業が行わ ...

北朝鮮には現在、確認されたものだけで8つの管理所(政治犯収容所)が存在する。 平安南道(ピョンアンナムド)价川(ケチョン)の14号と17号管理所、収監者が核実験場関連の労働に従事させられていたと伝えられている咸鏡北道(ハムギョンブクト)化城(ファソン)の16号管理所に加え、最近新設されたと伝えられる黄海北道(ファンヘブクト)の平山(ピョンサン)管理所、首都・平壌郊外の勝湖里(スンホリ)管理所などがある。 (参考記事:核実験場に消えた政治犯たち…金正恩氏「被ばく強制労働」隠ぺい ...

かつての日本の天皇がそうだったように、北朝鮮の最高指導者は「神聖にして侵すべからず」の存在だ。たとえ故意ではなかったとしても、その権威に泥を塗る行為をしてしまった者には、過酷な罰が待ち構えている。その命令に歯向かうなど、もってのほかだ。 (参考記事:金正恩氏の「高級ベンツ」を追い越した北朝鮮軍人の悲惨な末路) さて、極度の食糧難に襲われている北朝鮮だが、金正恩総書記は、6月の朝鮮労働党中央委員会第8期第3回総会で、軍糧米の放出、配給を行うよう特別命令書を出したと伝えられている ...

北朝鮮の金正恩総書記は29日、第7回全国老兵大会の参加者らとともに記念写真を撮影した。朝鮮中央通信が伝えた。 同通信の報道全文は次のとおり。 金正恩総書記が第7回全国老兵大会参加者と共に記念写真を撮る 【平壌7月30日発朝鮮中央通信】朝鮮労働党総書記で朝鮮民主主義人民共和国国務委員長である敬愛する金正恩同志が7月29日、第7回全国老兵大会参加者に会って彼らと共に記念写真を撮った。 敬愛する金正恩総書記の出席の下に盛大に行われた全国老兵大会で烈火の情と信頼に満ちた祝賀演説に接し ...

ワック(輸入取扱い枠)の申請を受け付けるなどの動きはあったものの、本格的な再開には至っていない中朝貿易。「もう待ちきれない」としびれを切らした一部貿易会社が、当局の許可なく貿易を再開している。 ところが、社会安全省(警察庁)傘下の貿易会社が、コメと医薬品を輸入したところ、密輸扱いにされ摘発された。社長には無期懲役の判決が下されるものと見られている。 (参考記事:北朝鮮警察系の貿易会社社長、コメと医薬品の密輸で無期懲役) 一方、デイリーNK内部情報筋によると、先月から朝鮮労働党 ...

北朝鮮は4月、体育省が運営するウェブサイトを通じ、「悪性ウイルス感染症(新型コロナウイルス)による世界的な保健危機状況から選手たちを保護するため」として、東京五輪・パラリンピックへの不参加を表明した。国際オリンピック委員会加盟国としては、唯一の不参加だ。 また、五輪開幕後の25日には対外宣伝メディアの「黎明」が、日本政府が東京五輪を「帝国主義の復活に利用している」と非難する談話を公開。多難な中でも各国の代表が久しぶりに集った祭典から、ひとり距離を置いている。 しかし国民はと言 ...

1990年代後半の北朝鮮を襲い、数十万人が餓死に至らしめたとも言われる大飢饉「苦難の行軍」。その後、市場経済化の進展などで食糧事情は徐々に改善し、食うや食わずの状態は完全に脱していたが、国際社会の制裁や、昨年1月からのコロナ鎖国で事態は再び悪化。金正恩総書記は、食糧不足を公式に認めると同時に、軍糧米の放出、配給を行うよう特別命令書を出したと伝えられている。 (参考記事:「配給にカネ払えとはどういうことだ」金正恩命令に国民から批判) 食糧難の根底にあるのは、国内の穀物需要すら満 ...

北朝鮮と韓国は27日、昨年6月から断絶していた南北間の通信連絡線を、同日午前10時から再稼働させると発表。同時刻に板門店と西海地区の軍通信線で通話を行った。南北共同連絡事務所と東海地区の軍通信線は、技術的な問題から再開が遅れたが、順次再稼働するという。 北朝鮮は昨年6月9日、韓国の脱北者団体による対北ビラ散布に反発し、南北間のすべての通信連絡線を一方的に遮断。同月16日には開城工業団地内に置かれていた南北共同連絡事務所を爆破した。韓国側は現在、ソウルで共同事務所の業務を行って ...

昨年1月からのコロナ鎖国で、極度の食糧難に陥っている北朝鮮。 金正恩総書記の特別命令で、軍糧米を民間人に有償配給する事態となっているが、糧が少なく「焼け石に水」といった状況だ。そんな中で治安が極度に悪化、覆面の武装集団が金持ちの家を襲撃していると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。 (参考記事:「鳥のエサを食えと言うのか」金正恩の特別配給に庶民の不満爆発) 咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、コロナ鎖国の経済的困窮で強盗事件が多発し、少しでもカネが ...

昨年12月の最高人民会議常任委員会第14期第12回総会で採択された「反動的思想・文化排撃法」。当初は韓流や外国の情報に接することを取り締まるものだと知られていたが、その内容が知れるにつれ、実は非社会主義現象(社会主義にそぐわない風紀紊乱行為)を広く取り締まる法律であることがわかりつつある。 北朝鮮の最高裁にあたる中央裁判所のチョン判事も、そんな法律の犠牲になった一人だ。その容疑の内容は、他の国ではまず違法に問われないものだった。 平壌のデイリーNK内部情報筋によると、チョン判 ...

北朝鮮の金正恩総書記は、6月の朝鮮労働党中央委員会第8期第3回総会で、食糧難に喘ぐ国民に軍糧米を配給せよ、との特別命令書を発したとされている。 それに基づき各地で配給が始まっているが、人々から不満の声が上がっている。その代表例が「手に入れられない」というものだ。一体どういうことなのだろうか。 デイリーNKの内部情報筋によると、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の清津(チョンジン)、会寧(フェリョン)など道内各地で今月9日から配給が始まった。しかし、配給とは言え無料でもらえるのではな ...

北朝鮮の地方に住む人々は、「トゥエギバッ」と呼ばれる小さな畑を持っている。国の配給システムが崩壊し、自らの力で食べ物を手に入れることを迫られた人々は、自宅の裏庭を畑にしたり、山を切り開いて畑を造成、作物を育てて自宅で消費するようになった。余った農産物は、市場で販売し現金収入となる。 ただ、個人の土地所有を認めていない北朝鮮は、事あるごとにこれらの畑を奪い取ろうとし、トラブルになってきた。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は、当局がこれら土地の調査を行うことについて報じ ...

「我が民族が自らの固有の言葉と文字を持っていることは、われわれの大きな自慢であり、巨大な力です」 デイリーNK取材班は、このような金日成主席のマルスム(お言葉)が冒頭に掲げられた北朝鮮の教養資料を入手した。これは朝鮮人民軍(北朝鮮軍)総政治局が今年7月に出した雑誌「軍人生活」に掲載された「朝鮮の国の象徴 国語」というタイトルの文章だ。 文章は、北朝鮮の標準語に当たる「文化語」について、「首領様がた(金氏一家)が、革命の首都の平壌の言語を基準にして民族語に転換、発展させられた」 ...

社会主義を標榜する北朝鮮にも、宝くじがある。最も一般的なものは「体育抽選」と呼ばれるスポーツくじだ。北朝鮮の対外向けプロパガンダサイト「朝鮮の今日」によると、スポーツくじは1986年から始まり、詳細は不明ながら「種目当て」、「番号当て」、「勝敗当て」に加え、スクラッチタイプも存在し、当選者は賞金ではなく液晶テレビ、洗濯機、自転車などの商品がもらえる形式だ。かつての中国の宝くじと似た形式だ。 これ以外の宝くじ的な性格を持ったものとしては「抽選制貯金」というものがある。銀行に預金 ...

北朝鮮の金剛山観光地区には、韓国の現代グループが巨額の投資を行い完成させたホテルなどがある。韓国から直接訪れる形の観光が行われていたが、2008年に韓国人観光客が朝鮮人民軍(北朝鮮軍)兵士に射殺される事件が起きたのをきっかけに、中止されている。 それから11年。一昨年の10月に現地を訪れた金正恩総書記は「見るだけでも気分が悪くなる」と、韓国側が建設した施設の撤去と、新たな開発を指示した。しかし、今に至るまで開発はおろか、施設の撤去すらできていないと、デイリーNKの内部情報筋が ...

北朝鮮北東部の咸鏡北道(ハムギョンブクト)では先月28日、地元の党委員会が食糧問題の解決に向けた会議が開かれたが、軍事境界線を挟んで韓国と接する黄海南道(ファンヘナムド)でも、同様の会議が開かれた。 黄海南道は、北朝鮮の代表的な穀倉地帯だ。しかし2012年には、金正恩氏の最高指導者就任の祝いを平壌で大々的に行うために、食糧が根こそぎ持ち去られ、2万人とも言われる餓死者を出すという悲劇が起きている。 農民の暮らしはそれほど脆弱であり、当局の出方次第では多くの人々が奈落の底に突き ...