「民間人が兵士を袋叩きに」”強がり”北朝鮮軍の悲惨な内情

東端から西端まで1400キロに達する中国と北朝鮮の国境。今までは監視塔から肉眼で見張るのが関の山で、国境警備はザルそのものだった。北朝鮮当局は昨年1月、新型コロナウイルスの国内流入を防ぐために国境を封鎖したものの、それをあざ笑うかのように、脱北、密輸が各地で起きてきた。

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それを効率的に防ぐために、金正恩総書記は国境線沿いにコンクリート壁を建設し、電線を設置して高圧電流を流し、平壌から5Gネットワークを使ってモニタリングするシステムの導入を命令した。当局は、朝鮮労働党創建日の今年10月10日までの完成を命じたが、工事は遅々として進んでいないようだ。
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両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋は、現地ではコンクリート壁、高圧電線の建設に必要な資材の4割しか確保できていないと証言した。国家経済5カ年計画が進められる中で、人民経済(民生経済)にも様々な資材を供給する必要があり、コンクリート壁や高圧電線の工事にまで資材が行き渡っていないのだ。

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工事には朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の建設総局、工兵局、道路局の兵士が相当数動員されているが、資材の不足で日々の建設ノルマが満たせない状況だ。

工事遅延のもうひとつの原因は、補給の不足だ。

「食べ物が不足して、兵士たちが民家に押し入って強盗を働き、人を殴ったり殺したりして、軍の労働連隊、教化所(軍刑務所)送りになるケースも多い」(情報筋)

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現場に派遣された兵士に充分な食糧が与えられず、空腹に耐えかねて犯罪に走るケースは、今までも当たり前のように起きてきたが、今回も同じような状況となっているようだ。
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ちなみに、兵士たちは犯行を働き逃走を図るものの、栄養失調で走れず、住民に捕まって袋叩きにされ、病院送りにされる情けない有様だという。いくら核兵器を手にして「強いふり」をしたところで、内情はこんなものなのだ。
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ひどい栄養失調で、腹部が膨満した兵士たちが多数いるのに、建設部隊の指揮部は、上部に食糧支援を要求すれば、全国的な食糧難の中で何を言っているのかと責任を問われることを恐れ、何も言えずにいるという。結局、多くの兵士は山に登って葛を掘り出し、糊口をしのいでいるという。

中には、コンクリート壁建築用の資材を密かに売り払って、食糧を確保する者もいる。

「兵士を食べさせなければならないが、後方のイルクン(補給担当の幹部)の手中には何もなく、中央も助けてくれないので、鉄筋、セメント、砂を売り払い、ジャガイモやトウモロコシを買って食べさせている」(情報筋)

今のところ、現地には上部からの検閲(監査)が入っていないため、こんな手法が可能だが、非常にリスキーではある。企業所の責任者が従業員を食べさせるために、資材を横流しして逮捕される事例が相次いでいるからだ。
(参考記事:北朝鮮当局、労働者を餓死から救った「庶民の英雄」を逮捕

しかも、商人には足元を見られて買いたたかれるが、言い値で売らざるを得ない。商人は買い取った資材を2〜3倍の値段で住宅や工場の建設現場に売り払い、差額を儲けている。これがかなりの儲けになるようで、いくらでも資材を買い取るそうだ。
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資材がないかと思えば、急に入ってくることもある。両江道の金亨稷(キムヒョンジク)郡、金正淑(キムジョンスク)郡、三水(サムス)郡の現場には、急に大量に資材が運び込まれ、現場に派遣された内閣突撃隊は、大慌てでノルマに合わせた工事を行うために、1日18時間働いて、現場の特殊地形に合わせて基礎工事を完了させたとのことだ。