ドングリは、日本ではあまり食用として使われないが、お隣の朝鮮半島ではよく食べられる食材だ。 韓国では、粉にして水にさらしてアクを抜いたものをコンニャクのように固めて、醤油、ニンニク、ネギなどをかけて食べる。しかし、あくまでも食卓を彩る様々な小皿料理の一つに過ぎない。 これが軍事境界線の北側に北朝鮮になると事情が異なる。国際社会の制裁、相次ぐ自然災害に加え、昨年1月からのコロナ鎖国で深刻な食糧難に陥っている北朝鮮で、ドングリは貴重な食べ物だ。朝鮮労働党は直々に「ドングリ戦闘」を ...

コロナ以前には日本海の大和堆周辺で、大々的な操業を行っていた北朝鮮の漁船団。海上保安庁が2019年に警告を与えた北朝鮮漁船は1308隻にのぼった。ところが、昨年からその姿が忽然と消えた。 (参考記事:北朝鮮漁民「100年前の船」で無謀な出漁…日本の漁師から同情の声も) それもそのはず。北朝鮮当局が出漁を禁じたからだ。金正恩総書記が海水からの新型コロナウイルスの感染拡大を恐れてのことだと伝えられているが、海に頼って生きてきた多くの人々が生活苦にあえいでいる。そんな人々が遂に行動 ...

北朝鮮の警察庁に当たる社会安全省が、新型コロナウイルス対策として、国境線及びそこから1〜2キロの緩衝地帯に許可なく接近すれば無条件で銃撃するとの布告「北部国境封鎖作戦を阻害する行為をしないことについて」を出したのは昨年8月。 それ以降、密輸、脱北、密入国を試みる者はもちろんのこと、そうとは認識できずに川に近づいてしまった障害を持った女性、人間の定めた国境など気にせずに行き交う野生動物などが、次々に犠牲になっている。釣り、水汲み、洗濯などで生活と密着していた国境の川が、近づけば ...

世界最悪の人権侵害国家と言われる北朝鮮を末端で支えている組織といえば、安全部(警察署)と保衛部(秘密警察)だ。 特に保衛部は、金正恩体制の恐怖政治を支える役割を担い、拷問や公開処刑、政治犯収容所の運営を担当してきた。 そして、その要員たちは絶大な権限を振りかざし、暴言、暴行は当たり前で、何かに付けて庶民からワイロを搾り取ってきた。 (参考記事:女性芸能人たちを「失禁」させた金正恩氏の残酷ショー) そんな彼らがぬくぬくと暮らしているかと言えば、必ずしもそうではない。恨みを買って ...

社会安全省(警察庁)は昨年8月、国境地帯の住民に対して、国境沿いに許可なく接近すれば、人であろうが動物であろうが無条件で銃撃するとの布告を出した。それ以降、人間、野生動物を問わず発見され次第撃ち殺される事態が続発している。 中でも、国境警備のために派遣された朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の特殊部隊の暴風軍団は、素行が悪く、次から次へと人や動物を射殺しており、地元民に恐れられている。 そしてまた、食糧難の中、食べ物欲しさに国境を超えた人が命を落とした。 (参考記事:「気絶、失禁する人が ...

北朝鮮がミサイル実験、核実験、軍事パレードなど軍事力を見せつける行為を行い、人民が喜びの声を上げ大会を開き、国営メディアがそれを伝える。今まで何度も繰り返されてきた流れだ。 2016年2月の長距離弾道ミサイル「光明星4号」の発射実験の後、首都・平壌では数十万人の市民が動員され、関係者を歓迎するパレードが行われ、2017年9月の大陸間弾道ミサイル(ICBM)搭載用の水爆実験では、全国各地で軍民慶祝大会が開かれた、と言った具合だ。 (参考記事:北朝鮮各地で「水爆実験成功」を祝う大 ...

中国国境に接する北朝鮮の咸鏡北道(ハムギョンブクト)会寧(フェリョン)の民家で今月24日、中年男性の遺体が見つかった。遺体は死後10日ほど経ち、左腕に刃物で刺した傷があることから、自ら命を絶ったものと結論付けられたようだ。 亡くなったのは、50代男性のキムさん。一体彼に何が起きたのか、現地のデイリーNK内部情報筋が詳細を語った。 彼は、北朝鮮で超のつくエリートである空軍パイロットだった。20年あまり勤め上げた後で、上佐(中佐と大佐の間)で除隊した。その後、故郷の会寧に戻って、 ...

秋の収穫が本格化した北朝鮮。国営メディアは、各地の収穫の状況を伝えると同時に、強風、大雨、雹による収穫物への被害が発生しているとして、収穫を急ぐよう呼びかけている。 自然災害同様に、収穫物に被害を与える物がある。窃盗や横流しだ。 デイリーNKは最近、朝鮮労働党両江道(リャンガンド)委員会が今年7月初め、下部機関に配布した政治事業資料「わが党の崇高な愛が宿る糧穀取り扱い事業をより責任を持って行おう」を入手した。その内容は、食糧の窃盗や横流しは戦時法で裁くと警告するもので、今後、 ...

コロナ以前には日本海の大和堆周辺で、大々的な操業を行っていた北朝鮮の漁船団。海上保安庁が2019年に警告を与えた北朝鮮漁船は1308隻にのぼった。ところが、昨年からその姿が忽然と消えた。 (参考記事:北朝鮮漁民「100年前の船」で無謀な出漁…日本の漁師から同情の声も) それもそのはず。北朝鮮当局が出漁を禁じたからだ。金正恩総書記が海水からの新型コロナウイルスの感染拡大を恐れてのことだと伝えられているが、海に頼って生きてきた多くの人々が生活苦にあえいでいる。そんな人々が遂に行動 ...

北朝鮮国内にいるデイリーNKの取材協力者によると、同国内で「新型コロナウイルスのワクチン開発に成功した」との噂があるという。だが、仮に何らかの薬が開発されたのだとしても、同国がエビデンスが明確でない医薬品や健康食品を製造、輸出してきたことを考えると、今回の話も眉唾ものだろう。 結局、ワクチンは海外からの輸入に頼るしかないが、発展途上国へのワクチン普及を進める「COVAXファシリティ」を通じたワクチン供給を辞退している。 その理由は一体何なのだろうか。その一端を示す朝鮮人民軍( ...

北朝鮮の最高人民会議第14期第15回全員会議で、麻薬犯罪防止法が制定されたのは今年7月。以前から刑法に「不法アヘン栽培・麻薬製造罪」が存在したが、新たな法律を制定することで違法薬物、中でも覚せい剤に対する取り締まりを強化しようとする姿勢を改めて示した形だ。 実際に取り締まりは強化されており、平壌のデイリーNK内部情報筋は、反社会主義・非社会主義連合指揮部が違法薬物を取り締まりの対象とするや、社会安全省(警察庁)麻薬局が血眼になって次々に事件を摘発していると伝えた。その過程で「 ...

北朝鮮の金正恩総書記が、「平壌市1万世帯住宅」とともに提唱したメガプロジェクト、「普通江(ポトンガン)川岸段々式住宅区」。 経済制裁とコロナ禍、自然災害の三重苦で経済難が深刻化する中でも、金正恩氏がハコモノ建築にこだわるのは、手っ取り早く目に見える業績として示すことができるからだ。 そのしわ寄せは庶民のところに向かう。それは、金正恩氏自身が今年1月の朝鮮労働党第8回大会の結語で、犯罪行為だとした「税金外の負担」という形で現れる。自ら発した指示が、現場レベルで齟齬をきたしている ...

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は28日、「苦しく辛いときほど、思想教養事業を強化しなければならない」とのタイトルの記事を掲載した。「思想論の旗は革命闘争の全過程に常に掲げるべきだ」「特に今のような苦しく辛いときほど、さらに高く掲げるべきだ」などとしており、思想教育の重要性を強調し、それにより結束を図ろうという意図が読み取れる。 その一環だろうか、当局は各地で最高指導者の偶像化(神格化)のための施設のさらなる建設を指示したが、国民からは不満の声が上がっている。米政府系のラジ ...

徹底的な秘密主義を貫く北朝鮮では、他の国なら当たり前のように公開されている情報ですら秘密扱いとされ、下手に他人に漏らせば命取りになりかねない。 最近の例を挙げると、人民保安省内のすべての主要書類、機密文書、最高指導者に関する記録をアーカイブに保管している紀要連絡所の所長が、国勢調査の結果を妻に話したことで噂が広がり、公開処刑された件がある。 (参考記事:金正恩の極秘情報をたまたま知った「平凡な主婦」の悲惨な運命) そしてまた、「どうでもいい書類」のせいで、貴重な人命が奪われよ ...

北朝鮮国営の朝鮮中央通信は29日、国防科学院が前日午前、北部・慈江道(チャガンド)に位置する龍林(リョンリム)郡の都陽(トヤン)里で、新たに開発した極超音速ミサイル「火星8」型の試射を行ったと明らかにした。北朝鮮はこのところ、新型ミサイルや新たな発射方式による試射を繰り返している。 韓国軍合同参謀本部によれば、北朝鮮は28日午前6時40分ごろ朝鮮半島東の海上に向けて飛翔体を発射したと発表。飛翔体は発射直後に高度30キロまで上昇し、一定区間放物線を描いて下降した後、低高度の水平 ...

「髪の毛を売ってくれないか」 路上でいきなりそんなことを言われたら、多くの人はギョッとするだろう。しかし、北朝鮮では必ずしもそうではないようだ。人毛を使って製造するカツラは、つけまつげなどと並び、国際社会の経済制裁に抵触せずに堂々と輸出できる製品のひとつであり、海外にはかなりの需要があるようだ。 ところが、髪の毛を切って渡すだけのはずが、身ぐるみ剥がされる事件に発展してしまったと、デイリーNK内部情報筋が伝えた。 (参考記事:北朝鮮の女囚を苦しめる「拷問人形」と性暴力) 事件 ...