今年3月に北朝鮮で始まった「平壌市1万世帯住宅」の建設事業。深刻な食糧難に見舞われている北朝鮮で、不要不急のプロジェクトのように思えるが、ハコモノの建設が目に見える成果として取り扱われるお国柄だけあって、是が非でも進めなければならないのだろう。 そして、またいつものように、無理な工事の進め方のせいで、多くの人の命が次々に失われている。 デイリーNK内部情報筋が伝えた、住宅建設現場での先月の死者数は14人。年齢は18歳から23歳で、いずれも外部の美装工事中の転落事故で死亡したと ...

昨年9月に北朝鮮を襲った台風9号(メイサーク)により、国内最大の亜鉛の産地、咸鏡南道(ハムギョンナムド)端川(タンチョン)市の検徳(コムドク)鉱山では甚大な被害が発生した。 現場の事情に疎い朝鮮労働党委員会が、作業員を早急に撤収させるべきとの現場の声を無視したことで、多くの人命が失われる結果を生んだ。その後、復旧作業が続けられていたが、最近の大雨でまた被害を受けてしまったと、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。 昨年の災害後に建てられた復興住宅が大雨で崩壊。指揮部は、朝鮮労 ...

米国のNGO、北朝鮮人権委員会(HRNK)は先月、平壌の東側、勝湖里(スンホリ)にある第8号教化所(刑務所)に関する報告書を発表し、所内において深刻な人権侵害が行われていると訴えた。北朝鮮の教化所は性暴力の温床だが、それだけではない。HRNKによれば、所内では収監者が中国に輸出される人形の生産に当たっており、作業班ごとに割り当てられたノルマをこなせなければ、拷問を受けることもあるという。また、そうした作業に動員されているのは、主として女性収監者だとしている。 (参考記事:若い ...

近年、毎年のように自然災害による深刻な被害を受けている北朝鮮だが、今年も例外とはならなかった。8月に入ってから降り出した大雨で、全国的に深刻な被害が出ていると、各地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。 咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、低地帯にあるトウモロコシ畑が浸水、小学校5年生以上のすべての村人が、水をかき出す作業に動員されていると伝えた。 今回の浸水で、実る前のトウモロコシの根が腐り、人々は肩を落としているという。現地当局は、今回の災害は今後訪れる災 ...

北朝鮮の金徳訓(キム・ドックン)内閣総理(朝鮮労働党政治局常務委員)が、咸鏡南道(ハムギョンナムド)の水害復旧現場を視察したと、朝鮮中央通信が12日付で伝えた。 北朝鮮では毎年のように水害が発生しており、昨年は金正恩総書記が被災地を訪れた。今回、金正恩氏は平壌で開かれた会議などには出席しているが、例年に比べると地方への視察は激減している。一方、金徳訓氏の視察報道は8月に入って3回目となるなど、同氏の視察報道が増えている背景が注目される。 北朝鮮の内閣総理は実務官僚的なポストだ ...

10日から開始された米韓合同軍事演習に、北朝鮮が強く反発している。 朝鮮労働党中央委員会の金英哲(キム・ヨンチョル)部長は11日に出した談話で、「(韓国政府は)同族との和合ではなく外部勢力との同盟を、緊張緩和ではなく緊張激化を、関係改善ではなく対決という道を選択した」と指摘。 続けて、「われわれはすでに宣明した通りに、彼ら自らがどんなに危険な選択をしたのか、間違った選択によって自らがどんなにおびただしい安保危機に迫っているのかを時々刻々感じられるようにするであろう」と述べた。 ...

7月中旬に北朝鮮軍の女性兵士らの様子を撮影したとされる複数の映像がYouTubeで公開され、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が特集を組んでいる。 映像は、何らかの工事現場や畑で作業を行う女性兵士たちの姿を撮影したものだ。暑い夏の日に、これといった装備もなく、大きくて重そうな石を運んだり、農作業を行ったりする様子はいかにも辛そうだ。 もっとも、軍隊での生活は多かれ少なかれキツイ作業を伴うものだろう。断片的な映像を見ただけでは、彼女らの境遇がどういったものであるかはわか ...

国際社会の制裁、相次ぐ自然災害と対応するインフラの不足、昨年1月からのコロナ鎖国による営農資材の不足など悪材料だらけの北朝鮮農業。そこに、ロジスティクスの抱える問題が加わり、北朝鮮では、1990年代後半の「苦難の行軍」以来の食糧難となっていると伝えられている。 デイリーNKの現地情報筋によれば、食糧が底をついた「絶糧世帯」が各地で続出。平安南道(ピョンアンナムド)の价川(ケチョン)、新陽(シニャン)、陽徳(ヤンドク)などの農村地域では、約3割に達している。 あまりの惨状に、金 ...

北朝鮮当局が積極的に取り組んでいる非社会主義・反社会主義行為の取り締まり。当局が好ましくないとみなした行為にそのようなレッテルを貼り、死刑を含めた厳しい罰を与えることで、「社会主義の楽園」とやらを打ち立てようとしているが、取り締まっても取り締まってもきりがないのが現実だ。 そんな状況に業を煮やしたであろう当局は、動画を利用した非社会主義・反社会主義根絶のための教育を始めたと、デイリーNK内部情報筋が伝えた。 朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の総政治局宣伝扇動部のコンピュータ講演宣伝処で ...

北朝鮮の故金正日総書記は1980年代、「白桔梗(ペクトラジ)事業」の名の下にアヘン栽培を始めた。また、覚せい剤の製造にも手を染め、輸出して多額の外貨を稼ぎ出したのだが、それが横流しを通じて国内でも流通。 さらに、不足する医薬品の代用品として使われたりするなどして、中毒者が急増した。いつしか北朝鮮は、ジャンキーの国に転落してしまった。 (参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち) 2013年に刑法を改正し、「不法アヘン栽培・麻薬製造罪」を新設 ...

韓国の捜査当局は今月3日、北朝鮮の指令を受けてステルス戦闘機の配備に反対する運動を繰り広げたとして、市民団体出身の活動家3人を国家保安法違反の容疑で拘束。逮捕令状が交付されなかった他の1人と合わせ、活動実態に関する捜査を進めている。 韓国紙・朝鮮日報の報道によれば、捜査当局が家宅捜索で押収したUSBメモリーからは、 「(活動資金の)2万ドルを無事に受領した」と北朝鮮側に報告する内容の文書ファイルや、「米軍F35A戦闘機導入に反対する市民運動を展開せよ」という趣旨の指令文などが ...

中国との国境に接する北朝鮮・咸鏡北道(ハムギョンブクト)の茂山(ムサン)は、国内有数の鉄鉱石鉱山を擁することで知られている。 その茂山で先月中旬、鉱山で使う爆薬を製造する工場の支配人が逮捕された。これに対して、地域住民からは疑問の声が上がっていると、咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。 茂山郡安全部(警察署)に逮捕されたのは、茂山鉱山の「3.23工場」の支配人を務める50代のパク氏だ。容疑は過去数年にわたり、約4トンのディーゼル油を売り払い、私腹を肥 ...

今に至るまで国内における新型コロナウイルスの感染者の発生を公式に認めていない北朝鮮だが、感染が疑われる患者の隔離には非常に熱心だ。 背景には、医療・防疫体制が整っていないことから、国内で拡散した場合に対応できず、体制をも揺るがしかねないという危機感がある。しかしそれにしても、隔離病棟に入れられた人へのケアには無関心なようだ。 そんな中、コロナ感染の疑いで隔離された朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士2人が、誰からも看取られることなく、亡くなっていたことが判明したと、デイリーNKの平安 ...

実力行使と「抑圧テクノロジー」を駆使して、国民の不満を抑え込んでいる中国。台湾の『天下雑誌』は2018年、中国の公安部(警察庁)が発表した数字として、2005年の1年間に、前年より16%も増えた8万7000件もの抗議活動、労働争議などが起きていたと伝えている。 現在の発生件数は未公表だが、抗議活動、社会活動が活発だった胡錦濤政権時代と比べ、減少しているものと思われる。 為政者の立場からすると、世論を「アンダーコントロール」に置いている現在の中国。その手口を学ぼうと、北朝鮮が乗 ...

北朝鮮の社会安全省(警察庁)は昨年8月、新型コロナウイルスの国内流入を極度に恐れる金正恩総書記の指示に基づき、国境と接する緩衝地帯に無許可で近づく者には、無差別に銃撃を加えるとの布告を出した。 それ以降、国境付近で射殺される人が相次いでいる。そしてまた、尊い人命が失われてしまった。両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた事件の概要はこうだ。 (参考記事:北朝鮮兵は弾倉が空になるまで撃ち続けた…射殺された「ある恋人たち」の悲劇) 事件が起きたのは今月18日。両江道 ...

韓国の公共放送KBSは昨年8月、韓国国民1000人を対象に、南北統一に関する世論調査を行った。統一の必要性を問う質問に対し、「大きな負担さえなければ統一するのが良い」が44.2%で最も多く、次いで「相当期間現在の共存状態を維持すべきだ」が24.3%、「統一されないほうが良い」が16.2%で、「必ず統一されなければならない」は15.4%で最も少なかった。 統一に肯定的な人は2018年の66.0%から2020年には59.6%まで減少。年代別で見ると、最も多い50代では64.7%で ...