韓国土地住宅公社(LH)の職員が、文在寅政権が不動産価格抑制策の一つとして打ち出したニュータウン開発に絡み、値上がりが見込まれる建設予定地の土地を購入していたという不動産投機疑惑。住宅価格の高騰が政権の支持率を左右するほどのお国柄だけあって、この問題に対する韓国国民の怒りは強く、文在寅大統領は謝罪に追い込まれた。 韓国の不動産開発で頻繁に登場するのが、立ち退きに抵抗する住民を暴力的に排除する「用役(ヨンヨク)」と呼ばれる雇われチンピラ集団だ。そのあたりの事情は、軍事境界線の向 ...

警視庁は4月から、公安部の外事部門に朝鮮半島を担当する新たな課を設立し、現行の3課体制から4課体制に移行する。 これまでは外事1課がロシアなど欧州各国を、外事2課が中国と北朝鮮などアジアを、外事3課が国際テロ組織を担当してきた。4月からは北朝鮮担当部門が独立して外事3課となり、国際テロ担当は外事4課となる。これに伴い、中国・北朝鮮担当はともに増員されるという。 しかし率直なところ、これによって北朝鮮に対する情報収集力がどれほど高まるかは疑問だ。日本の北朝鮮に対する制裁強化で両 ...

香港のアクション映画全盛のころに子ども時代を過ごした人なら、周りの誰かがブルース・リーやジャッキー・チェンなどのマネをするというのは、見慣れた風景だったことだろう。そんな他愛もない子どもの遊びも犯罪扱いするのが今の北朝鮮だ。 昨年12月の最高人民会議常任委員会第14期第12回総会で採択された「反動的思想・文化排撃法」は、韓流など海外文化を取り締まるための法律だが、適用例が各地で相次いでいる。 咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、「事件」の発端はある高 ...

両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋は、国境警備隊第25旅団の隊員、軍官(将校)11人が先月20日、普天(ポチョン)郡の樺田里(ファジョンリ)で銃殺されたと伝えた。川向うの中国にも銃声が響き渡ったことだろう。 経緯は詳らかにされていないものの、最近まで行われていた検閲(監査)の結果に基づくもので、国境を守るべき国境警備隊員が密輸に加担する現象が根絶されないことに対して、当局は「もはや我慢できないという心情で、芽を摘むことにしたのだろう」(情報筋)ということだ。 新型 ...

立ち並ぶタワーマンション。きらびやかなネオン。店頭に並ぶ高級品の数々。「社会主義のショーウィンドー」とも呼ばれる北朝鮮の首都・平壌は、他の地方とは比べ物にならないほど豊かで、市民の生活レベルは中進国並みと言われてきた。 そんな平壌が最近、荒れに荒れている。 地方では、食べ物を求めて朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士が、農場や民家を襲撃するなどの犯罪が頻発している。そして長期化する経済制裁と新型コロナウイルス対策の国境閉鎖により、豊かだった平壌でも犯罪が多発するようになったと、米政府 ...

米国のバイデン政権が、北朝鮮の人権侵害に対する非難を強めている。ブリンケン国務長官が今月18日に韓国を訪問した際には、鄭義溶(チョン・ウィヨン)外相との会談に先立ち、「北朝鮮の体制は自国民に対して組織的かつ広範な虐待を続けている」と述べた。 人権問題で追及されることを、北朝鮮は最も嫌う。条件次第では放棄する可能性を検討できる核兵器と異なり、恐怖政治で国民を支配する北朝鮮の体制にとって、人権問題は体制の根幹に触れるものであり、交渉材料になり得ないからだ。 しかも、人権侵害には金 ...

幹部による不正行為の摘発キャンペーンを進めている北朝鮮の金正恩総書記。各地の様々な機関、工場、企業所に取り締まり班を派遣して検閲(監査)を行い、不正行為を摘発させている。 不正摘発は、普段から幹部の専横に苦しめられている庶民には受けのよい政策だ。当局は、次から次へと血祭りにあげられる幹部の様子が、コロナ対策による経済難に苦しむ庶民にとって、不満のはけ口になっているのを知っているのだろう。 (参考記事:北朝鮮税関80人、巨額の不正蓄財摘発で一部は収容所送り) 中国との国境に面し ...

北朝鮮は、他の旧共産圏同様に、労働意欲や体制の安定性を高めるために、国民に対して様々な称号を与える。中でも広く知られているのは「労力英雄」だろう。国の経済計画や増産キャンペーンで割り当てられたノルマを超過達成した者に与えられるもので、メダルとともに、第1級国家勲章、最高人民会議常任委員会の英雄証書が授与され、将来が約束される。 しかし、地位も未来もカネで買える今の北朝鮮では、一部の称号もカネ儲けの手段と化している。一例を挙げると、模範的な子どもに与えられる「金日成・金正日栄誉 ...

長期化する経済制裁に新型コロナウイルス対策の国境封鎖が重なったことで、経済難のいっそうの深刻化が伝えられる北朝鮮。1990年代の大飢饉「苦難の行軍」の時と同様、治安悪化の様相も表れている。 だが庶民の困窮が増している一方で、一部の富裕層はやりたい放題を続けているようだ。脱北者で東亜日報記者のチュ・ソンハ氏が自身のYouTubeチャンネルとブログで、北朝鮮の金持ちの息子が起こした猟奇的な連続殺人事件について伝えている。 それによると、事件は昨年8月に発覚した。犯人は、平安北道( ...

北朝鮮の金正恩総書記の妹、金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長は16日、米韓合同軍事演習を非難し南北交流協力の断絶を示唆する談話を発表した。これを受けて、北朝鮮国内では貿易などに携わる幹部の間で「世間知らずの間抜けな放言だ」とする非難の声が上がっていると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じている。 両江道(リャンガンド)の貿易機関のある幹部消息筋はRFAに対し、「3年前の春はもう戻らない、とする談話を読んでみたが、ものごとの前後も把握できないままやたらと放言 ...

北朝鮮の流通の中心地、平安南道(ピョンアンナムド)の平城(ピョンソン)にある市場を今月1日、内閣商業局の取り締り班が急襲した。ターゲットは、外国製品のニセモノの製造、販売をしていた業者だ。 平城は、ニセモノ製造技術が発達した地域の一つとして知られている。国家科学院平城分院など研究機関の技術者らが業者に雇われ、指導してきたためと言われている。 ニセモノ産業繁栄の「成果」として、平城の市場には鞄、靴、コートなど安価で良質な革製品が多く出回った。本物と区別できないほどの精巧さで需要 ...

慢性的な肥料不足に苦しめられる北朝鮮にとって救世主になるはずだった、平安南道(ピョンアンナムド)の順川(スンチョン)燐酸肥料工場。 金正恩総書記が昨年5月、その竣工式に出席したことを国営メディアが喧伝したが、実は式に合わせて外見だけ完成させたことが、デイリーNKの現地情報筋の報告で明らかになっている。 (参考記事:金正恩氏、未完成の工場で「テープカット」か…20日ぶり健在アピール) 竣工式と操業開始の順番が入れ替わるのはよくあることで、これだけでプロジェクトそのものが失敗した ...

一時期、日本のメディアで騒がれた「コロナ離婚」。ところが、厚生労働省の人口動態統計速報によると、2020年の離婚件数は19万6641組で前年比7.7%減少している。その一方で、結婚も12.7%減少した53万7583組だった。 コロナをきっかけにした離婚は全世界的な現象ではあるが、日本には必ずしも当てはまっていないということを統計は示している。韓国でも離婚、結婚とも3.9%、10.7%減少していることが、統計庁の資料が示している。 一方、「最近、離婚する人が多い」と述べた平安北 ...

北朝鮮にとって2020年は、台風の「当たり年」だった。4号(ハグピット)、8号(バービー)、9号(メイサーク)、10月(ハイシェン)の4つの台風が上陸または影響し、各地で甚大な被害が発生した。 金正恩総書記は被災地を訪れ、援助物資を送り、平壌の党員1万2000人を派遣して災害復旧、復興住宅の建設に当たらせるなど、様々な対応に出た。 黄海北道(ファンヘブクト)の銀波(ウンパ)郡は、金正恩氏が直接視察に訪れた被災地で、最も復興が進んでいても良いはずだが、そうはなっていないようだ。 ...

韓国が開発中の次期戦闘機KF-Xが、間もなくその姿を現す。 開発に取り組む韓国航空宇宙産業(KAI)は現在、6機の試作機を制作中だ。そのうちの1号機は間もなく塗装を終え、4月末までに一般公開される予定となっている。 韓国が自主開発する初の本格戦闘機であるKF-Xは、限定的ながらステルス性能を備える。韓国空軍は73年前、連絡機わずか20機をもって誕生した。他の先進国と比べ、歴史はずっと浅いのだ。そう考えれば、現状に至る発展スピードは速かったと言える。 しかしそれでも、空軍を見守 ...

北朝鮮の北部、両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)と三池淵(サムジヨン)に対して今月3日、4度目となる封鎖令(ロックダウン)が下されたが、恵山の封鎖はわずか24時間で解除された。 一度は都市封鎖を命じた中央が、「餓死者が続出する」と反対を示した地元当局の意を汲んで解除に応じたのだろうか。意思決定の過程は不明だが、両者とも地元世論の悪化にかなり敏感になっていることは確かだろう。 (参考記事:ロックダウンわずか1日で解除…北朝鮮「コロナ対策」の朝令暮改) 貿易都市で各地から多く ...