昨年12月4日の最高人民会議常任委員会第14期第12回総会で採択された「反動的思想・文化排撃法」。主なターゲットは韓流などの外国の映画、ドラマなどのエンタメコンテンツの視聴、流通と、海外のラジオの聴取だが、初の適用事例の対象は「性録画物」――つまりアダルトビデオだったようだ。 平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、摘発されたのは、新義州(シニジュ)在住の10代の男子生徒だった。「この生徒は親が留守にしている間に、密かに某有名女優が出演したAVを見ていた ...

昨年12月4日の最高人民会議常任委員会第14期第12回総会で採択された「反動的思想・文化排撃法」。 北朝鮮当局が体制を揺るがしかねないと考える、韓流ドラマ、映画などの韓流コンテンツ、海外の映像やラジオ放送、アダルトビデオ(AV)に対する取り締まりを強化するためのもので、最高刑は死刑だ。 朝鮮人民軍(北朝鮮軍)第3軍団の大佐が、自宅に韓国のドラマやバラエティ番組のファイルが保存されたUSBメモリを隠し持っていたことが発覚し、銃殺されたが、今度は民間人4人が一度に公開処刑にされた ...

米国務省が毎年発表している、世界各国の人身売買に関する報告書。国ごとの状況を4段階で評価している。アジアで最も評価の高いティア1に分類されたのは韓国、台湾、フィリピンだ。日本はタイ、インドネシアなどと並んでティア2。北朝鮮は最悪のティア3となっている。 北朝鮮に関して挙げられた項目は、8万人から12万人に達する管理所(強制収容所)の収容者に対する強制労働を含めた虐待、本人の意に反する職場配置や勤労動員、海外派遣労働者への虐待、搾取など多岐にわたるが、その一つに女性の人身売買に ...

北朝鮮の最高人民会議常任委員会が昨年12月に採択した「反動的思想・文化排撃法」は主に、韓流はじめ海外情報の流入を厳しく取り締まるのが目的と見られている。 しかし、韓国デイリーNKが入手した同法の説明資料によると、国内で制作された一部の映像作品や図書についても、視聴や所持が禁止されている。 北朝鮮の全体主義体制にとって海外の映像作品は、国民に「個人の自由」を認識させ、「こことは別の世界」への憧れを抱かせる危険なものだ。しかし人間は、自らが自由な存在であることを知るのに、必ずしも ...

北朝鮮の金正恩総書記は1月に開かれた朝鮮労働党第8回大会で、「社会生活の各分野で現れているあらゆる反社会主義的・非社会主義的傾向」を断固阻止すると宣言した。「非社会主義的」とは、北朝鮮当局が「社会主義らしくない」と考えるあらゆる事物を指す言葉だが、最近では韓流ドラマなど海外の映像作品が代表格とされているように見える。 ただ、過去に北朝鮮当局が行ってきた取締りの事例を見ると、摘発の対象となるのは必ずしも海外作品に限られない。むしろ国内で制作された、ある特定の性格を帯びたものの方 ...

北朝鮮のメディアは、権力の側が国民に押し付ける内容がほとんどで、人々が「知りたい」と望む情報はきわめて少ない。娯楽的な要素も少なく、事件や事故の報道は、有線ラジオの第三放送や、政治講演会において思想統制などに利用する価値のあるごく一部が伝えられるだけだ。 国民の多くが「禁制」である韓流にハマってしまう背景には、情報や娯楽への欲求を満たすだけのものを提供できない、情報政策の稚拙さがあると言えよう。 そうした欲求の空白を埋めているのが、口コミだ。人が数人集まりさえすれば、噂話に花 ...

中国国境に接する北朝鮮の両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)。 当局は、コロナ対策と称して、この地域に対する封鎖令(ロックダウン)を乱発。経済活動はおろか、外出すらままならず、ステイホーム用の食べ物が確保できなかった貧しい市民の餓死が相次いでいる。一時は合法、非合法の貿易・物流の中心地として活気に満ちていた町が、今では殺伐とした空気に包まれている。 そんな中で、凶悪な強盗殺人事件が発生し、市民が恐怖に震えていると、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。 現場を目撃 殺害された ...

北朝鮮で今年1月の朝鮮労働党第8回大会後、党中央委員会に新設された法務部が、教化所(刑務所)などの矯正施設を管理する社会安全省(警察庁)の高位幹部に対する検閲(監査)と処罰を断行した。 法や新たなシステムができた直後には、周知効果を狙ってあえて、目立つポジションにいる人物を吊るし上げにするのが北朝鮮の常套手段だが、今回の動きにもそのような目論見があるようだ。 デイリーNKの内部情報筋によると、法務部は先月28日、平壌市牡丹峰(モランボン)区域にある社会安全省教化局の運動場に、 ...

「協同農場でトラクターの部品、タイヤの盗難が増えている」 これは、平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた、首都・平壌にほど近いある農場の現状だ。 協同農場、国営の工場、企業所からの盗難が相次いだと言えば、1990年代後半の大飢饉「苦難の行軍」のころだ。食糧配給が止まり餓死者が続出する状況で、人々は設備、機械、備品など手当り次第に盗み出し、市場で売り払って食べ物を得ていた。そのような罪を犯して逮捕された人々は多くの場合、見せしめとして公開処刑にされた。まさ ...

韓国の情報機関、国家情報院は先月16日の国会情報委員会で、北朝鮮が兵役期間を男性は9〜10年から7〜8年に、女性は6〜7年から5年に短縮したとの情報を明らかにした。世界で最も長いと言われていた北朝鮮の兵役。依然長いとは言え、一時は13年に達していたことを考えると、かなりの短縮だ。 今年1月の第8回党大会で金正恩総書記が提示した「国家経済発展5カ年計画」の実行のための措置と見られるが、軍の一部からは反発が出たようだ。 (参考記事:「経済計画を狂いなく遂行すべき」北朝鮮紙、経済成 ...

北朝鮮の公道を走る車両は、ドイツ製の高級車メルセデスベンツの比率が高いとされる。車両の台数はかつてに比べ大幅に増えたとされるが、それでも諸外国よりはだいぶ少ない。その中にあって、ベンツが良く目立っているということだ。 一般の人々がクルマを所有するのが難しい状況下でも、朝鮮労働党や朝鮮人民軍、政府の幹部たちにはベンツがあてがわれているからだ。 そんな北朝鮮のクルマ事情の中で、ひときわ特別な存在となっているのが、イタリアのIVECO製のバスだという。秘密警察である国家保衛省の特別 ...

北朝鮮北部、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の会寧(フェリョン)で写真館を営むカメラマンが、秘密警察にスパイ容疑で逮捕される事件が起きた。 写真館の家宅捜索で発見された一連の写真が問題視され、重罪に問われる可能性が取り沙汰されている。 現地のデイリーNK内部情報筋によれば、事件が起きたのは2月20日のことだ。保衛部に逮捕された。容疑は「スパイ行為」だ。北朝鮮でスパイ罪の最高刑は死刑であり、良くても政治犯収容所送りとなる。 (参考記事:若い女性を「ニオイ拷問」で死なせる北朝鮮刑務所 ...

北朝鮮の朝鮮労働党組織指導部と軍事部は、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の第3軍団と第8軍団で、思想統制を担当する保衛・政治軍官(将校)を対象にした検閲(監査)を2月15日まで行っていた。 その翌日からは朝鮮人民軍連合指揮部が、軍官の自宅に対する抜き打ちの検閲を行った。その結果を受けて、50代の軍官が処刑された。彼を死に追いやった犯罪行為は、「韓流を見た」ということだった。 (参考記事:「もうガマンの限界」性上納強要や腐敗で北朝鮮軍内に危ない空気) 処刑されたのは、平壌郊外の南浦(ナム ...

1950年代の中国で行われた大躍進政策。15年以内に米国と英国に追いつくことを目標に、鉄鋼と農業生産量を大幅に増やすというものだった。しかし、お粗末極まりない政策の連続だった。 そのひとつがスズメの撲滅運動だ。農作物を食い荒らすからと、市民にスズメ退治を大々的に奨励したが、スズメがいなくなり生態系のバランスが崩れてしまったことでネズミ、バッタなどの害獣、害虫が激増し、農業生産は激減。数千万の餓死者を出す悲劇的な結末を迎えた。 それから60年。新型コロナウイルスが全世界で蔓延し ...

北朝鮮の秘密警察である国家保衛省は、政治犯収容所の運営や公開処刑を担う、恐怖政治の柱だ。「泣く子も黙る」とは、まさに彼らのことだ。 しかし、年を取り退職したOBたちの末路は悲惨であると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。 国家が支給する手当てが雀の涙ほどしかないうえに、彼らから監視、抑圧され、さらには拷問や虐待を受けた庶民が「冷たい報復」に出るからだという。 (参考記事:手錠をはめた女性の口にボロ布を詰め…金正恩「拷問部隊」の鬼畜行為) 平安南道(ピョン ...

北朝鮮は、中国との国境に接する地域に封鎖令(ロックダウン)を乱発している。両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)と三池淵(サムジヨン)に対して1月29日の午後5時から、30日間の封鎖令を発動した。 地元で発生した密輸事件により、新型コロナウイルスが中国から国内に流入、蔓延することを恐れたことによるものだ。しかし、18日目の今月15日午前0時に突如解除した。市民からの強い不満に抗しきれないとの判断があったものと思われる。 (参考記事:北朝鮮、1カ月の都市封鎖を18日で終了…背景 ...