元来、北朝鮮の国境警備を担っているのは国境警備隊だが、昨年、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の特殊部隊「暴風軍団」(第11軍団)が、国境警備の増強を図るために派遣された。 国境沿いの地元当局や住民とのしがらみがないことから、より効果的に国境警備を強化できると目論んでのことと思われるが、横暴な振る舞いやトラブル多発で、極めて評判が悪かった。 (参考記事:「20代の娘にとどめの銃撃」北朝鮮国民も激怒した衝撃場面) 暴風軍団は、国境沿いに建設が進められているコンクリート壁(コンクリートの柱に ...

北朝鮮において、金(ゴールド)の個人の所有は禁じられている。すべては国家の所有であり、つまりは独裁者である金正恩総書記とその一族の「財宝」も同然なのだ。 横領が発覚すれば重罪に処せられるが、ましてや密輸などすれば、公開処刑を免れないほどだ。それでも、密輸に手を出す人が後を絶たない。リスクは高くとも、それを上回るリターンがあるからだ。 金の密輸が発覚し、処刑を逃れるために脱北し、韓国まで逃げおおせる人もいる。 (参考記事:美女2人は「ある物」を盗み公開処刑でズタズタにされた) ...

北朝鮮の首都・平壌郊外の勝湖里(スンホリ)にあった第8号教化所(刑務所)。事実上の管理所(政治犯収容所)として一昨年に開設されたが、今年6月中旬に閉鎖されたことは、デイリーNKでも既報のとおりだ。 その後、軽犯罪を犯した特権層を収容する労働鍛錬隊として再編されたとのことだが、その措置は国際社会の目を意識したものだったようだ。 (参考記事:北朝鮮、政治犯収容所を「特権層」専用の刑務所に再編) デイリーNKの内部情報筋は、その理由を次のように説明した。 「勝湖里(管理所)が用途変 ...

北朝鮮の協同農場が営農資金を作るため「現金稼ぎ組」の運用に力を入れていると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。動員された農場員たちは海に出て漁をしたり、金鉱で金を掘ったりしているが、その中で痛ましい事故が発生しているという。 黄海南道(ファンヘナムド)のある住民はRFAに対し、「農場では農業に必要な資金を確保するために、各作業班から一部の農場員を選抜して金鉱や海に送って金稼ぎをさせている」と説明。さらに、「現金稼ぎ組はひとつの作業班35人の中から通常4~ ...

豊渓里(プンゲリ)核実験場で世界的に名前の知られた、北朝鮮の咸鏡北道(ハムギョンブクト)吉州(キルチュ)の農場で今月5日、住宅建設中に事故が発生した。幸いにして、死者は発生しなかったものの、その原因は、何千、何万人を死に追いやった、北朝鮮特有の病弊と共通する。 現地のデイリーNK内部情報筋によると、事故が起きたのは、吉州郡の日新(イルシン)労働者区の協同農場。 この農場にはインセンティブ制度の分組管理制が導入されているが、各分組は収穫量の総和(総括)を受けなければならない。結 ...

北朝鮮の国家保衛省(秘密警察)は、朝鮮労働党創建日の10月10日に向けて、中国との国境に接した両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)市と金正淑(キムジョンスク)郡、普天(ポチョン)郡などに住む「不純勢力」をリストアップして、奥地に追放する事業を進めることを地元保衛局に命じた。 ところが、この過程で不正があったことが判明したと、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。 この「追放事業」は、家族のうち誰かが脱北した脱北者家族、中国の携帯電話を使用して処罰された者、スパイ容疑で逮捕さ ...

国家の経済的困難の深まりとともに、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の軍紀は乱れ、兵士に対する様々な虐待が横行している。 その中には上官の部下に対する性的虐待も含まれるが、それは異性間で起きるものにとどまらない。 4月には軍事境界線沿いに駐屯している第1軍団の指揮部直属の警備中隊の衛兵長室で、衛兵長として勤務していた第2小隊のチェ小隊長が、政治指導員と歩哨長を拳銃で射殺する事件が発生した。2人からの性的虐待を恨んでのことだったとされる。 それに続き7月初旬には、航空・反航空軍(空軍・防空 ...

先月8日に発生した安倍晋三元首相に対する銃撃事件。北朝鮮の国営メディアは、今に至るまで事件について一切触れていない。 事件のことは、一部の幹部にだけ伝えられた。また、国家保衛省(秘密警察)は各地方の保衛局に事件のことを伝え、革命の首脳部(金正恩総書記)の安全保障事業に総力を傾けよとの指示を出している。 一方で、一般住民の間にも、少しずつ事件のことは伝わりつつあるようだが、このことを人に話したとして、ひとりの女性が逮捕された。容疑は流言飛語(デマ)を流したというものだ。 (参考 ...

北朝鮮の金正恩総書記の妹、金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長は、10日に開かれた全国非常防疫総括会議で、国内に新型コロナウイルスが流入したのは、韓国から脱北者が送り込んだビラなどが汚染されていたことによるものとして、韓国に対する報復を示唆する内容の発言を行った。 この様子は、国営メディアを通じて報じられたが、その内容に、北朝鮮国民からは不満の声が上がっている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えた。 (参考記事:「コロナ流入で韓国に報復」北朝鮮の金与正氏が強 ...

朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の特殊部隊「暴風軍団」(第11軍団)。昨年から、警備強化のため中国との国境地帯に派遣されていたが、粗暴な振る舞いを繰り返し、現在建設中のコンクリート壁(コンクリートの柱に高圧電線を張ったもの)が完成すれば、撤収すると言われていた。 しかし、おりからの資材不足で、コンクリート壁の工事が進まないせいか、未だに撤収していないようだ。そしてまた、地域住民の怒りを買う事件を起こした。両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。 (参考記事:「地獄のよう ...

「黄海北道の青年たち、人民経済の主要戦区(重要部門)に嘆願」 「平安北道の高級中学校卒業生たち、重要戦区に嘆願」 「慈江道の青年たち、困難で骨の折れる部門に嘆願進出」 北朝鮮国営の朝鮮中央通信は、このように、都市部の若者たちが数十人から数百人単位で、誰も行きたがらないような農村、炭鉱など3K労働の場に「嘆願して」向かったという記事をしばしば配信している。 もちろん「嘆願」は全くのウソで、実際は地域ごとに人員のノルマが課され、半強制的に送り出されるのだ。相対的に豊かな都市部とは ...

北朝鮮当局は、中国に派遣している貿易駐在員に対する監視と統制を強化している。課せられた外貨上納のノルマに耐えかねて、脱北する可能性を事前に遮断するためだ。 中国のデイリーNK情報筋によると、貿易駐在員は通常週1回、領事館に集められて平壌から送られてきた学習資料を受け取り思想教育を受けるが、それが隔日に増やされた。日々の行動を報告させられ、祖国に対する忠誠を誓わされるのだ。 当局は同時に、中国に派遣されている保衛員(秘密警察)を通じて、貿易会社幹部の動向を綿密に監視させ、随時報 ...

北朝鮮のデイリーNK内部情報筋によれば、最近、管理所(政治犯収容所)に新たに収容される人の数が増える一方で、施設によって増減がまちまちだという。つまり、増えたところもあれば、減ったところもあるということだ。 まず、収容者が全体として増えているのは、新型コロナウイルス防疫関連規則や、「韓流取締法」とも呼ばれる「反動的思想・文化排撃法」の違反者が急増しているためだ。 いずれの違反者も、収容所に送られるのみならず、死刑が執行されるケースもある。 たとえば今年1月、平安南道(ピョンア ...

北朝鮮の金正恩総書記の妹、金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長は10日に開かれた全国非常防疫総括会議で行った討論で、新型コロナウイルスが国内に流入したのは北朝鮮の体制を批判するビラなど韓国から送り込まれた「見慣れないもの」のせいだとし、韓国に対し「強力な報復性対応を加えなければならない」と述べた。朝鮮中央通信が伝えた。 金与正氏は討論で「世界的にも多くの国が悪性ウイルスに汚染した物体との接触による伝染病拡散の危険性について再び認識し、より効果的な防疫措置を講じている時期に ...

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は12日付の「政論」で次のように論じ、金正恩総書記が体調を崩していたかのような状況に言及している。 「自身の痛みと労苦はすべて伏せ、ひたすら愛する人民のために、ああまで魂を燃やし、誠を尽くせば石の上にも花を咲かすとの言葉があるとおり、われわれは人民のために誠を尽くさねばならぬと熱く語られたとき、彼を仰ぎ見つつこみ上がる嗚咽を禁じえなかったというイルクン(幹部)たちの話が胸を打つ」 金正恩氏の体調を巡っては、妹の金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働 ...

米ドル高と原材料価格の上昇が、商売でなんとか生計を維持している北朝鮮庶民の暮らしを直撃している。 両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋によると、恵山(ヘサン)では、先月中旬ごろから、店を畳む露天商が増えている。ドル高のせいで、商品の卸値が上昇している。 例えば、1ドル(約135円)が7000北朝鮮ウォン(約140円)から8000北朝鮮ウォン(約160円)になれば、卸売業者の販売価格は14.2%上昇する。だからといって、小売価格を上げてしまえば、商品が売れなくなってし ...