かつて、北朝鮮の外貨稼ぎビジネスの花形だった北朝鮮レストラン(北レス)。一時は中国国内に100を超える店舗を構えていたが、経済制裁やコロナ禍の影響で多くの店が閉店した。 その後、一部は営業を再開したものの、今度は新型コロナウイルスで観光客が激減。もがき苦しみつつ営業を続けていたが、逆にその頑張りが閉店の危機を招いてしまったと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。 (参考記事:ウラジオストクの北朝鮮レストラン、コロナ不況で相次ぎ閉店) 丹東の中国朝鮮族の情報筋に ...

北朝鮮では、人口の約4分の1にあたる600万人以上がスマートフォンを含む携帯電話を所有しているとのデータがある。スマホには様々なアプリがプリインストールされているが、同国内ではアプリの開発と販売も行われている。 情報筋によると、当局は携帯電話の奉仕所(販売店)と逓信所(電話局)に対して、「料理アプリ」を積極的に活用せよとの指示を下した。これを受けて、ユーザーのスマホにアプリをインストールするビジネスに乗り出した。 食の「限界」 逓信所ではアプリ1つあたり25元(約430円)、 ...

新型コロナウイルスに対して、「病的」なほどの恐怖心を示す北朝鮮。不確かな情報による対策を行う事例がしばしば報告されている。その一つが猫の抹殺だ。 「ウイルスを持ったまま国境を越えて中国からやってきて国内で広めかねない」との理由で野良猫に対して抹殺令を下す一方で、ペットとして飼われている猫に対しても、殺処分を行うように指示を下した。 必死で隠す その結果、ネズミが増える結果をもたらしたという。ローマ教皇インノケンティウス8世が1484年、猫はサタンの化身で汚れた存在だと宣告した ...

今年3月。北朝鮮北東部の山奥の村で、女子高生が殺害される事件が起きた。その残忍な手口に加え、犯人の正体が明らかになり、地域社会に衝撃が走っている。事件が起きたのは、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の明川(ミョンチョン)。核実験場があった吉州(キルチュ)郡の豊渓里(プンゲリ)から、山を一つ隔てたところにある。 郡の安全部(警察署)近隣のマンションの近くで3月28日夜、帰宅途中だった17歳のヤンさんが、男に襲われ性暴力を受けた。彼女は大声で助けを求めたが、それに逆上した犯人によって惨 ...

北朝鮮・咸鏡北道(ハムギョンブクト)穏城(オンソン)郡の南陽(ナミャン)労働者区。地名だけ聞いてもピンとこない読者も多いだろうが、豆満江を挟んだ対岸は、中国吉林省延辺朝鮮族自治州の図們市だ。北朝鮮を間近で眺められ、アクセスもしやすいことから、中国の国内外から多くの観光客が訪れるところだ。 国門と呼ばれる図們税関の高さ11メートルのゲートの屋上に登ると、古ぼけた南陽の町並みや人々の営みが手にとるように見える。観光用として、税関のそばに建てられた朝鮮式の伝統家屋などが立派に整備さ ...

長期化する経済制裁に新型コロナウイルス対策の国境封鎖が重なったことで、経済難のいっそうの深刻化が伝えられる北朝鮮。1990年代の大飢饉「苦難の行軍」の時と同様、治安悪化の様相も表れている。 だが庶民の困窮が増している一方で、一部の富裕層はやりたい放題を続けているようだ。脱北者で東亜日報記者のチュ・ソンハ氏が自身のYouTubeチャンネルとブログで、北朝鮮の金持ちの息子が起こした猟奇的な連続殺人事件について伝えている。 2代目ボンボン それによると、事件は昨年8月に発覚した。 ...

北朝鮮北部の貿易都市、両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)では昨年8月と11月、市の封鎖令(ロックダウン)が下された。3週間にわたって外出や物資の移動が禁じられたが、食糧の備蓄などその準備をする時間がほとんど与えられず、飢えを伴うステイホームを強いられた。 韓国デイリーNKはその様子について、ある恵山市民の証言を得ている。 兵士に襲われ… 封鎖は、国家が新型コロナウイルス流入防止のため国境を封鎖したにもかかわらず、違法な越境が絶えないとの理由で実施された。しかし、国家が命じた ...

北朝鮮には厳格な身分制度のあることが知られている。頂点に位置するのは金正恩党委員長をはじめ、彼の祖父・金日成主席に連なる一族だ。その次に身分の高いのは、金日成氏とともに抗日パルチザン活動を行っていた人々とその子孫である。その特権的な地位から、「赤い貴族」などと揶揄されたりする。(参考記事:【徹底解説】北朝鮮の身分制度「出身成分」「社会成分」「階層」) そんな「貴族階級」に属する呉鉄山(オ・チョルサン)氏も、金日成氏の護衛を担当する護衛総局の局長を務めた父親の呉白龍(オ・ベクリ ...

北朝鮮医学界の最高峰、平壌医科大学を震撼させた集団性暴力事件。エリート学生の性奴隷にされ、自ら命を絶った被害女子学生の母親は、不正行為の通報制度である信訴を使い、捜査と加害者に対する処罰を求め続けた。 しかし、その切実な訴えは無視され続けた。長い闘いの末、訴えがようやく取り上げられ、加害者は処刑、信訴を握りつぶしていた責任者やその家族ら60人が首都・平壌から追放される処分を受けた。まさに死屍累々の展開である。 (参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為) ...

北朝鮮北部の慈江道(チャガンド)で、多くの軍関係者を乗せた列車が脱線する事故を起こし、多数の死傷者が出ていると、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。 事故が起きたのは先月15日。慈江道を走る満浦(マンポ)線の熙川(ヒチョン)と富成(プソン)の間だ。外国人観光客も多く訪れる妙香山(ミョヒャンサン)から至近距離にある。 列車は、清川江(チョンチョンガン)沿いに走る箇所で脱線した。具体的な事故の発生経緯について情報筋は触れていないが、600人もの死傷者が発生する大惨事となった。( ...

北朝鮮の首都・平壌にある平壌医科大学。朝鮮が日本の植民地支配下にあった1929年に設立された平壌医学専門学校が前身で、北朝鮮建国直前の1948年9月に大学として設立された。2010年には最高学府の金日成総合大学の医学部に改変されたが、2019年に再び独立、北朝鮮医学界の最高峰としてそびえたっている。 この平壌医大が突如として批判の矢面に立たされた。 国営の朝鮮中央通信は、今月15日に開催された朝鮮労働党中央委員会(中央党)第7期第20回政治局拡大会議で、金正恩党委員長は、平壌 ...

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)の咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋が、清津(チョンジン)市郊外に駐屯する高射銃部隊で兵役についていた21歳の女性兵士の非業の死について伝えている。 黄海北道(ファンヘブクト)の農村出身のこの兵士は、部隊に配属された5年前から副業小隊で勤務し続けてきた。この「副業」とは、部隊で消費する食糧を生産することを指す。 徘徊していた野犬に 朝鮮人民軍は慢性的な食糧不足に悩まされており、それを解消するために副業地と呼ばれる農地を所有、兵士たち ...

4月下旬、20日間にわたり公開の場に姿を現さなかった北朝鮮の金正恩党委員長を巡り、各国のメディアで「死亡説」や「重体説」が飛び交う中、ネット上では同氏が「死亡した」とする映像が出回った。 (参考記事:【動画あり】金正恩「死亡映像」が北朝鮮で拡散…当局厳戒、国民も緊張) これを見た中国滞在の北朝鮮国民の一部で不安が広がり、中には涙を流す人さえいたと、デイリーNKの情報筋が伝えている。 「我々はどうすれば…」 情報筋によれば、映像はメッセンジャーアプリを通じて在中朝鮮人の間に急速 ...

韓国の青瓦台(大統領府)高官は3日、記者団に対し、北朝鮮の金正恩党委員長が心血管系の手術を受けた可能性があると米国のメディアが報じたことについて「(政府として)手術は受けていないと判断している」と否定した。しかし、こうした判断には「根拠がある」としながらも、それが何であるかは示していない。 重体説や死亡説までが飛び交っていた金正恩氏は2日、北朝鮮メディアによって工場竣工式出席の様子が伝えられ、健在が確認された。それでも、同氏が何らかの健康不安を抱えている可能性は消えていない。 ...

2日、北朝鮮メディアの報道で20日ぶりに動静が伝えられた金正恩党委員長だが、同時に公開された映像から、同氏がこの間に心血管疾患の手術を受けていた可能性が高まった。 (参考記事:【写真】金正恩氏の心血管疾患の手術痕と見られる画像) 米国拠点の北朝鮮専門のニュースサイト・NKニュースは、朝鮮中央テレビが報じた、5月1日の順川(スンチョン)燐酸肥料工場竣工式と4月11日の朝鮮労働党政治局会議での金正恩氏の映像を比較。前者では、金正恩氏の右手首に小さな傷跡のようなものが見られるのに対 ...

北朝鮮の朝鮮中央通信は2日、金正恩党委員長が1日、肥料工場の竣工式に出席したと報じた。金正恩氏の公開活動が伝えられるのは20日ぶりだが、この間に飛び交った「死亡説」は間違いだったことが明らかになった。しかしその一方、健康に何らかの問題が生じたのではないかとの疑いは、完全には払しょくされていない。 実際、朝鮮中央テレビが2日に公開した肥料工場竣工式での金正恩氏の映像を見ると、右手首に手術痕のようなものが見え、同氏がこの間に心血管疾患の手術を受けていた可能性が高まっているのだ。 ...