韓国に住む多くの脱北者は、北朝鮮に残してきた家族に仕送りをしている。北朝鮮当局の厳しい取り締まりの影響で減少傾向にあるが、昨年の調査では、回答者の約2割が家族に送金したと答えている。 韓国政府の策定した、2022年度の4人家族の1カ月の最低生活費は、307万ウォン(約31万7000円)。一方の北朝鮮では、50万北朝鮮ウォン(約9000円)。つまり、韓国からの仕送りは、たとえ少額であっても、北朝鮮ではかなりの価値を持つのだ。 (参考記事:韓国在住脱北者から北朝鮮への送金、前年比 ...

北朝鮮の農業はほとんど破綻状態にある。国の定めた計画に基づき、各農場にはノルマが下され、支給された道具や資材を使って作物を育て、収穫後は国に納め、農民は一定の割合で分配を受ける。 ところが、農民のやる気を削ぐ集団農業、農業に必要な肥料などの資材が支給されず借金をして買い込まなければならない現状、地域の条件や天候などを無視した国のノルマ、その未達成による処罰を避けるための虚偽報告など、何から何までうまく行っていない。おそらく、正確な生産高の把握すらできていないものと思われる。 ...

勤労感謝の日(サンクスギビング)。韓国では「秋収感謝節」と呼ばれるが、実際に収穫に感謝する日は旧盆にあたる秋夕(チュソク)だ。先祖に対して様々なごちそうが備えられるが、それを食べることを「飲福」と言い、貧しかった時代には、貧困層への再分配という役割もあった。 北朝鮮では、収穫、脱穀が終わる11月に宴会が行われるが、これに対する禁止令が下された。 咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、北朝鮮当局は全国の朝鮮労働党委員会、人民委員会(道庁、市役所)、安全機 ...

親に捨てられたり、食べ物を求めて家を出てストリート・チルドレンとなってしまった子どもたち。北朝鮮では「コチェビ」と呼ばれるが、そんな子どもたちが急増したのは1990年代後半の未曾有の食糧危機「苦難の行軍」のころのことだった。 それから20数年。苦難の行軍の当時ほどではないとは言われるが、コロナ鎖国による深刻な不況、食糧難に陥っている北朝鮮では、再びコチェビが急増している。 咸鏡南道(ハムギョンナムド)のデイリーNK内部情報筋は、最近になって、工業都市であり鉱業も盛んな端川(タ ...

北朝鮮国内、中でも中国との国境に接する地域を中心にして、韓流コンテンツの視聴、流通、中国キャリアの携帯電話の使用、海外送金など、非社会主義、反社会主義とされる行為を取り締まっている82連合指揮部。 社会安全省(警察庁)や国家保衛省(秘密警察)などの人員からなり、縁故のない地方でしがらみにとらわれず強力な取り締まりを行っていたが、あくまでも対象は民間人だった。しかし、ついに聖域ともいえる朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の軍人に対する取り締まりも行うようになった。 咸鏡北道(ハムギョンブク ...

北朝鮮の首都・平壌の市民と、中国と国境を接する北部両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)の市民2人が、内部機密を流出させた容疑で、国家保衛省(秘密警察)に逮捕された 両江道のデイリーNK内部情報筋によると、40代の平壌市民のハム氏と、50代の恵山市民のパク氏は、2020年2月から今年10月まで、結託して周期的に内部機密を流出させ、内乱陰謀を図った容疑で、今月11日に国家防衛省に逮捕された。 有罪が確定すれば、最高刑は死刑である。 (参考記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“ ...

北朝鮮当局が最近、国内最高の医療人材養成機関である平壌医学大学(以下、平壌医大)に地方医大の在学生を編入させるよう指示を下したもようだ。 デイリーNKの内部情報筋によると、朝鮮労働党中央委員会(中央党)は今月5日、各道教育部に対し、2023年の新学年度に、地方医大の在学生中で成績優秀な者を平壌医大に編入させるべしとする指示を、高等教育省を通じて下した。同時に、平壌医大の在学生の中の成績未達者に対しては退学措置とすることも命じた。 この措置の背景には、今年5月12日から8月10 ...

韓国の鬱陵島(ウルルンド)では今月2日午前9時前、空襲警報が発令された。北朝鮮が発射した弾道ミサイルが島の方向に飛来してきたとの判断からだが、韓国メディアは訓練と思い込み、住民の多くが避難しなかったと報じている。日本の内閣府の2017年の調査でも、Jアラート発令後に、対象地域の住民の8〜9割が避難しなかったことが明らかになっている。 そんな状況は、ミサイルを撃つ側の北朝鮮でも同じようだ。 デイリーNK内部情報筋によると、今月12日の18時、江原道(カンウォンド)の川内(チョン ...

北朝鮮の国家保衛省が最近、各地方の保衛局に対し、金正恩総書記の身辺安全を保障するための事業に総力を傾けるよう指示を下したという。 咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、国家保衛省は今月5日「金正恩総書記の身辺安全を完璧に保障することに全力を傾ける原則で保衛事業を組織進行せよ」という内容の指示を各道の保衛局に通知した。 国家保衛省は今回の指示で「最近、革命の首脳部(金正恩氏)を狙った敵の卑劣な謀略策動がますます悪化している」とし、「すべての保衛機関では革 ...

韓国では今年8月8日と9日、首都・ソウルを中心にゲリラ豪雨が降り、一部地域では1日の降水量が400ミリを超え、浸水被害が続出した。 一方の北朝鮮では、特に首都・平壌の北にある平安南道・北倉(プクチャン)の得将(トゥクチャン)地区炭鉱連合企業所では、数多くの坑道が水没する被害が出た。復旧を急ぐあまり、むしろ被害を大きくしてしまったと、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えている。 炭鉱では、一部の坑道に雨水が溜まった状態だったが、それを抜くために発破を行った。ところが、他の箇所に溜 ...

北朝鮮の国家保衛省(秘密警察)が、「戦争恐怖症」を誘発する発言で、国内に不安感を醸成している幹部たちの動向を把握して取り締まるよう指示を下したもようだ。 北朝鮮は9月から今月初めにかけて、前例のない規模で弾道ミサイル発射などの軍事挑発を行った。そのように対外的には強硬路線をアピールしながらも、対内的には保衛機関をして社会の動揺と体制からの離反を防止するために神経を使っているようだ。 家族もろとも 咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は「国家保衛省は今月1日、道 ...

北朝鮮の歴代政権は、独裁体制を維持するため恐怖政治の有力な手段として公開処刑を繰り返してきた。近年、国際社会の目を気にして一時的に減らすこともあるようだが、体制の都合に応じて続けられている。 そして、深刻な食糧難により民衆の不満が増大しているとされる最近、公開処刑がまたもや活発になる兆候が見られるという。 咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、鏡城(キョンソン)に駐屯する、金正恩氏の特閣(別荘)の警備にあたる護衛局の旅団に所属する40代のB中隊長が9月、民家 ...

金正恩総書記がメガプロジェクトのひとつ、「平壌市5万世帯住宅建設構想」。郊外の寺洞(サドン)区域の松新(ソンシン)・松花(ソンファ)地区の住宅建設は今年4月に完成し、引き続き、和盛(ファソン)地区の建設が進められている。 ところが、ここへ来て工事が中断に追い込まれそうな状況となっていると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。 平壌の情報筋によると、今年2月に着工された和盛地区1万世帯住宅建設は、骨組みを組み上げる工事が終わり、内装工事を行う段階まで進んだ。それ ...

北朝鮮北部の両江道(リャンガンド)で、保衛員(秘密警察)が露骨にワイロを要求するケースが急増している。 現地のデイリーNK内部情報筋によると、恵山(ヘサン)市内で、韓国や中国で働く人からの送金を、北朝鮮に残してきた家族に伝達する送金ブローカーを営む人たちに対して、保衛員が臆面もなくワイロを要求するようになっている。 かつて保衛員といえば、いかなる経済難の中でも国からの配給を保証されていた。公開処刑や政治犯収容所の運営を担当し、金正恩体制の恐怖政治を支えてきた存在であるだけに、 ...

北朝鮮の深刻な食糧難。人々は、食べられるものを手当たりしだいにかき集め、飢えをしのいできた。秋の収穫を迎え、例年なら食糧事情は多少なりとも好転するものだが、大不作に襲われた今年は、未だに人々は飢えに苦しんでいるようだ。 米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は、農民が水草を食べて命をつないでいると報じたが、北部の両江道(リャンガンド)からは、ジャガイモの皮を食べているとの情報が伝わってきた。現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。 (参考記事:「カエルも食べない水草」で飢え ...

コロナ対策の一環としての警備増強のため、一昨年8月から国境沿いの地域に派遣されていた「暴風軍団」こと朝鮮人民軍(北朝鮮軍)第11軍団の一部が撤退していたことがわかった。その理由は「ミイラ取りがミイラになった」からだ。 デイリーNK内部情報筋によると、朝鮮人民軍総参謀部は、国境封鎖作戦遂行のために慈江道(チャガンド)の中国との国境沿いに派遣されていた暴風軍団の1個大隊に撤収を命じた。この大隊は、道内の渭原(ウィウォン)郡に展開し、国境警備に当たっていた。 その理由だがまず、派遣 ...