これまでにも本欄で言及したことだが、北朝鮮の朝鮮労働党法務部は今年4月4日、「反動思想文化排撃法違反少年に対する意見対策案」という提議書を中央に提出。金正恩総書記による1号批准を受けた上で、8日から全国の司法機関、安全機関に対し、韓流コンテンツなどを隠れて視聴していた少年らに対する処罰を緩和するよう指示を下した。 平壌と黄海南道(ファンヘナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、反動思想文化排撃法に違反したとして摘発される人が急増している中で、大量の未成年を思想犯にするわけに ...

北朝鮮が連日行っているミサイル発射実験。日本のTwitterでは「北朝鮮大花火大会」などと揶揄する声が出ているが、北朝鮮国民の立場からすると、そんな余裕もないだろう。 韓国のニュース専門チャンネルYTNは、今月2日と3日のミサイル発射費用を1億2000万ドル(約176億円)と推測し、北朝鮮が自国生産だけでは不足するコメを補うために、中国から輸入したものの2年分近い額に相当すると報じた。 この報道が伝わったのかどうかは不明だが、北朝鮮の咸鏡北道(ハムギョンブクト)では「1日70 ...

抗日パルチザンの子孫など、特権層の子女だけが入学を許される北朝鮮のエリート養成機関の万景台(マンギョンデ)革命学院。康盤石(カン・バンソク)革命学院などと並び、「金氏王朝」とも呼ばれる北朝鮮の現体制を支える「赤い貴族」のためだけに存在する教育機関だ。 金正恩総書記は先月12日と16日の2回、万景台革命学院を訪れ、生徒の食事について次のように指示した。以下、一部記事から抜粋する。 金正恩総書記は、自らご飯とスープの味も見てやり、生徒らに一番好きな料理が何か、食物をどのように加工 ...

北朝鮮が9日、またもや弾道ミサイルを発射した。米国で中間選挙の開票が進む中での発射は、いつでも軍事行動をとり得ることを強調したものと見ることもできる。ただ、こうした金正恩総書記の暴走には、軍内部からの懸念の声が上がっているもようだ。 今月1日、北朝鮮の朴正天(パク・チョンチョン)朝鮮労働党書記は米韓両空軍による合同軍事演習「ビジラント・ストーム」に対して「侵略的かつ挑発的な軍事訓練」だと非難する談話を発表した。同氏は朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の戦闘部門トップである総参謀長を歴任し ...

金正恩総書記がぶち上げた最新のビッグプロジェクトは、アイスクリーム工場だった。 北朝鮮の国営朝鮮中央通信は先月27日、平壌市郊外に大城山(テソンサン)アイスクリーム工場が竣工したと報じた。以下、記事より一部抜粋する。 演説者は、敬愛する金正恩総書記がわが人民と子どもたちによりよいアイスクリームを食べさせようと工場の建設を直接発起し、敷地も定めてくれたし、設計と建設陣容の編成、施工と園林緑化をはじめ、建設において提起される問題を具体的に指導したと述べた。 また、大城山アイスクリ ...

秋の収穫が終盤に差し掛かった北朝鮮。国営の朝鮮中央通信は先月20日から22日にかけて、平安北道(ピョンアンブクト)、開城(ケソン)、黄海北道(ファンヘブクト)で稲の収穫が終わったと報じた。 しかし、収穫が終わったからとすべての作業が終わったわけではない。稲束の運搬、脱穀など様々な作業が残っている。しかし、食糧難の中での重労働に耐えかねて倒れる農民が続出しているという。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。 咸鏡南道(ハムギョンナムド)咸州(ハムジュ)の情報筋は、 ...

北朝鮮の尋常でないミサイル乱射に、同国の幹部や貿易関係者らが不満を募らせていると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。 北朝鮮は2日、少なくとも23発のミサイルを発射した。その翌日、中国に駐在する北朝鮮の貿易関係者は、RFAに対して次のように語ったという。 「昨日、1日の間に元山(ウォンサン)など様々な地域から多発的に弾道ミサイルが発射されたニュースをインターネットで見て、言葉を失った。ミサイル一発を発射すれば、数十、数百万ドルが消えるのに、何を考えてあれ ...

先月、中央アジアのウズベキスタンの首都・タシュケントにある北朝鮮レストランの女性従業員5人が、脱北して韓国に入国していたことが韓国メディアの報道で明らかになった。 朝鮮日報は、現地の情報筋と情報当局の話を引用し、タシュケント市内の北朝鮮レストラン「ネゴヒャン」(私の故郷)で働いていた女性従業員Aさんがまず今年5月に脱北したと報じた。Aさんは、現地在住の韓国人男性と手紙を交換するなどして、長きにわたって交際し、脱北の意思を示した後、男性の助けを受けて韓国大使館を訪れたと同紙は報 ...

気候的に稲作ができるところが限られている北朝鮮北部の両江道(リャンガンド)。主要な農産品と言えばジャガイモだ。 ところが、今年は凶作となり、収穫量は昨年の半分に満たない結果となった。その影響は、より貧しい人々を苦しめている。現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。 (参考記事:ジャガイモ収穫量が去年の半分以下で失望する北朝鮮の人々) 恵山(ヘサン)市では10月25日から、毎年恒例のジャガイモの配給が始まった。年老保障世帯、つまり定年退職して年金生活をしている人には、1世帯あたり ...

以前より短縮されたとは言え、男性は7〜8年、女性は5年と、依然として世界で最も長い北朝鮮の兵役。劣悪な環境に耐え抜き、無事勤め上げた人々には、朝鮮労働党への入党や大学進学への推薦などの機会が与えられることもあるが、金銭的な補償は一切ない。 除隊時に持たされるのは、わずかな食べ物だけ。列車が大幅に遅延したことで、食べ物がなくなり、自宅に戻る列車内で餓死するという悲劇的な事件も起きている。 (参考記事:北朝鮮「列車に乗っていたら飢え死に」その理由は) 事件が起きた当時より食糧事情 ...

北朝鮮北部の両江道(リャンガンド)。真冬には氷点下20度、場所によっては氷点下40度を記録する極寒の地だ。朝晩が冷え込む10月には暖房を入れる。 ところが、長い冬を温かく過ごすための暖房が死を招くこともある。現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。 先月22日、道内の三水(サムス)郡の開雲城里(ケウンソンリ)に住む50代のパクさん一家4人が遺体となって発見された。安全部(警察署)は死因の究明に乗り出したが、4人が横たわったまま絶命していたこと、外傷などがないことから、事件性はな ...

韓国人は一般的に、北朝鮮の地理にさほど詳しくないが、そんな人々でも知っている田舎町がある。中江鎮(チュンガンジン)。現在は慈江道(チャガンド)の中江郡に改称されたが、朝鮮半島で最も寒いところで、かつては韓国のテレビの天気予報でも、平壌などと合わせて毎日取り上げられていた。 そんな極寒の中江で、空気が凍りつくような事件が起きた。現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。 朝鮮労働党の部員(指導員)のA氏は今年9月、辞令を受けて、朝鮮労働党中江郡委員会に赴任した。住む家を探していたと ...

世界で唯一、計画経済を採用している北朝鮮では、毎年の農業収穫量も、国家計画委員会によって定められる。前年の収穫量をもとにして、収穫量の課題(ノルマ)を課す、というものだ。 金正恩総書記は農業第一主義を掲げ、農業生産高の向上を訴えているが、各地から作況が極めて悪いとの情報が伝わってきていた。現在行われている秋の収穫の結果も、散々なようだ。 (参考記事:「牛が足りない」北朝鮮のトウモロコシが壊滅的不作) 「農業部門に尋常ならざる空気が流れている」と述べた平安南道(ピョンアンナムド ...

コロナ対策の一環としての警備増強のため、昨年から国境沿いの地域に配属されている「暴風軍団」ごと朝鮮人民軍(北朝鮮軍)第11軍団。 非常に素行が悪く、脱北や密輸を行おうとした者はもちろん、間違って緩衝地帯に足を踏み込んだ者や何の罪もない野生動物などを手当たりしだいに射殺。その凶暴さから地元の評判は最悪だった。 そんな暴風軍団がグダグダの状態になっているという。その原因は「ナツメ」だ。詳細を、デイリーNKの朝鮮人民軍内部の情報筋が伝えた。 (参考記事:北朝鮮国民が目を背ける「見せ ...

北朝鮮が28日、またもや弾道ミサイルを発射した。その一方で、国家の屋台骨は大きく揺らいでいる。 9月下旬から始まった北朝鮮の秋の収穫。平安北道(ピョンアンブクト)や黄海北道(ファンヘブクト)では稲とトウモロコシの収穫が完了したと、国営の朝鮮中央通信は報じているが、いずれの記事も収穫量には触れていない。 様々な作物の不作が伝えられる中での収穫だが、やはり稲やトウモロコシもかなりの不作だったようで、当局が実態把握に乗り出した。平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋が ...

朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の軍官(将校)と言えば、安定した生活が営め、社会的地位も高い、あこがれの職業だった。しかし、それは過去の話だ。 下級軍官の場合、月給は一般労働者と変わらない3000北朝鮮ウォン(約54円)前後だ。食糧はまともに配給されなくなり、経済活動への参加が禁じられているため、極貧生活を余儀なくされるケースもある。 そんな暮らしに耐えかねて、ある軍官一家が忽然と姿を消した。両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。 (参考記事:誇り高き北朝鮮軍の元将校 ...