日本の「性録画物」で堕ちた北朝鮮の少女たち

昨年12月4日の最高人民会議常任委員会第14期第12回総会で採択された「反動的思想・文化排撃法」。主なターゲットは韓流などの外国の映画、ドラマなどのエンタメコンテンツの視聴、流通と、海外のラジオの聴取だが、初の適用事例の対象は「性録画物」――つまりアダルトビデオだったようだ。

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平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、摘発されたのは、新義州(シニジュ)在住の10代の男子生徒だった。「この生徒は親が留守にしている間に、密かに某有名女優が出演したAVを見ていたところ、常務(取り締まり班)に踏み込まれ、逮捕された」という。

北朝鮮では、AVに関わる一切が違法となる。その法的根拠は次のようなものだ。

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刑法183条(退廃的な文化搬入、流布罪) 退廃的、色情的で醜い内容を反映した図画、写真、図書、歌、映画などを許可なく外国から持ち込んだり制作したり流布したり違法に保管している者は1年以下の労働鍛錬刑に処す。複数回または大量に搬入、制作、流布、保管した場合には5年以下の労働教化刑に処す。罪状の重い場合には5年以上10年以下の労働教化刑に処す。

こうした法律の存在は、北朝鮮国内でAVが密かに流通している実態を示している。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は2014年5月、北朝鮮軍内で日本製のAVが流行し、当局が一斉取り締まりを行ったと報じている。また、2015年8月には、売春を行う女性が低年齢化し、16~18歳の少女たちまでもが体を売るようになったと報じているが、その背景にもAVの拡散があったもようだ。

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さらに2019年11月には、北朝鮮の最高学府、金日成総合大学の学生たちが摘発された。RFAは平壌の幹部の話として、平壌市の東大院(トンデウォン)映画館で、AVを制作・流布した金日成総合大学の学生4人と卒業生9人に対する公開裁判が、被告の親や平壌市内の学生など多数が参加させられた上で行われたと報じた。

被告らは金日成総合大学コンピュータ科学学科の学生、卒業生で、コンピュータを利用して合成動画を作る技術に長けていたと伝えられている。

彼らは、海外を行き来する外交官やその子女が一時帰国の際に密かに持ち込んだ米国、日本、韓国のアダルトビデオがコピーされたSDカードを入手。それをさらに過激な動画として編集し、USBメモリに入れて1個100ドル(約1万800円)以上で販売していたという。

こうした現象を受けて、北朝鮮当局の取り締まりも過激化した。性録画物の視聴や流布、また売春に対し、法律に定められていない極刑で臨むようになったのだ。

北朝鮮は1990年代の大飢饉「苦難の行軍」に際し、恐怖政治を強化して社会の統制を図った。経済制裁、新型コロナウイルス禍、自然災害の3重苦が経済難を深刻化させる中、当時のような状況が今また再現されるかもしれない。