いずれも美貌で評判だったという彼女らは元々、「5課対象」だった。中央党(朝鮮労働党中央委員会)5課は、いわゆる「喜び組」など金正恩総書記の身辺の世話をする要員の選抜・管理を行っている。 (参考記事:山に消えた女囚…北朝鮮「陸の孤島」で起きた鬼畜行為) かつての中国では、学校卒業後の就職先は、国から割り当てられるものだった。これを「統包統配」と呼んでいたが、各国有企業は終身雇用の余剰人員を大量に抱え込むこととなり、また、働き口のない若年層失業者が解消することはなかった。 改革開 ...

故金日成主席は生前、こんな「マルスム」(お言葉)を残している。 「子どもたちはわが国の宝です。未来の朝鮮はわれわれの子どもたちのものです」(金日成 1989.4.15) しかし、そんな言葉とは裏腹に、北朝鮮では多くの子どもたちが勤労動員、金品の供出などの義務を押し付けられ、教育の機会を奪われている。また、昨今のコロナ鎖国下の経済難の犠牲となっているが、それは就学前の子どもとて同じだ。 咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えてきたのは、著しい生活苦のはてに起 ...

北朝鮮当局が最近、違法薬物と「わいせつ物」を体制の脅威となる「悪性腫瘍」とみなし、撲滅に向けた全面戦争を宣言したと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。 平安北道(ピョンアンブクト)のある住民はRFAに対し、次のように説明した。 「今回の薬物乱用と性不良行為に対する取り締まりは、国家保衛省(秘密警察)の主導で今年1月から全国的な規模で実施されている。これまでと異なり、布告文や指示文を通じて一般住民に警告する手順を省略し、不意に現場を急襲する手法で行われてい ...

韓国紙・東亜日報記者で脱北者出身のチュ・ソンハ氏が、自身のYouTubeチャンネルとブログで朝鮮人民軍(北朝鮮軍)総政治局38部なる組織について語っている。 北朝鮮にはこれと似た名称の、朝鮮労働党39号室という部署がある。こちらは金正恩総書記の独裁資金を管理するセクションだ。では、軍総政治局38部は何をやっている部署か。 チュ氏によれば、38部は金正恩氏とそのファミリーが利用する「特閣」「招待所」と呼ばれる邸宅や別荘を管理しているという。特閣や招待所は、平壌市内とその周辺だけ ...

北朝鮮の朝鮮日本軍性奴隷・強制連行被害者問題対策委員会(被害者対策委)は今月15日、日本が第2次世界大戦で敗北して76年となったのに際して、日本を非難する声明を発表した。 声明は、「日本帝国主義の殺りくと強奪蛮行によって、840万人余りに及ぶ罪なき朝鮮人が日帝の戦場と苦役場へ、『慰安所』へ連れて行かれて獣にも劣る奴隷暮らしを強要され、100余万人が無残に虐殺された」と主張。 続けて「日本が20世紀に40余年間わが国を占領し、朝鮮人民に計り知れない人的・物的・精神的被害を与えた ...

東端から西端まで1400キロに達する中国と北朝鮮の国境。今までは監視塔から肉眼で見張るのが関の山で、国境警備はザルそのものだった。北朝鮮当局は昨年1月、新型コロナウイルスの国内流入を防ぐために国境を封鎖したものの、それをあざ笑うかのように、脱北、密輸が各地で起きてきた。 それを効率的に防ぐために、金正恩総書記は国境線沿いにコンクリート壁を建設し、電線を設置して高圧電流を流し、平壌から5Gネットワークを使ってモニタリングするシステムの導入を命令した。当局は、朝鮮労働党創建日の今 ...

北朝鮮で1970年代、当時最高の人気を誇った芸能人集団「ピパダ(血の海)歌劇団」がキューバ公演に向かう途中、乗っていた旅客機が爆発し、全員が死亡する事故が起きていたことは以前に本欄でも言及した。 韓国紙・東亜日報記者で脱北者出身のチュ・ソンハ氏によれば、この情報は、単なる噂レベルのものではない。金正日総書記の側近だった崔益奎(チェ・イクキュ)元党宣伝扇動部副部長が執筆し、北朝鮮国内で出版された『主体(チュチェ)芸術の嚮導性』という書籍の中で、ごく短くだが言及されているという。 ...

今年3月に北朝鮮で始まった「平壌市1万世帯住宅」の建設事業。深刻な食糧難に見舞われている北朝鮮で、不要不急のプロジェクトのように思えるが、ハコモノの建設が目に見える成果として取り扱われるお国柄だけあって、是が非でも進めなければならないのだろう。 そして、またいつものように、無理な工事の進め方のせいで、多くの人の命が次々に失われている。 デイリーNK内部情報筋が伝えた、住宅建設現場での先月の死者数は14人。年齢は18歳から23歳で、いずれも外部の美装工事中の転落事故で死亡したと ...

昨年9月に北朝鮮を襲った台風9号(メイサーク)により、国内最大の亜鉛の産地、咸鏡南道(ハムギョンナムド)端川(タンチョン)市の検徳(コムドク)鉱山では甚大な被害が発生した。 現場の事情に疎い朝鮮労働党委員会が、作業員を早急に撤収させるべきとの現場の声を無視したことで、多くの人命が失われる結果を生んだ。その後、復旧作業が続けられていたが、最近の大雨でまた被害を受けてしまったと、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。 昨年の災害後に建てられた復興住宅が大雨で崩壊。指揮部は、朝鮮労 ...

米国のNGO、北朝鮮人権委員会(HRNK)は先月、平壌の東側、勝湖里(スンホリ)にある第8号教化所(刑務所)に関する報告書を発表し、所内において深刻な人権侵害が行われていると訴えた。北朝鮮の教化所は性暴力の温床だが、それだけではない。HRNKによれば、所内では収監者が中国に輸出される人形の生産に当たっており、作業班ごとに割り当てられたノルマをこなせなければ、拷問を受けることもあるという。また、そうした作業に動員されているのは、主として女性収監者だとしている。 (参考記事:若い ...

近年、毎年のように自然災害による深刻な被害を受けている北朝鮮だが、今年も例外とはならなかった。8月に入ってから降り出した大雨で、全国的に深刻な被害が出ていると、各地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。 咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、低地帯にあるトウモロコシ畑が浸水、小学校5年生以上のすべての村人が、水をかき出す作業に動員されていると伝えた。 今回の浸水で、実る前のトウモロコシの根が腐り、人々は肩を落としているという。現地当局は、今回の災害は今後訪れる災 ...

北朝鮮の金徳訓(キム・ドックン)内閣総理(朝鮮労働党政治局常務委員)が、咸鏡南道(ハムギョンナムド)の水害復旧現場を視察したと、朝鮮中央通信が12日付で伝えた。 北朝鮮では毎年のように水害が発生しており、昨年は金正恩総書記が被災地を訪れた。今回、金正恩氏は平壌で開かれた会議などには出席しているが、例年に比べると地方への視察は激減している。一方、金徳訓氏の視察報道は8月に入って3回目となるなど、同氏の視察報道が増えている背景が注目される。 北朝鮮の内閣総理は実務官僚的なポストだ ...

10日から開始された米韓合同軍事演習に、北朝鮮が強く反発している。 朝鮮労働党中央委員会の金英哲(キム・ヨンチョル)部長は11日に出した談話で、「(韓国政府は)同族との和合ではなく外部勢力との同盟を、緊張緩和ではなく緊張激化を、関係改善ではなく対決という道を選択した」と指摘。 続けて、「われわれはすでに宣明した通りに、彼ら自らがどんなに危険な選択をしたのか、間違った選択によって自らがどんなにおびただしい安保危機に迫っているのかを時々刻々感じられるようにするであろう」と述べた。 ...

7月中旬に北朝鮮軍の女性兵士らの様子を撮影したとされる複数の映像がYouTubeで公開され、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が特集を組んでいる。 映像は、何らかの工事現場や畑で作業を行う女性兵士たちの姿を撮影したものだ。暑い夏の日に、これといった装備もなく、大きくて重そうな石を運んだり、農作業を行ったりする様子はいかにも辛そうだ。 もっとも、軍隊での生活は多かれ少なかれキツイ作業を伴うものだろう。断片的な映像を見ただけでは、彼女らの境遇がどういったものであるかはわか ...

国際社会の制裁、相次ぐ自然災害と対応するインフラの不足、昨年1月からのコロナ鎖国による営農資材の不足など悪材料だらけの北朝鮮農業。そこに、ロジスティクスの抱える問題が加わり、北朝鮮では、1990年代後半の「苦難の行軍」以来の食糧難となっていると伝えられている。 デイリーNKの現地情報筋によれば、食糧が底をついた「絶糧世帯」が各地で続出。平安南道(ピョンアンナムド)の价川(ケチョン)、新陽(シニャン)、陽徳(ヤンドク)などの農村地域では、約3割に達している。 あまりの惨状に、金 ...

北朝鮮当局が積極的に取り組んでいる非社会主義・反社会主義行為の取り締まり。当局が好ましくないとみなした行為にそのようなレッテルを貼り、死刑を含めた厳しい罰を与えることで、「社会主義の楽園」とやらを打ち立てようとしているが、取り締まっても取り締まってもきりがないのが現実だ。 そんな状況に業を煮やしたであろう当局は、動画を利用した非社会主義・反社会主義根絶のための教育を始めたと、デイリーNK内部情報筋が伝えた。 朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の総政治局宣伝扇動部のコンピュータ講演宣伝処で ...