北朝鮮の最高人民会議第14期第15回全員会議で、麻薬犯罪防止法が制定されたのは今年7月。以前から刑法に「不法アヘン栽培・麻薬製造罪」が存在したが、新たな法律を制定することで違法薬物、中でも覚せい剤に対する取り締まりを強化しようとする姿勢を改めて示した形だ。 実際に取り締まりは強化されており、平壌のデイリーNK内部情報筋は、反社会主義・非社会主義連合指揮部が違法薬物を取り締まりの対象とするや、社会安全省(警察庁)麻薬局が血眼になって次々に事件を摘発していると伝えた。その過程で「 ...

北朝鮮の金正恩総書記が、「平壌市1万世帯住宅」とともに提唱したメガプロジェクト、「普通江(ポトンガン)川岸段々式住宅区」。 経済制裁とコロナ禍、自然災害の三重苦で経済難が深刻化する中でも、金正恩氏がハコモノ建築にこだわるのは、手っ取り早く目に見える業績として示すことができるからだ。 そのしわ寄せは庶民のところに向かう。それは、金正恩氏自身が今年1月の朝鮮労働党第8回大会の結語で、犯罪行為だとした「税金外の負担」という形で現れる。自ら発した指示が、現場レベルで齟齬をきたしている ...

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は28日、「苦しく辛いときほど、思想教養事業を強化しなければならない」とのタイトルの記事を掲載した。「思想論の旗は革命闘争の全過程に常に掲げるべきだ」「特に今のような苦しく辛いときほど、さらに高く掲げるべきだ」などとしており、思想教育の重要性を強調し、それにより結束を図ろうという意図が読み取れる。 その一環だろうか、当局は各地で最高指導者の偶像化(神格化)のための施設のさらなる建設を指示したが、国民からは不満の声が上がっている。米政府系のラジ ...

徹底的な秘密主義を貫く北朝鮮では、他の国なら当たり前のように公開されている情報ですら秘密扱いとされ、下手に他人に漏らせば命取りになりかねない。 最近の例を挙げると、人民保安省内のすべての主要書類、機密文書、最高指導者に関する記録をアーカイブに保管している紀要連絡所の所長が、国勢調査の結果を妻に話したことで噂が広がり、公開処刑された件がある。 (参考記事:金正恩の極秘情報をたまたま知った「平凡な主婦」の悲惨な運命) そしてまた、「どうでもいい書類」のせいで、貴重な人命が奪われよ ...

北朝鮮国営の朝鮮中央通信は29日、国防科学院が前日午前、北部・慈江道(チャガンド)に位置する龍林(リョンリム)郡の都陽(トヤン)里で、新たに開発した極超音速ミサイル「火星8」型の試射を行ったと明らかにした。北朝鮮はこのところ、新型ミサイルや新たな発射方式による試射を繰り返している。 韓国軍合同参謀本部によれば、北朝鮮は28日午前6時40分ごろ朝鮮半島東の海上に向けて飛翔体を発射したと発表。飛翔体は発射直後に高度30キロまで上昇し、一定区間放物線を描いて下降した後、低高度の水平 ...

「髪の毛を売ってくれないか」 路上でいきなりそんなことを言われたら、多くの人はギョッとするだろう。しかし、北朝鮮では必ずしもそうではないようだ。人毛を使って製造するカツラは、つけまつげなどと並び、国際社会の経済制裁に抵触せずに堂々と輸出できる製品のひとつであり、海外にはかなりの需要があるようだ。 ところが、髪の毛を切って渡すだけのはずが、身ぐるみ剥がされる事件に発展してしまったと、デイリーNK内部情報筋が伝えた。 (参考記事:北朝鮮の女囚を苦しめる「拷問人形」と性暴力) 事件 ...

9月24日は、北朝鮮の金正恩総書記を直接警護する護衛司令部の創立記念日だった。デイリーNKの内部情報筋によると、奇しくもその日、同司令部隷下にあった重要部門「55処」の指揮官が、金正恩総書記の指示により公開処刑されたという。 いったい何が起きたのか。 55処は、平壌・万寿台(マンスデ)にある金日成・金正日の巨大銅像の直下から、同市大城(テソン)区域の革命烈士陵まで伸びる地下トンネルを管理する部署だ。北朝鮮で「史蹟坑道」と呼ばれるこの地下トンネルには、戦争勃発などの非常事態とな ...

北朝鮮の金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長は24日と25日、韓国の文在寅大統領が国連総会での演説で朝鮮戦争の終戦宣言を提案したことを巡り、2日連続で談話を発表した。 北朝鮮の高官が、それも金氏一族のメンバーが2日続けて談話を出すのは極めて異例だ。 先に出た談話で金与正氏は、北朝鮮への「敵視政策」が先に撤回されるべきだと強調。韓国に対して厳しいトーンだった。しかし25日には、自身の(24日の)談話に対する韓国の反応を「注意深く見た」とし、「北南関係を一日も早く回復し、平和 ...

豆満江(トゥマンガン)を挟んで中国吉林省延辺の対岸に位置する北朝鮮の国境都市・会寧(フェリョン)にはかつて、「西太后」との異名を取った女帝が君臨していたという。中世ではなく、現代の北朝鮮での話だ。 本名をチョン・ピルスンというこの女性は、ある方法で地元の権力機関を掌握し、家族とともに贅沢三昧をしながら優雅に暮らしていた。しかしある時、当局の捜査によって不正が暴かれ、刑場の露と消えた。 その経緯を、韓国紙・東亜日報記者で、脱北者出身のチュ・ソンハ氏が自身のブログで伝えている。チ ...

6月末の朝鮮労働党政治局拡大会議で崔相建(チェ・サンゴン)党書記兼科学教育部長が失脚させられたことを巡り、北朝鮮の一部の幹部たちの間で、上層部に対する不満が渦巻いているという。 同会議の途中で退席させられた崔氏はその後、一度も公開の場で姿が確認されていない。 北朝鮮において、会議の途中での退席は多くの場合、逮捕・拘束を意味する。その後に待ち受けているのは残虐な公開処刑や、生きて出ることの難しい管理所(政治犯収容所)送りだ。 (参考記事:女性芸能人たちを「失禁」させた金正恩氏の ...

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によれば、北朝鮮当局が最近、違法薬物と「性不良行為」を体制の脅威となる「悪性腫瘍」とみなし、撲滅に向けた全面戦争を繰り広げているという。 RFAの取材に応じた平安北道(ピョンアンブクト)のある住民によれば、「今回の薬物乱用と性不良行為に対する取り締まりは、国家保衛省(秘密警察)の主導で今年1月から全国的な規模で実施されている」という。 またこの住民は、「これまでと異なり、布告文や指示文を通じて一般住民に警告する手順を省略し、不意に現場 ...

北朝鮮の国営メディアは今まで、各地の幼稚園で行われている英才教育について報じてきた。ここで、平壌の蒼光(チャングァン)幼稚園について報じた朝鮮中央通信の記事を紹介しよう。 【平壌9月3日発朝鮮中央通信】朝鮮で、就学前教育が先進的に発展している。 蒼光幼稚園は、国の幼稚園教育部門で先んじている単位の一つである。 人民教員であるチョン・チャンスク園長によると、幼稚園では子どもの生まれつきの才能を把握し、素質によって教育することを原則としている。 幼稚園の教養員は、有能な大学卒業生 ...

非社会主義・反社会主義行為とは、北朝鮮当局が社会主義にそぐわない、或いは社会主義に反すると考える、風紀紊乱行為のことを指す。その対象は広範囲にわたるが、中でもターゲットとされているのが韓流コンテンツの消費、拡散と、チャイナテレコムなどの中国キャリアの携帯電話の使用、韓国や中国で働く脱北者からの仕送りを北朝鮮に残してきた家族に伝える送金ブローカー業だ。 韓国にほど近い黄海南道(ファンヘナムド)の海州(ヘジュ)では、学生2人が韓流を流布した容疑で公開裁判を受けた。 現地のデイリー ...

北朝鮮の国防科学院の張昌河(チャン・チャンハ)院長は20日、韓国が試射した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)について、「自慢用」にしかならない「出来損ないの兵器」であるとの分析を発表した。 韓国は15日、文在寅大統領立会いのもと、SLBMの発射実験に成功したと発表した。韓国は「世界で7番目のSLBM保有国」としているが、同国に先立ち、北朝鮮も発射実験に成功している。 北朝鮮の主張のポイントは、韓国が発射したのは比較的小型の短距離戦術ミサイルと同等のものであり、より大型の弾道ミ ...

かつては犯罪とは無縁とさえ言われたこともあった、北朝鮮社会。しかし、市場経済化の伸展に伴い貧富の差が拡大、金持ちを狙った犯罪が増えていると伝えられている。2018年には平壌の外貨商店支配人の孫娘を誘拐し、2万ドル(当時のレートで約227万3000円)の身代金を要求する事件が起きている。 もっとも、このような事件は例外中の例外で、犯罪と言っても窃盗がほとんどだったようだ。ところが昨今の経済難の影響で、凶悪事件が増加している。先月には平安南道(ピョンアンナムド)だけで、児童を狙っ ...

キム中級兵士に性関係を要求。それから2年間、彼女はリ上尉から性暴力を受け続けたという。 (参考記事:手錠をはめた女性の口にボロ布を詰め…金正恩「拷問部隊」の鬼畜行為) 少なくない脱北者の証言によれば、北朝鮮ではそもそも性暴力の概念が希薄で、セクハラやストーカー行為に対応する法律も存在しない。また、性暴力防止のための教育も行われておらず、被害に遭う女性が後を絶たない。中でも、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)内部では、男性の上官が優越的地位を利用して、女性の部下に対して性暴力を加える事件が ...