世界の多くの国には「軍事郵便」というものが存在する。基地で勤務したり、戦場で戦う将兵が、家族や知人宛ての手紙を送る場合に利用する特別な郵便制度で、国によっては検閲を受けることとなっている。 ネットが発達した今では以前ほどの重要性はないものの、北朝鮮の朝鮮人民軍では、依然として重要な通信手段だ。ただ、その不便さ故に、軍事機密が漏洩する事態が頻発している。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。 軍に入隊した友人の弟が、今年初めに生活除隊(不名誉除隊)させられたと述べ ...

大規模な再開発工事が行われていた北朝鮮北部の両江道(リャンガンド)三池淵(サムジヨン)。 金正恩総書記は、何度も現地視察に訪れるなど並々ならぬ関心を見せており、「革命の聖地」であると同時に新時代の「高原文化都市」でもあるため、他の地方と比べ冷遇されている両江道の中では、特別待遇を受けている地域だと言える。 それでも、新型コロナウイルスの全国的な感染拡大に伴う医薬品の不足からは、自由でいられないようだ。現地では治療薬がなく、代わりに麻薬を使って死亡する事例が起きている。詳細を現 ...

北朝鮮の南西部、黄海南道(ファンヘナムド)には広大な平野が広がり、昔から穀倉地帯として知られる。本来なら豊かな地域のはずだが、北朝鮮はこの地域を「新解放地区」、つまり朝鮮戦争前は韓国領だった地域で、思想的に問題があるとして、冷遇し続けてきた。 その最たる例が、2012年の大飢饉だろう。延安(ヨナン)、白川(ペチョン)、青丹(チョンダン)を中心とした地域では、極端な食料不足で2万人とも言われる餓死者を出した。 金正恩総書記の「指導者デビュー」を祝う「どんちゃん騒ぎ」を数カ月にわ ...

30日18時の時点で、発熱患者の累計が364万5620人に達した北朝鮮では、一部で新型コロナウイルスのワクチン接種が進められているようだ。 平壌市の幹部が、米政府系ラジオ・フリー・アジア(RFA)に語ったところによると、市内の和盛(ファソン)地区で進められている住宅建設に動員された兵士に対して、ワクチン接種が行われた。 接種は旅団ごとに設けられている現場衛生所で、派遣された軍医により行われた。それに先立ち、あたかも国家的行事であるかのように、建設指揮部の幹部が総動員された上で ...

米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)は31日、米海洋大気庁(NOAA)の分析に基づき、北朝鮮で干ばつが深刻化しているもようだと伝えた。 それによると、NOAAは4月11日から5月22日にかけて撮影された衛星写真を1週間単位で分析し、朝鮮半島とその周辺の「干ばつ指数(Drought index)」マップを提示した。マップは干ばつの程度に応じて「中間」が黄色、「高い」が赤、「深刻」が濃い赤で示されている。 特に、5月2~8日と9~15日分のマップを見ると、朝鮮半島北部の多く ...

北朝鮮国営の朝鮮中央通信は29日、同日開催された朝鮮労働党中央委員会政治局協議会で新型コロナウイルス対策が話し合われ、「全国的範囲で伝染病の拡散状況が統制、改善されていることについて肯定的に評価し、防疫の初期に積んだ経験をより強固にし、防疫戦況を引き続き安定、向上させていくための問題を討議した」と伝えた。 これを受け、韓国の主要メディアは平壌の封鎖が解除されたとする中国消息筋の情報も交え、北朝鮮が近く、新型コロナ対策の都市封鎖を解除するのではないかとする見方を報じた。 実際に ...

北朝鮮の朝鮮労働党中央委員会が29日、金正恩総書記の指導の下、党中央委員会本部庁舎で協議会を開催し、新型コロナウイルス対策などを討議した。 協議会では国家非常防疫司令部の集計として4月末から5月28日まで累計約344万8880人の発熱患者が発生したと報告された。 数字は大きいが、今のところ、新型コロナの拡散によって金正恩体制が揺らぐような事態にはなっていないと見られる。協議会でも、94.602%に当たる約326万2700人が全快したとして、感染拡大が抑え込まれている状況が示唆 ...

新型コロナウイルスの感染予防の最も基本となるのは、マスクの着用と手洗いの徹底だろう。北朝鮮国営の朝鮮中央テレビは、「手洗いと健康」という番組で、「世界的な災難をもたらした新型ココロナウイルス感染症の伝播を緩和するのに、手洗いは効果的な防止手段」だと強調している。 また、朝鮮中央通信は19日、「党中央の決定・指示に対する思考と行動の統一、自発的な一致歩調の中で非常防疫戦が深化」と題した記事で、次のように伝えている。 全国的範囲で隔離病棟が増設され、自宅隔離者が増えることに即して ...

北朝鮮において、性犯罪に関する正確な統計が存在するのかどうかは不明だ。もし存在したとしても、被害に遭ったのは女性の落ち度とする風潮が強いため、被害者が言い出せないまま、闇に埋もれてしまう事件が少なくないと思われる。 それでも時々、実態が垣間見える情報が伝わってくる。その多くが、人事などで優越的な地位にある男性の上司が、女性の部下を襲うパターンだ。 (参考記事:実は「性暴力の天国」だった金正恩の「革命の聖地」) だが、時にはそれとは逆の事件も起きている。咸鏡北道(ハムギョンブク ...

北朝鮮で昨年末に行われた朝鮮労働党中央委員会第8期第4回総会で、金正恩総書記は、多くの時間を割いて、農業問題の解決について力説した。その中に、このような一節がある。 低収穫地を改良して沃土に転変させるための闘いを中断することなく力強く展開し、平野地帯や中間地帯、山間地帯を問わず、全般的な農場でヘクタール当たりの収量を高めるための課題を提示した。 (参考記事:「農民の古い思想を根絶」金正恩氏、党総会で農村3大革命を提唱) この「低収穫地」はもちろん、既に耕作が行われている土地を ...

北朝鮮国営の朝鮮中央通信によると、25日18時までの24時間に確認された発熱患者の数は10万5500人余り。また、4月末から25日18時までの発熱患者の累計は317万380人余りで、289万8500人が全快し、68人が死亡した。 この「全快」とはどのような状態を指すのか。平壌のデイリーNK内部情報筋が説明した。 まず、自宅での隔離の場合は7日、隔離施設に収容された場合は7日から10日が過ぎると、熱や咳の症状があっても隔離が解除され、「全快」扱いとなる。発熱患者の中には、コロナ ...

韓国に派遣する工作員を養成する金正日軍事政治大学。朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の軍官(将校)を養成する金日成軍事総合大学。北朝鮮を代表するこの2つの軍事大学で、新型コロナウイルスのクラスターが発生した。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。 平壌の情報筋によると、国内でのコロナ感染者発生の公式発表があった週、金正日軍事政治大学では既に5人の感染者が発生していたが、17日の時点で数十人まで感染が広がった。その多くが、先月25日に行われた、朝鮮人民革命軍の創建90周年の軍 ...

北朝鮮国営の朝鮮中央通信によると、22日18時までの24時間に確認された新型コロナウイルス感染の疑いがある発熱患者は13万4510人余り。前日比で3万3130人減少し、最盛期に比べて多少落ち着いた感はあるものの、北朝鮮は依然として「非常防疫大戦」の真っ只中にある。 北朝鮮国営の朝鮮中央通信が国家非常防疫司令部の発表として伝えたところによると、 そんな中で、5人が脱北する事件が発生。金正恩総書記は徹底的な調査を指示した。 デイリーNK内部情報筋は、事件が起きた正確な日時について ...

最近、北朝鮮で子どもが死亡する事例が増えている。新型コロナウイルスによる感染症、あるいは別の感染症による発熱で亡くなる場合もあるが、それ以外の原因も指摘されている。南浦(ナムポ)のデイリーNK朝鮮人民軍(北朝鮮軍)内部情報筋が伝えた。 情報筋は、子どもたちが事実上、伝染病の脅威の前で放置されているとして、朝鮮人民軍第3軍団の指揮部の軍人の家族の間では、大人より子どもの死者が多いと伝えた。 その理由として情報筋が挙げたのは、食糧不足による栄養状態の不良だ。 (参考記事:北朝鮮国 ...

北朝鮮の金正恩総書記は15日、新型コロナウイルス対策の非常協議会の場で、医薬品供給が停滞しているとして、幹部らを厳しく叱責した。 このことは、連日国営メディアでも報じられているが、それを見た北朝鮮国民からは、批判的な声が上がっている。金正恩氏は、内閣と保健医療部門の担当者、中央検察所長らを槍玉に挙げたのだが、これが「いつものやり方だ」というものだ。咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。 (参考記事:「何の役割も果たせない」金正恩氏、コロナ対策で幹部ら叱 ...

最近の日本ではあまり聞かなくなった「当たり屋」。保険金などを目当てに、故意に車にぶつかる行為を指すが、ドライブレコーダーや監視カメラが普及したことで、なりたたなくなったのだろう。 ドライブレコーダーはおろか、車の普及すら進んでいない北朝鮮でも、当たり屋は存在する。その実態を、咸鏡南道(ハムギョンナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。 事件が起きたのは先月中旬のこと。咸興(ハムン)市の沙浦(サポ)区域で、チェという女性が貨物トラックに飛び込んだ。幸い、命に別状はなかったが、 ...