北朝鮮の首都・平壌郊外にある平安南道(ピョンアンナムド)平城(ピョンソン)で先月30日、女性講師と10代の生徒らが逮捕される事件があった。彼らの容疑とは、外国のダンスを教えた、習った、というものだ。詳細を米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じている。 平城の情報筋によると、市内の陽地洞(ヤンジドン)で、30代の女性講師は、10代の生徒6人に、液晶テレビに挿入されたUSBメモリに保存された外国の映像を見せながらダンスを教えていた。 この手のダンス教室は数年前から増加し ...

北朝鮮では、他人にカネを貸して利子を取る行為を法律で禁じている。刑法113条(高利貸罪)が定める最高刑は3年以下の労働教化刑(懲役刑)。しかし、1990年代後半の大飢饉「苦難の行軍」のころにヤミ金業が現れ、その後急増している。 特に昨今のコロナ不況下では多くの人がヤミ金に手を出しているが、当局が取り締まりに乗り出したと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。 咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋は、最近、住民の間で高利貸行為が増加し、これを取り締まれとする中央の ...

現在、韓国で暮らしている3万3000人あまりの脱北者。その8割近くは、中国との国境に接する咸鏡北道(ハムギョンブクト)と両江道(リャンガンド)の出身だ。中には北朝鮮に家族を残したまま脱北した人もおり、非公式なルートを通じた送金が行われている。 ところが、韓国に住む娘から送られてきた送金を受け取らないという女性がいる。咸鏡北道の会寧(フェリョン)に住むキムさんだ。それには、それなりの理由がある。 (参考記事:韓国在住脱北者から北朝鮮への送金、前年比で減少) 現地のデイリーNK内 ...

北朝鮮の朝鮮中央テレビが放映した旧正月(今年は2月1日)の祝賀公演の映像に、金正恩総書記の叔母で、2013年に処刑された張成沢(チャン・ソンテク)元朝鮮労働党行政部長の妻、金慶喜(キム・ギョンヒ)元党書記の姿が確認された。 金慶喜氏が公開の場に姿を現したのは約2年ぶりだ。金正恩氏と李雪主(リ・ソルチュ)夫人の右隣の席で公演を鑑賞。ほかの観客たちと同様に立ち上がって喝采を送る金慶喜氏に対し、金正恩氏が座席を指さして着席するよう勧めるなど、両者の親しさを示すような場面も見られた。 ...

北朝鮮で反動思想文化排撃法――別名「韓流取締法」により処罰される幹部が増加している。幹部本人よりもその子どもが韓流ドラマや映画などを視聴して摘発され、連座制で家族全員が処罰されているのだ。 (参考記事:犯罪者の4割は「韓流ドラマを見た、売った」…北朝鮮の極秘統計) デイリーNKの北朝鮮国内の高位情報筋によると、昨年後半から中央党(朝鮮労働党中央委員会)、内閣はもちろん、韓流を取り締まる立場の社会安全省(警察庁)など司法機関の幹部を含め、反動思想文化排撃法により処罰を受けた者は ...

2022年1月、北朝鮮は実に7回もミサイルを発射した。2011年12月に最高指導者となった金正恩総書記は、この間に金日成・金正日時代よりも遙かに多くのミサイル発射実験を行ってきたが、これほど集中的に実験が行われるのは異例だ。 集中的なミサイル発射実験の理由として挙げられるのは、2022年が金正恩氏と北朝鮮にとって節目の年であるということだ。金正恩氏は2021年12月に最高指導者(朝鮮人民軍最高司令官)として10年目を迎えた。2022年は金正恩時代の11周年となるわけだが、朝鮮 ...

2月1日の旧正月に向けて、北朝鮮の鉱山では労働者に対して食糧配給が行われた。かつてはふんだんな配給が行われていたが、国際社会の制裁で輸出ができなくなったことに加え、一昨年1月からのコロナ鎖国で、遅配、欠配が続いていた。 今回は久々の配給となったが、受け取った労働者からは不満の声が上がっている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。 (参考記事:北朝鮮の鉱山で食糧配給が全面中断「ネコババ」で食いつなぐ労働者) 両江道(リャンガンド)のとある鉱山で働く情報筋によると ...

北朝鮮が先月30日、中距離弾道ミサイル(IRBM)である「火星12」を発射した。金正恩総書記が示唆した核実験停止と大陸間弾道ミサイル停止のモラトリアム破棄が、現実のものとして迫ってきた形だ。 これを受け、南北融和を目指す立場から北朝鮮への刺激を避けてきた韓国の文在寅大統領も、「朝鮮半島の非核化と朝鮮半島の平和安定、外交的解決に向けた国際社会の努力に対する挑戦であり、国連安全保障理事会の決議に違反する行為」であるとして、危機感を表さざるを得なくなった。 だが、この期に及んでどん ...

北朝鮮の金正恩総書記が、またもや世界の注目を集め始めている。今年に入り、すでに7回にわたってミサイルを発射。30日に打ち上げられたものは到達高度2000キロ、飛距離800キロに達し、中距離弾道ミサイル以上の性能と見られている。 北朝鮮の動向は新型コロナウイルスの世界的な流行が始まって以来、極めて静かなものだった。医療・保健体制の脆弱さから、ひとたび国内で大流行となれば、体制が倒れかねないことを自覚してのことだ。 ではなぜ、コロナが収束してもいない今、またもや武力示威を強めてい ...

北朝鮮と中国を結ぶ貨物列車が今月16日、2年ぶりに再開された。多量の物資が北朝鮮に運び込まれたが、各地方への配送はまだ始まっていない。 いずれも、税関のある新義州(シニジュ)に隣接する義州(ウィジュ)飛行場に設置された国家西部物流総合処理場に運び込まれ、消毒された上で、隔離状態に置かれている。貨物の移動開始を前にして、首都・平壌への玄関口には、多数の人員が配属されていると、複数のデイリーNK内部情報筋が伝えている。 (参考記事:中国・丹東に北朝鮮の貨物列車…コロナ封鎖から2年 ...

国家主導の計画経済と配給制だけでは国の運営が成り立たなくなり、社会主義の体裁を失いつつある北朝鮮。なし崩し的に進行する市場経済化は、社会のあらゆるところに及んでいる。 夜の遊興文化もその例外でないことは、これまでもたびたび言及してきたが、韓国紙・東亜日報のチュ・ソンハ記者が最近、YouTubeチャンネルである具体的事例について語っている。 チュ氏が取り上げたのは、2017年夏に北朝鮮当局が摘発した平壌の「青春食堂」のケースだ。平壌駅の裏側、平川(ピョンチョン)区域にあるこの食 ...

北朝鮮の金正恩総書記にとって教化所(刑務所)の受刑者は、思い通りにできる都合の良い存在であり、意のままに酷使している。 国営の朝鮮中央通信は2020年7月、咸鏡南道(ハムギョンナムド)の金野(クミャ)郡に、数千ヘクタールの農地に水を供給する灌漑施設が完成したと報じた。同通信は「道内の活動家と道民の献身的努力によって」建設されたとしたが、現地のデイリーNK内部情報筋によれば、工事に動員されたのは28人の女性を含む郡の労働鍛練隊(軽犯罪者を収容する刑務所)受刑者たちだった。 現場 ...

年明けからすでに6回にわたってミサイルを発射し、軍事力増強を誇示している北朝鮮の金正恩総書記。その一方、国内ではキナ臭い空気が漂い始めている。 北朝鮮は、中国との国境に接した地域を中心に、非社会主義・反社会主義現象(当局の考える社会主義にそぐわない風紀紊乱行為)の取り締まりを続けている。それに対する国民の反感が、相当なレベルに達しているようだ。 咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、平壌の国家保衛省(秘密警察)から派遣されたメンバーと、咸鏡北道保衛局のメンバ ...

北朝鮮の社会安全省(警察庁)が、新型コロナウイルス対策として、国境と接する緩衝地帯に無許可で近づく者には、無差別に銃撃を加えるとの布告を出したのは2020年の8月。 それ以降、国境地帯で射殺される人が相次いでいたが、その方針に変化が生じつつある。咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。 (参考記事:「若者たちが戦っている」北朝鮮女性2人、無差別銃撃で死亡) 当局は、中国との国境を流れる豆満江沿いの両江道(リャンガンド)金亨稷(キムヒョンジク)郡、金正淑( ...

北朝鮮当局は、路上や裏道で店を開く露天商「イナゴ商人」に対する取り締まりを行っている。美観上よろしくない、コロナ対策違反だ、資本主義的行為だ、と言った理由を挙げているが、当局にとって決して少なくない税収である、市場管理税(ショバ代)が得られない、というのが一番大きな理由かもしれない。 だが、ショバ代が払えないほど零細なのがイナゴ商人。取り締まりから逃げ惑いつつも、したたかに商売を続ける彼女らは、時に取締官に強く反抗する。咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝 ...

 今月16日、北朝鮮と中国を結ぶ貨物列車の運行が2年ぶりに再開された。昨年1月のコロナ鎖国以降、首都・平壌近郊の南浦(ナムポ)港を通じた貿易が細々と行われてきただけで、北朝鮮国内では深刻な物資不足が続いてきた。今回の運行再開で、その状況にいくらかの変化が出ることが予想されている。  ところが、このニュースを耳にした北朝鮮国民の反応は歓迎一辺倒というわけではないという。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。  平安北道(ピョンアンブクト)新義州(シニジュ)の情報筋 ...