【実録 北朝鮮ヤクザの世界(上)】28歳で頂点に立った伝説の男
親分を射殺され、怒り心頭の構成員達は報復のため結集しようとしたが、事前にそれを察知した警察は、騒ぎの拡大を恐れてソクの両親にこう言った。
「葬式が行われれば騒ぎが大きくなるかもしれない。静かに埋葬して欲しい」
警察による厳戒のなか、ソクが埋葬される日に数百人の構成員達はその場に集結した。そして、彼らはこう胸に誓ったという。
「絶対にヤツら(軍人達)に復讐してやる!」
ソクを射殺した軍人が所属する部隊はグループの報復を恐れて24時間体制の非常警戒を敷いた。さらに、ソク射殺事件に関わった2人の軍人は、他の部隊に転属させられた。振り上げた拳の落としどころを失ったソク・グループは、徐々に構成員同士が内輪もめと分裂を繰り返し、数年後には自然消滅してしまった。
金正日による一斉検挙
ソク・グループは、あくまでも地域の愚連隊が拡大し、自然とヤクザに発展していったケースだったが、国家機関と癒着しながら裏の別働隊として利権をシノギにするヤクザ組織も存在していた。