新型コロナウイルスのパンデミックとウクライナ戦争に加え、北朝鮮国内でのコロナ感染拡大により、ロシア国内にいる北朝鮮労働者が困難な境遇に置かれていると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。 ロシアには現在、北朝鮮から数万人に及ぶ労働者が派遣されており、そのうちの相当数は北朝鮮軍の兵士たちだとされる。 労働者らは、不況のせいで働き口が激減し、さらには北朝鮮国内の家族とも連絡が取りにくくなっているという。 RFAがウラジオストクの情報筋の話として伝えたところによ ...

本格的に始まった北朝鮮の「田植え戦闘」。不足する農村での働き手を補うために、都市部の住民が、近隣の協同農場に動員されるのだが、どういうわけか死者が続出しているという。詳細を、黄海北道(ファンヘブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。 先月、黄海北道で農作業と関連して亡くなった人の数は50人。すべてがトラクターの事故によるものだ。北朝鮮には、舗装も補修もされていない道路が数多く存在するが、古いタイヤを装着したトラクターでの移動または作業中に、タイヤが破裂するなどして事故につな ...

北朝鮮は、今月12日の国営朝鮮中央通信の報道を通じて、国内での新型コロナウイルス感染者の発生を初めて公式に認めた。だが、実際は先月末ごろから感染を疑わせる患者が発生していたようだ。中国と国境を接する平安北道(ピョンアンブクト)の新義州(シニジュ)では、封鎖令(ロックダウン)が下される事態となっていた。 このことを伝えた現地ののデイリーNK内部情報筋によると、先月末ごろから発熱、咳、下痢などコロナ感染を疑わせる症状を見せる患者が急増。これは、国境の川の対岸にある中国・遼寧省の丹 ...

北朝鮮の金正恩総書記は15日に開かれた朝鮮労働党中央委員会政治局の非常協議会で、新型コロナウイルスの感染を抑え込むため「人民軍(北朝鮮軍)の軍医部門の強力な力量を投入して平壌市内の医薬品供給活動を即時安定させること」に関する党中央軍事委員会の特別命令を下達した。 朝鮮中央通信によれば、金正恩氏は協議会の席上、「先鋭な防疫戦争で高度の緊張性と警戒心を堅持し、全ての事業を科学的に細密に作戦、指揮していささかの手落ちと盲点も許してはならない」と強調し、「活動家が実質的な活動、実質的 ...

北朝鮮の朝鮮労働党中央委員会政治局は15日、前日に続いて新型コロナウイルス対策の非常協議会を招集。金正恩総書記はその席上、国民への医薬品供給が停滞しているとして、内閣と保健医療部門の担当者、中央検察所長らを厳しく批判した。 金正恩氏は「国家が調達する医薬品が薬局を通じて住民に適時に、正確に行き届いていない」として、内閣と保健医療部門を批判。 青ざめた幹部たち また、「全国的に医薬品取扱および販売で現れているいろいろな否定的傾向を正すことができずにいる」として、「厳しい時局にさ ...

北朝鮮で広がりつつある「絶糧世帯」。前年の収穫の蓄えが底をつき、食べ物が一切なくなった世帯を指す。春から初夏にかけての「春窮期」には、毎年のように絶糧世帯が現れるが、コロナ鎖国による食糧不足により、例年より深刻なようだ。 そんな北朝鮮の人々にとっての希望の光が、初夏に収穫が始まる麦だ。しかし、異常気象でそんな希望は消えつつあると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。 (参考記事:「もう食べるものがない」金正恩の足下で響き渡る悲鳴) 咸鏡北道(ハムギョンブクト) ...

北朝鮮は、先月25日の朝鮮人民革命軍の創建90周年に合わせて、首都・平壌で軍事パレードを行った。その裏で、前代未聞の事件が起こり、全軍に緊張と動揺が起きている。平壌のデイリーNK軍内部情報筋が伝えた。 軍事パレードの当日の明け方、軍事境界線沿いに駐屯している朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の第1軍団の指揮部直属の警備中隊の衛兵長室で、衛兵長として勤務していた第2小隊のチェ小隊長が、政治指導員と歩哨長を拳銃で射殺する事件が発生した。20代後半の彼は、同じ階級である政治指導員が、部下の兵士 ...

北朝鮮国営の朝鮮中央通信は13日、国内で4月末から原因不明の発熱症状を見せる人が爆発的に増え、18万7千人余りが隔離されて治療を受けており、6人が死亡したと伝えた。北朝鮮では前日の朝鮮労働党政治局会議で、国内での新型コロナウイルス感染者発生を初めて確認。金正恩総書記は「全国の全ての市、郡で自分の地域を徹底的に封鎖」するよう指示した。 実際のところ、北朝鮮では2020年の早い時期から、新型コロナ流行を疑わせる状況が見られていた。医療保健インフラの脆弱な北朝鮮はこれを体制の危機と ...

北朝鮮の朝鮮労働党は12日、金正恩総書記の司会の下、中央委員会第8期第8期第8回政治局会議を開催。首都・平壌で新型コロナウイルス感染者が発生したことが確認された。北朝鮮が、国内での感染者発生を認めるのは初めてだ。 朝鮮中央通信によれば「国家非常防疫指揮部と当該の単位では去る5月8日、首都のある団体の発熱者らから採集した検体に対する厳格な遺伝子配列分析の結果を審議し、最近、世界的に急速に伝播しているオミクロン変異株『BA.2』と一致すると結論した」という。 そして、金正恩氏はこ ...

北朝鮮の片田舎で凄惨な強盗殺人事件が発生し、当局と庶民に衝撃を与えていると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じている。 金正恩総書記の参加の下、北朝鮮の首都・平壌で朝鮮人民軍(北朝鮮軍)創建90周年を記念する閲兵式が行われた4月25日の夜、平安南道(ピョンアンナムド)でその事件は起きた。 RFAが道内の司法関係の情報筋の証言として伝えたところによると、事件の概要は次のとおりだ。 家人が寝静まった檜倉(フェチャン)郡のある民家に、盗賊が侵入。1階で寝ていた男性チェ ...

北朝鮮は昨年12月、政治犯の分類システムを新たに構築し、各地の管理所(政治犯収容所)に収監されていた政治犯のうち、より罪状が悪いとされた約6割の人を咸鏡北道(ハムギョンブクト)の化城(ファソン)にある16号管理所に移した。 この16号管理所内でも機構の再編があったと、デイリーNK内部情報筋が新たに伝えた。 (参考記事:「悪人」にはより大きな苦痛を…金正恩の新たな処罰システム) それによると、もともとは施設全体が国家保衛省(秘密警察)の管理下にあった管理所を、国家保衛省管理下の ...

1990年代後半の北朝鮮を襲った未曾有の食糧危機「苦難の行軍」。人々は山を切り開き、「トゥエギバッ」と呼ばれる田畑を耕し、そこで育てた穀物や野菜で食いつなぎ、余剰作物を市場で販売することで現金収入を得た。 まさに生命線であり、こうして生まれた資金が別の商売の資本になるなどして、北朝鮮の市場経済も発展した。 ただ、北朝鮮は個人の土地所有を認めておらず、国の都合でトゥエギバッは何の補償もなしに奪われることもある。農業不振、食糧不足に苦しむ北朝鮮は、田畑にするための「新しい土地探し ...

2020年12月に制定された北朝鮮の反動思想文化排撃法。主に韓流の流入阻止を目的に制定された法律だ。デイリーNKが昨年入手した説明資料によると、南朝鮮(韓国)の映画、録画物、編集物、図書、歌、絵、写真などを見たり聞いたり、流入、流布させた者には5年から15年の労働教化刑(懲役刑)に処すと同法27条で定められている。 しかし、恣意的な理由で量刑がころころ変わるのが、北朝鮮式の法治主義。この法律に違反した容疑で逮捕、起訴された女性に対して最近、15年を超える判決が下された。平安南 ...

北朝鮮の兵役は例年、春と秋に一斉に満了期間を迎える。最近になって1〜2年短縮されたとは言え、7~8年もの兵役期間は依然として世界最長だ。そんな兵役を終えた人々は、軍服を脱いで家族の待つ家に戻り、地方政府の軍事動員部に除隊申告をして、新しい職場への配置を待つ。 ところが、昨年から状況が変わった。 米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋の話として伝えたところによると、朝鮮労働党咸鏡北道委員会と軍事動員部は、兵役を満了した兵士を集めて突撃隊 ...

伝統的にお年寄りを大切にする朝鮮。北朝鮮の国営メディアには、100歳を迎えた人を祝う記事がしばしば登場する。例えば、昨年11月の朝鮮中央通信は次のように報じている。 ナム・チュンセクさんに100歳の誕生日の祝い膳 【平壌11月10日発朝鮮中央通信】朝鮮労働党と国家の人民的施策によって長寿者が日ごとに増える中、平安南道順川市龍岳洞第64居住人民班在住のナム・チュンセクさんが100歳の誕生日を迎えた。 敬愛する金正恩総書記は、100歳長寿者のナムさんに恩情のこもった誕生日の祝い膳 ...

北海道・知床半島で起きた観光遊覧船の沈没事故。運航会社の杜撰な安全管理が徐々に明らかになりつつあるが、日本とは比べものにならないほど杜撰なのが北朝鮮だ。 一時期、日本の日本海沿岸に北朝鮮の木造船が大量に漂着していたが、漁業振興をとなえる金正恩総書記の命令に従い、遠洋漁業に耐えられないような粗雑な作りの漁船が、安全装備もないままに大量に出航していたことが背景にある。 その後、「新型コロナウイルスが海水を通じて感染するかもしれない」との根拠が不確かな理由により、出漁が禁じられ、漂 ...