30代男性にガソリンをかぶらせた北朝鮮の「貧困と絶望」

そして遺族は、理由を問わず、敵対階層に分類される。しかし、保安署(警察署)は男性が「精神疾患病を抱えていた」ことにして事件を処理し、問題にはならなかったという。

労農赤衛隊長の父が、保安署長とのコネで事件をもみ消させたのか、地元から「反革命分子」を出すと、保安署、保衛部(秘密警察)関係者が責任を取らされることをおそれたのか、理由は定かでない。

国際社会の制裁にさらされながらも、首都・平壌に住む人々や、地方在住の幹部やトンジュ(金主、新興富裕層)はかなりの裕福な暮らしをしている。一方で、北朝鮮の人口の大多数を占める、地方在住の一般庶民は、ただでさえ苦しかった暮らしが制裁の影響でさらに苦しくなっている。

(参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち