「私たちは性的なおもちゃ」被害女性たちの血のにじむ証言…報告書「理由もなく涙が出る」を読む

「政府の人間や力のある男によるこの手の暴力は極めて正常なものと受け止められているため、どこかに通報するなんて想像もできませんでした。『法の執行官』が加害者なのにどこへ行けというのですか。私たち(被害者)が被害を受けたことすら認識できていないのに、誰が助けてくれるというのですか。性暴力は間違ったことで、自分の責任ではありません。しかし、『法の執行官』が自分を保護してくれるなどとは、北朝鮮では考えたことすらありませんでした」

北朝鮮は2017年7月、国連女性差別撤廃委員会に対する報告で、性的暴行罪での処罰者数を2008年9人、2011年7人、2015年5人、上下関係を利用しての性的暴行の処罰者数を2008年5人、2011年6人、2015年3人などと報告したが、実際はこれより遥かに多くの事例があるものと思われる。摘発事例が少ないのは、性暴力を取り締まる側の保安員、保衛員などが加害者になっているために他ならない。

北朝鮮で幹部を務めていた証言者によると、性暴力が事件化するのは政治的な背景がある場合に限られるという。