「私たちは性的なおもちゃ」被害女性たちの血のにじむ証言…報告書「理由もなく涙が出る」を読む
ある保安員から連絡が来ないようにしてほしいというのだ。事情聴取で「性的暴行はどうだったか、どんな気分だったか」と事細かく聞いてくるのだという。ペクさんが保安所に「(被害者の嫌がることは)止めてやって欲しい」と伝えたところ、捜査そのものが終了してしまった。
北朝鮮で大学教授だったキム・チョルグクさんは2014年、両江道で保安署の幹部となった友人からこのような話を聞かされた。保安員たちは性暴力の案件の取り調べで、加害者、被害者の話を聞くのは「ポルノを見るより楽しい」と考えているというのだ。
また、このような話も聞かされた。権力者の娘に性的暴行を加えた容疑で、党の高級幹部を取り調べていたが「面倒なことになった。うまく処理しなければならなかったのに、静かに終わらせてくれないか」と逆に凄まれたというのだ。結局、幹部は教化所送りにはならず、降格、僻地への追放で済まされた。これでも被害女性が権力者の娘だったから、ここまでの処罰になったのだ。彼女は「事を荒立てた」との理由で非難された。