「国家のウソを暴露」テレビ放映に北朝鮮国民も当惑
「この映画は『1950年6月25日午前5時に、米帝の不意をついた侵略で朝鮮戦争が始まった』という、今までの国のプロパガンダの内容とは完全に異なる」(情報筋)
映画では、戦争が6月24日の夜に始まっており、米軍の奇襲で戦端が開かれたのではなかったことが詳細に描かれてしまっている。つまり、「国家的なウソを自ら暴露した形になる」というのが、情報筋の説明だ。
言うまでもなく、朝鮮戦争は北朝鮮による先制攻撃から始まったものだ。北朝鮮当局はその事実をひた隠しにし、海外情報に触れて真実を語ろうとする者がいれば、政治犯収容所に送るなど厳しく抑えつけてきた。(参考記事:北朝鮮女性を追いつめる「太さ7センチ」の残虐行為)
そんな実態について、薄々気づいていた人もかなりいたとのことだが、今まで教えられてきた「帝国主義勢力の侵略をはねのけ、国を守り抜いた」という国の根幹に関わる歴史が完全な虚構だったと知った人びとは、怒りをあらわにしているとのことだ。(参考記事:北朝鮮の若者に通じなくなった「朝鮮戦争は韓国が始めた」という嘘)
金日成氏や故金正日総書記の業績の扱いを小さくし、金正恩総書記の神格化を進めるプロジェクトが行われており、「72時間」のテレビ放映はその一環かもしれないが、そうだとしても、あまりにも無謀な手法だろう。映画製作の当初の目的は、「米国や韓国への敵愾心を煽る」もののはずだったのだが……。
その一方で、2025年の新作映画が公開されたが、評判は散々なようだ。両江道の幹部によると、この映画は「対決の昼と夜」だ。