「金持ちまで餓死」北朝鮮国民がさまよう阿鼻叫喚の巷

村のハーモニカ住宅(長屋)に住んでいた6世帯は、皆同じベアリング工場に勤めていたが、給料も配給もほとんどもらえず、極貧生活を送っていた。うち2世帯は絶糧世帯(食べ物が底をついた世帯)となり、結局餓死した。別の2世帯は子どもと母親が熱病で死亡し、さらに別の1世帯では、あまりの生活苦に悲観した夫が自ら命を絶った。

一方、商売や密輸で儲けて豊かな生活をしていたトンジュ(金主、ニューリッチ)の間でも、絶糧世帯が出るほどの有様となっている。

平壌のデイリーNK内部情報筋によると、南浦(ナムポ)に住んでいたAさんは、自分名義の船を所有していた「船主」と呼ばれるトンジュで、北朝鮮と中国を行き来して貿易業を営み、市内に2部屋のマンションを持つほど豊かだった。

ところが今年初め、Aさんは貿易法に違反したとの理由で摘発され、革命化(下方)と全財産没収の処分を受けた。残された家族は、家財道具を売って得たカネで食糧を買うほどの困窮生活に追い込まれた。