文在寅政権下で増幅する韓国「金融危機」の現実的リスク

しかも、価格の上昇速度は以前より急激だ。不動産投機(投資)を極端なまでに敵視する政策――たとえば固定資産税と不動産譲渡税を両方一気に上げるという矛盾したやり方が、不動産の流通を凍り付かせ、数少ない売り物の価格上昇が全体の相場を引っ張っているのである。

しかし考えずともわかることだが、韓国に人々の居住の需要を満たす住宅がないわけではない。もちろん、売り物と買い手の希望に合わない需給のミスマッチが起きているにせよ、流通が復活すれば価格上昇もある程度は解消されるはずなのだ。

一方、韓国ではコロナ禍の中で、金融市場にひとつの異変が起きた。20代・30代の大量の若者が、株式市場に飛び込んだのだ。主な動機は、住宅資金作りである。もはや給料を貯めるだけでは到底、住宅購入の資金を賄うことができず、株のトレードで手持ちのカネを大きく増やす勝負に出たのである。

韓国で「東学アリ」と呼ばれるそうした若いトレーダーたちが、不運にも大金を溶かした、という話を、今はあまり聞かない。全体として、悪くない結果を出せているのかも知れない。ただ気になるのは、少なくない東学アリたちが、借入を投資に充てていると思しいことだ。相場が予想と逆方向へ大きく振れたとき、過大な借金をして投資したトレーダーの思考の幅は、一気に狭まると言われる。

いつ下がるかも知れない住宅と株に、大量の借金が流れ込んでいる――これが一気に弾けたら、まさに「核爆弾級」のダメージを韓国経済に与えかねない。ただ、こんな状況があったとしても、それが即、危機の下地となるわけではない。問題は、ここに「文在寅政権というリスク」が加わることだ。

(参考記事:「文在寅一派はこうして腐敗した」韓国知識人”反旗のベストセラー”が暴く闇