国家安全保衛部――北朝鮮「秘密警察」の知られざる内幕
このため、中国との国境の最前線である恵山市などでは、士気を高めるためにここ数年、「英雄称号」が乱発されているとされる。また、2010年には北京で脱北者情報を集めていた情報員2人が、報酬の少なさを理由に上司の保衛部員を殺害する事件も起きている。
金正恩氏が権力の座について年末で5年になる。その間、北朝鮮政府は対外的に「政権の盤石さ」をアピールすることに躍起になってきた。だが、その裏で汗をかいてきた保衛部の現場に危うい空気が漂っている点を看過しては、北朝鮮の今後を見誤る可能性がある。末端の保衛部員と情報員もまた、生存を賭けて戦う北朝鮮大衆の一部なのである。