国家安全保衛部――北朝鮮「秘密警察」の知られざる内幕
「秘密警察」「情報機関」「思想統制機関」など様々な顔をあわせ持ち、悪名高い政治犯収容所を運営するなど、北朝鮮の体制維持の要を握る保衛部の名はよく語られるが、彼らが具体的にどのように国民を取り締まるのかはあまり知られていない。
そのカギを握るのが情報員であるという事実が、キム氏の「受賞」から見えてくる。
取材協力者によると、キム氏は普段から、当局により密輸行為を黙認されてきたという。
北朝鮮ではすべての成人男性が公式に認められた職場に所属せねばならないため、軍の外貨稼ぎ会社に籍を置いてはいたものの、実際は毎月いくらかの現金を会社に納めることで出勤を免除され、自由な時間を過ごしていた。
違法行為も黙認
ここまでは、現金さえあればある程度の融通がきく北朝鮮社会では珍しくない話だ。