北朝鮮当局は先月、新型コロナウイルスの感染拡大を防止し、さらには農村支援戦闘の妨げにならないように、市場の営業時間を短縮する措置を取った。両江道(リャンガンド)では道内の市場がすべて閉鎖されたが、これに反発する多くの商人が、抗議活動を起こした。 これに恐れをなした当局は、市場閉鎖の方針を撤回したが、両江道の東隣の咸鏡北道(ハムギョンブクト)でも抗議活動が起きていたと、同道の幹部が米政府系のラジオ・フリー・アジアに語った。 (参考記事:コロナ対策の市場閉鎖に北朝鮮国民が猛反発「 ...

北朝鮮が、金正恩体制を非難するビラを北に向けて散布した韓国の脱北者団体と、それを許容した文在寅政権への強硬姿勢を強めている。文在寅政権は、さっそくビラ散布を取り締まる姿勢を示すなど腰砕けの様相だが、北朝鮮がそれほど神経質になるビラとはどんなものなのか。(参考記事:【写真】水着美女の「衝撃写真」も…金正恩氏を悩ませた対北ビラの効き目) 最近、脱北者団体・自由北韓運動連合が北に向けて飛ばしたビラには、北朝鮮の一般国民が決して知ることのできない金一族の「秘密」が書かれている。 ビラ ...

今月7日に行われた北朝鮮の朝鮮労働党中央委員会第7期第13回政治局会議。金正恩党委員長は、首都市民の生活保障において早急に解決すべき問題を具体的に指摘し、会議では、平壌市民の生活における問題を解決するための重要問題が討議されたと、国営の朝鮮中央通信が伝えている。 (参考記事:化学工業の強化などを討議…北朝鮮で党政治局会議) それもそのはず、1990年代後半の大飢饉「苦難の行軍」の時でさえ行われていた平壌市民に対する食糧配給が、このところ長期間にわたり止まっているというのだ。 ...

巨大な兵力を抱える北朝鮮の朝鮮人民軍は、周辺国に圧迫感を与えるイメージとは異なり、その内実はかなり杜撰だ。 食糧や生活必需品の補給を、もはやまともに機能していない計画経済システムに頼っているため、末端の兵士たちは常に腹をすかせている。家族からの差し入れが得られない者は、栄養失調にかかるほどだ。 僻地の部隊では軍官(将校)までもが耐乏生活を余儀なくされる。 (参考記事:燃料がなく落ち葉を…北朝鮮軍人の「貧乏トーク」に国民もショック) そんな中でも例外と言えたのが、国境警備隊だ。 ...

咸鏡北道(ハムギョンブクト)在住の情報筋が韓国デイリーNKに伝えた話しによれば、「今月初め、清津(チョンジン)市をはじめとする道内の社会安全部(警察)幹部らを対象に、南朝鮮(韓国)からの敵宣物の危険性に関する講演が行われた。講演では敵宣物によって思想が変質し、南朝鮮への憧れを露骨に表現し、国家を非難したある男性を処刑したとの言及があった」という。 ここで言う「敵宣物」とは、韓国の脱北者団体が北へ向けて飛ばしている金正恩体制非難のビラや、同様のコンテンツが記録されたメモリカード ...

北朝鮮が、金正恩体制を非難するビラを北に向けて散布した韓国の脱北者団体と、それを許容した文在寅政権への強硬姿勢を強めている。 連日のように非難談話を発表し、首都平壌では大規模な抗議集会を開催。そうした一連の動きの幕を切って落としたのは、金正恩朝鮮労働党委員長の妹・金与正(キム・ヨジョン)党第1副部長が4日に発表した、脱北者を口汚く罵り、韓国政府にビラ散布禁止の法制化を迫る談話である。 そして朝鮮労働党機関紙・労働新聞は7日付で、「朝鮮労働党中央委員会第1副部長の談話に接した各 ...

韓国で2014年4月に発生したセウォル号沈没事故では、304人もの貴重な命が失われた。韓国政府は沈没直後から長期に渡り、海底に沈んだ船体内で行方不明者の捜索を繰り返した。事故から3年後、韓国政府は船体を引き上げて、船内を隅々まで捜索、行方不明者の遺骨を収集した。 このように韓国の人々にとって、家族の遺骨を手厚く葬ることはとても大切なことだが、それは同じ民族である北朝鮮の人々も同じだ。死者や墓地を粗末に扱えば、怒りを爆発させる。 それなのに、家族との再会を果たせず、丁重に葬って ...

北朝鮮は知る人ぞ知る鉱物資源の宝庫だ。正確な統計が公表されていないため詳細はわかっていない部分が多いのだが、韓国鉱物資源公社が2009年に行った調査では、金の埋蔵量は2000トンと推定され、それが正しければ世界9位となる。 中でも、中国との国境に面した両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)市から8キロ離れたところにある大鳳(テボン)鉱山は、純度98.7%の質の高い金が産出されることで知られる。 (参考記事:北朝鮮「金」で制裁を打破せよ!…世界9位の埋蔵量に期待) 大飢饉「苦難 ...

北朝鮮の金正恩党委員長は昨年12月、北部の両江道(リャンガンド)三池淵(サムジヨン)地区の再開発事業の竣工式に参加した。 三池淵には、民族の霊山である白頭山があり、さらには抗日パルチザン活動を行っていた金日成主席の本拠地で、金正日総書記の生家とされている「白頭山密営」もある。つまりは何重もの意味で「聖地」なのだ。そんな三池淵を誰もが羨む現代的高原都市に作り変えようというのが、件の再開発事業である。 (参考記事:金正恩氏「三池淵」再開発の竣工式に参加) しかし、竣工式は行ったも ...

北朝鮮の金正恩党委員長が先月21日、同国東部・江原道(カンウォンド)の元山(ウォンサン)軍民発電所に「親筆書簡」(自らサインした書簡)を送り、現場の幹部と労働者に労苦に多大な感謝を表したという。これを受け、現場の幹部は大きく胸をなでおろし、文字通り「生き返った」ような感慨に浸っていると、デイリーNKの内部情報筋が伝えてきた。 金正恩氏は、自ら目をかけている工場やインフラ、建設現場で問題が生じると、火を噴くように激怒することがある。 実際、2016年にはスッポン工場を視察した際 ...

北朝鮮が、警察庁に相当する人民保安省の名称を「社会安全省」に変更したことが3日、同国メディアの報道を通じて確認された。 北朝鮮メディアが人民保安省の名称に言及したのは5月24日、朝鮮労働党中央軍事委員会拡大会議の開催を伝える報道が最後だから、同会議の結果、組織名が変更されたとみられる。 同省は、1951年に内務省から独立して発足。当時の名称も社会安全省だった。その後、「社会安全部」「人民保安省」「人民保安部」などと改称を繰り返してきた。2016年、国防委員会の廃止に伴って金正 ...

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が、平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋の話として、中央党(朝鮮労働党中央委員会)が、高級中学校(高校)の男女の生徒の間で「非道徳的な性的逸脱を行う者が増えている」として、強力な対策を立てるように指示したと報じている。 情報筋は、党が指摘する「非道徳的」な現象は、新型コロナウイルス感染防止のため、休校が続いたことも影響していると情報筋は見ている。ずっと家にいると「よからぬ映像」などを見てしまい、それを友人間で交換することで性行為が増え ...

北朝鮮で、数十万人の餓死者が出たとされる1990年代の大飢饉「苦難の行軍」時代を彷彿させる事件が起きた。 咸鏡南道(ハムギョンナムド)のデイリーNK内部情報筋によれば、事件が起きたのは今月1日午後11時頃のことだ。情報筋は具体的な場所に言及していないが、鉄道の線路上に設置された3300ボルトの架線が60メートルに渡り切断され、3日に復旧するまで鉄道の運行が中断する事態となった。 北朝鮮第2の都市である咸興には、重化学工場が密集しており、労働者の通勤、資材や完成品の輸送のために ...

北朝鮮の東海岸の糧政事業所(食糧事務所)で、夜間警備を行っていた保衛隊員が刺殺される事件が起きた。当局は捜査に乗り出したが、どういうわけか殺人事件そのものより、現場から消えたあるモノを探すのに血眼になっている。 事件が起きたのは今月中旬。北朝鮮第2の都市、咸興(ハムン)に隣接する咸鏡南道(ハムギョンナムド)咸州(ハムジュ)郡の糧政事業所で、30代の人民保衛隊員、ハンさんが刺されて死んでいるのを同僚が発見した。 保衛隊とは、準軍事組織の労農赤衛軍の下にある保安部隊のことで、工場 ...

かつての北朝鮮は、日々の食料品はもちろん、細々とした生活必需品から住宅に至るまで国が配給する、高度な配給国家だった。それを支えていたのは旧共産圏からの援助だったが、旧共産圏の崩壊で援助が得られなくなったことに加え、長年の失政、度重なる自然災害などで、1990年代後半には配給が実質的にストップしてしまった。 数十万とも言われる人が飢えて命を落とし、生き残った人は食べ物を求めて各地をさまよい歩いた。そういう人々のことを「コチェビ」と呼ぶが、今に至るまで物乞いをして食いつないでいる ...

1990年代後半の北朝鮮を襲った大飢饉「苦難の行軍」。国の食糧配給システムが機能しなくなったことで餓死者が大量発生した。その数は数十万人とも言われる。その後、市場経済化の進展などで食糧供給は安定し、そうそう餓死者が出るような状況ではなくなった。 しかし、例外もある。朝鮮人民軍(北朝鮮軍)だ。以前から食糧配給に問題があり、栄養失調にかかる兵士が続出している。両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋は、最近になって状況がさらに悪化していると伝えた。 今月中旬、三水(サムス) ...