北朝鮮では、何かにつけて政治的な内容の「講演会」が行われている。講師を呼んでためになる話を聞く類のものではなく、当局が北朝鮮国民に思想教育を実施する場となっている。最近になって、講演会の開催が増えているが、参加者の反応は極めて悪いと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じている。 平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋は、今月に入ってから、朝鮮労働党と金正恩総書記の偉大さを強調する住民講演会が毎週火曜日に全国的に開催されていると伝えた。 開催に当たって講演提綱(レジュ ...

北朝鮮の通貨、ウォンには2種類のレートがある。公式レートでは、1ドル(約143円)が100北朝鮮ウォン程度に設定されている。このレートを用いる人は、外国人観光客などを除けばほとんどいない。 実際に使われているのは市場レートで、1ドルは8000北朝鮮ウォン程度。コロナ前と同程度だが、コロナ鎖国下で北朝鮮ウォン高となり、一時は4000北朝鮮ウォン台となっていたが、今年に入ってから北朝鮮ウォン安となっている。 このレートの動きと関連があるかは不明だが、首都・平壌郊外の商業都市、平城 ...

朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の総政治局が8月、全軍団司令部の政治部、幹部部(人事部)の養成課に次のような指示を下したと、デイリーNKの内部情報筋が伝えている。 「男性99号検査、女性産婦人科検査を、指示があるまで当分の間行わないこと」 何のことかというと、兵士が性感染症にかかっているかどうかの検査を中止しろという意味だ。ちなみに「男性99号検査」とは梅毒の検査のことだ。 この指示の背景には、ある事件があった。 航空・反航空軍(空軍・防空軍)の司令部直属の区分隊で7月、ひとりの男性兵 ...

北朝鮮当局が今月14、15の両日にわたり開催した第7回全国法務活動家大会で「反動思想文化排撃法」を根拠とした反社会主義・非社会主義(以下、反社非社行為)取り締まりの強化を強調したことが分かった。今後、思想の緩みを警戒した国民検閲が一層厳しくなるものと見られる。 北朝鮮のデイリーNK内部情報筋が伝えたところによると、北朝鮮当局は反動思想文化排撃法が制定されてから2年近くが経過したにも関わらず、「いまだ反社非社行為が蔓延している」との判断に立ち、2017年10月から5年ぶりに全国 ...

北朝鮮の首都・平壌の奥座敷とも言うべき、山間の温泉保養地、陽徳(ヤンドク)。古くから温泉地として知られていたが、金正恩総書記が旗振り役となり、殺到する中国人観光客を誘致にするために巨大な温泉リゾートが建設され、2020年1月にオープンした。 ところが、その後に世界的な新型コロナウイルスの大流行が始まったのは周知の通り。北朝鮮は外国人観光客の受け入れを中止し、リゾートは閑古鳥が鳴く事態となってしまった。 恐怖に震える それまで比較的豊かな生活をしていた観光地の従業員はたちまち困 ...

北朝鮮国営の朝鮮中央通信は14日、「人民の心の中に深く刻まれた共和国旗」というキャプションを付け、北朝鮮の国旗がデザインされたTシャツを着た男児の写真を配信している。 これ以外にも、国旗Tシャツを着た写真が複数配信されているのだが、「党の喉と舌」とされる北朝鮮メディアは、当局の指示に従ってこれら写真を配信していることは間違いない。 実際、平壌のデイリーNK内部情報筋は、「強制的な指示が下されて始まったもの」だと証言している。朝鮮労働党の宣伝扇動部の、思想教養(思想教育)計画に ...

北朝鮮では8月と9月が、国家社会財産愛護月間に指定されている。これは、工場、企業所、機関の設備や備品を従業員が盗み出し、売り払って生活の足しにする現象が、1990年代後半の大飢饉「苦難の行軍」のころから、当たり前のように行われていることを反映したものと言えよう。 その真っ只中に、医薬品を盗み出して市場に売り払っていた保衛部(秘密警察)の軍医が逮捕される事件が起きた。咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。 逮捕されたのは、会寧(フェリョン)市保衛部に務め ...

北朝鮮人権国際議員連盟(IPCNKR)の韓国代表団として訪米中の与党・国民の力の河泰慶(ハ・テギョン)、池成浩(チ・ソンホ)、洪碩ジュン(ホン・ソクジュン)の各議員らは14日(現地時間)、2019年11月に当時の文在寅政権が北朝鮮に強制送還した脱北漁民2人の身元を公開した。 2人はいずれも咸鏡北道(ハムギョンブクト)の清津(チョンジン)出身で、20代の若者だった。 デイリーNKの北朝鮮内部情報筋によれば、2人は送還後、50日間にわたる拷問の後に処刑されたという。 (参考記事: ...

韓流コンテンツの視聴、販売のみならず、韓国式のファッション、言葉遣いやアクセントにまで取り締まりの対象を広げるなど、韓国文化の影響排除に血眼になっている北朝鮮当局。 度々、若者がその見せしめで処罰されているが、古臭く政治集のプンプンする当局推奨の北朝鮮製コンテンツより、面白くてかっこよく、オシャレでリッチな韓国製のコンテンツの人気を抑え込むことは到底できないだろう。 (参考記事:男女8人を吊し上げの刑…北朝鮮が手を焼く「若者の乱れ」) さて、今回北朝鮮当局がやり玉にあげたのは ...

労農赤衛隊とは、1959年1月に創設された北朝鮮初の民兵組織だ。隊員は平時、工場や農場で働きつつ、民間防衛の業務を担う。有事の際には、正規軍の朝鮮人民軍(北朝鮮軍)と共に地域防御、正規軍への弾薬などの輸送などを行う。2010年10月10日の朝鮮労働党創建65周年の軍事パレード以降は「労農赤衛軍」と呼ばれるようになった。 最近、その動員体制と戦闘能力に対する検閲(監査)が行われた。民間防衛の武力の政治的、軍事的威力を強化することが目的だが、その結果が散々なものに終わり、関係者を ...

北朝鮮北部の両江道(リャンガンド)は、標高が高く夏でも涼しいため、ほとんどの地域で稲作が行われていない。主要な作物と言えば、ジャガイモ、大豆、トウモロコシ、アワ、燕麦などだ。 地域住民の多くが、家の裏庭や近隣の山の中腹にトゥエギバッ(小規模農地)を所有しているが、収穫期を迎えて、盗難が多発している。道内の金正淑(キムジョンスク)郡では、畑の持ち主が窃盗犯に襲われ死亡する事件が起きた。 現地のデイリーNK内部情報筋によると、事件が起きたのは今月初め。被害者は50代男性のキムさん ...

北朝鮮で、占いは違法行為とされており、取り締まりの対象となっている。当局は取り締まりを繰り返し、占い師を処刑するなどの弾圧を加えているが、社会が不安定で情報が少なく、未来が見通せない国情の下、占いの需要は一向に減ることはない。 一昨年の清明節の日、占い師とそれにすがる女性とその息子を巡ってひと騒動が起き、地域では事件の噂で持ちきりになったという。 (参考記事:「公開処刑」でも止められない北朝鮮国民の占い中毒) 話の主人公は、40代女性のキムさん。中国との国境に程近い、平安北道 ...

ウクライナのクレバ外相は7日、ツイッターで、親ロシア派武装勢力「ドネツク人民共和国」から引き渡されたイギリス人男性ポール・ユーリーさんの遺体に「言うに堪えないほどの拷問を受けた痕跡がある」と明らかにし、「民間人を拘束し拷問するのは、野蛮で凶悪な戦争犯罪行為だ」と非難した。 ユーリーさんは4月、ウクライナ南東部ザポロジエ近郊で4月に拘束されていた。親ロシア派側は、ユーリーさんはウクライナ側の外国人傭兵だったと主張。死因についても「持病の悪化とストレス」によるものだと説明している ...

北朝鮮当局が最近、凶器を使用した犯罪が増えることと関連し、司法機関に住民に対する思想教育の強化を指示したと米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。 咸鏡北道(ハムギョンブクト)のある司法関係者はRFAに対し、「最近、生命に直接脅威を与える刃物をはじめとする凶器を使った犯罪行為が増えていることと関連して、社会安全省(警察庁)の指示が8月29日付で全国の社会安全機関に下された」としながら、「指示文には凶器使用犯罪に対する警戒心を高める思想教育を強化せよとの内容が含 ...

北朝鮮の黄海北道(ファンヘブクト)南部にある平山(ピョンサン)管理所で今年4月、2人の収容者が脱走し、一帯が騒然とする出来事があったという。管理所とは政治犯収容所のことで、その内部ではあらゆる人権蹂躙が横行している。 まさに、金正恩総書記の恐怖政治を下支えする機関と言える。 デイリーNKの現地情報筋によれば、「今年4月、収容者の男性2人が脱走し、48時間後に沙里院(サリウォン)市内で捕らえられたが、この事件で黄海北道(ファンヘブクト)全体が大騒ぎになった」(情報筋)という。 ...

北朝鮮で毎年9月は、秋の招募(徴兵)の季節だ。対象は、高等中学校(高校)を卒業した男女で、男性は8年、女性は5年という長い兵役に就く。それだけあって、親たちの心配は尽きない。特に「あの部隊」だけは行ってほしくないと願っているようだ。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。 咸鏡北道(ハムギョンブクト)清津(チョンジン)の情報筋は、8月末になって、秋の招募が始まり、市内の各区域の軍事動員部(兵役関連の人事を司る部署)の前は、通知を受けてやってきた若者で溢れかえり、通 ...