北朝鮮の要人らを襲う「謎の交通事故」に暗殺計画の疑い

しかし、今回の事件はどうも様子が異なるようだ。車には保衛部長以外にも運転兵など3人が同乗していたが、いずれも怪我すらしていないというのだ。

旅団と連隊の指揮部は、単純な事故ではなく「誰かの陰謀により意図的に殺害された可能性がある」と見て、事故当日に車を運転していた運転兵、その他同乗者、側近に至るまで取り調べを行っているが、今のところ何もわかっていないと情報筋は伝えた。

「交通事故を装った暗殺」という噂は、北朝鮮で非常によくあることだ。

「走り屋」金正恩

例えば、官僚機構のトップに君臨する朝鮮労働党組織指導部の第1副部長ら3人が、2010年から2011年にかけての9カ月間に相次いで死亡したが、そのうちの一人、2010年6月に交通事故で亡くなった李済鋼(リ・ジェガン)氏を巡っては、後に処刑された張成沢(チャン・ソンテク)元党行政部長の政敵だったこともあり、「交通事故を装った暗殺ではないか」との噂が立った。(参考記事:北朝鮮、9ヶ月間で労働党幹部3人死亡のミステリー