「金正恩は最初に何人か処刑する」独特の統治ノウハウの落とし穴
金正恩氏がこうした処刑を続けていた期間、北朝鮮の官僚たちは相当に委縮しただろう。実際のところ、北朝鮮のようにカネもモノも足りない環境下では、現場の責任者たちが様々な場面で機転をきかせ、あるいは英断を下すことなしに、社会は回って行かない。
ということは、彼らを委縮させる金正恩氏の恐怖政治は、どうにかこうにか回ってきた北朝鮮社会の歯車を、完全に狂わせてしまう可能性が低くないのだ。この間、北朝鮮経済の中でそのような現象が表れたかどうかを検証するのは難しいが、恐怖政治がプラスに働いたとはとうてい思えない。
金正恩氏は昨年も、経済部門の視察で一度ならずブチ切れている。それでも、担当者が処刑されたとの話は聞かない。もしかしたら彼も、何らかの反省をしたのだろうか。(つづく:公開処刑は空から見られていた…証拠をつかまれた金正恩氏)
(参考記事:「死刑囚は体が半分なくなった」北朝鮮、公開処刑の生々しい実態)