直撃肉声レポート…北朝鮮「工作員」関西弁でかく語りき
中小企業支援のための公的な貸付制度を悪用。会社がアスベスト除去の新規事業を行うと装い、設備投資を行うと偽った見積書や融資の申請書を提出して、兵庫県と日本政策金融公庫から融資金計約2500万円をだまし取ったというものだ。これだけを見れば、純然たる経済事犯である。
ただ、これがYの活動を知るための「入口」として立件されたものであることは明らかだった。実際、捜査・裁判の過程でもYは従犯と認定されており、「融資を受けないか」と持ちかけた金融ブローカーこそ主犯だったと明かされている。
「(詐欺は)家業の資金繰りが苦しくてやったことや。それでも非は自分にある。取り調べにも素直に応じた。なのに、ぜんぜん保釈が認められず約100日も拘置された。取調官は朝から晩まで、工作活動がどうのとそんな話ばっかりや」(Y)
Yの活動の主な内容は、軍事や政治経済の公開情報を収集する「OSINT」(オシント)だったと見られている。これは「オープン・ソース・インテリジェンス」を略した言葉で、情報源となるのは各種報道や書籍、論文など、ほとんど誰もが入手可能なものだ。
「本人は府警に対して、集めた情報を北朝鮮の人間に渡していたことは認めています。ただ目的については、『日朝関係の発展のため』との主張で一貫しているようです」(全国紙記者)
脱北者の関係団体に接近
もっともYの場合、単なるオシントではなく、より積極的な行動に出ていたようだ。公安関係者が話す。