直撃肉声レポート…北朝鮮「工作員」関西弁でかく語りき

「その団体が出している本があるやろ。北朝鮮の飢餓の現状なんかを、写真入りで詳しくまとめているやつ。あれを北朝鮮の人間に渡したら、『こんなの初めて見た』と言うて、涙を流しとったんや。それで、こういう情報も本国には必要なんやと……」

言わんとしていることは、わからなくもない。

北の国民生活の惨状については当然、向こうの当局も承知しているだろう。しかし、客観的なジャーナリズムなど存在せず、臭いものにはフタをする官僚組織の体質から言って、飢えに苦しむ人々の実情を写真や映像入りでまとめた報告資料が作られるはずもない。庶民とかけ離れた生活を送る高級幹部たちのほとんどは、実情を直視した経験に乏しいのだ。

しかし、支配階級といえども人の子である。生々しい情報に接し、涙することもあるだろう。そういう情報がもっと本国に伝わるべきだと考え、団体の活動にも興味を覚えた――。

Yが言いたいのは、こういうことだ。ただ、彼が自らの活動の全貌を語らない以上、それが真意であるかどうかを見極めるのは、難しいと言わざるを得ない。

暗号化ソフトを駆使

一方、府警の調べでは、Yは2カ月に1回のペースで北京や香港、タイ、マレーシア、インドネシアに渡航していた。