政治犯収容所などでの拷問・性的暴行・公開処刑の恐怖
(d)司法手続または法律外の手段による懲罰の決定
➢ 718
取調手続の終了時に、被害者は取調機関が作成した自白書の内容の正確さの確認として、指にインクを付けて指紋押捺をさせられた。国家安全保衛部では、同じ文書で取調拘置所での経験を口外しないことが義務付けられ、これに反した場合には重大な報復があると脅迫された。
➢ 719
この段階で、取調機関は、被疑者の懲罰を司法手続により行うか、裁判所を関与させずに法律外の方法で行うかの重要な決定も行う。これらの決定では、犯罪の程度、被疑者の家族の社会政治的影響力(「成分」)、事件を司法手続で快活するか法律外手段で解決するかに関する政治的都合が考慮された。
➢ 720
経験によれば、国家安全保衛部が取り扱う政治的事件では、重大な政治犯罪ほど司法を通さずに法律外で処理される率が高くなる。意思決定は高度に集中化されており、道や国の中央機関と協議されるのが通常である。取調を行った国家安全保衛部機関が重大事件であると判断した場合には、強制失踪として秘密政治犯収容所に送られるか、または簡易処刑が行われるが、そのためには少なくとも国家安全保衛部全国中央機関の判断が必要である。
➢ 721
ある者を政治犯収容所に送致するかどうかの決定に、裁判所は関与していないようである。この裁判所の排除は、国際法への違反のみならず、北朝鮮刑事訴訟法第127条にも違反している。同条によれば、道人民裁判所は終身刑を含めた政治犯罪事件の管轄権を持つ。公開裁判や処刑を通じて一般人の目に触れる見せしめとするために政治的に重要だと当局が判断した重大事件は、裁判所に送致されることもある。このような場合、国家保安省が運用する特別軍事裁判所が使用されることが少なくない。
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