「世界に暴露してくれ」ある北朝鮮兵士がロシアからかけてきた一本の電話
国に裏切られたという気持ちと、漠然とした不安感を抱いていたチュさんは2017年1月末、韓国行きを決心。現場を離脱して、ロシア駐在の国連の施設に逃げ込んだ。
それから5カ月後。彼が暮らしていた国連の難民施設に、ロシア連邦保安庁(旧KGB)の要員がやって来て、彼の身柄を引き渡すよう要求した。北朝鮮の最高検察所から、チュさんが未成年に対する性犯罪と殺人未遂の容疑者であるとの通知があったからだという。
「わが国(北朝鮮)から逃げた人を捕まえる場合に、よく使う手法をチュさんにも使った」(キム氏)
サンクト・ペテルブルグの警察署の留置場に移送された彼は、「北朝鮮に送り返されて殺される」「助けてくれ。罪はおかしていない。帰国させられれば民族反逆者にされ、生き残ることはできない」と涙を流しながら命乞いをした。
