塩水にアヘンを混ぜて注射…医薬品不足の北朝鮮で「死の民間療法」

そこで、キキョウや柳の葉、蒼朮(そうじゅつ、オケラの根)などの薬草を自宅で煎じて飲む人が多い。こうした民間療法は、北朝鮮政府がコロナに効果があるとして推奨していたものだ。

(参考記事:鼻うがい、柳の葉…北朝鮮政府が推奨する「対コロナ民間療法」

また、以前から薬の代用として使われてきたアヘンを使う事例も増えている。

平安南道(ピョンアンナムド)では昨年、高熱と痛みを訴える患者に、食塩水にアヘンの粉を混ぜたものを静脈注射し、死亡させる事件が起きている。当局は昨年末、麻薬類の乱用が急増していることから、アヘンや覚せい剤の集中取り締まりに乗り出したが、薬が手に入らない状況で代案が示せず、取り締まりもさほど成果が上がっていない。

(参考記事:【北朝鮮国民インタビュー】アヘンと塩水うがいでコロナ自主隔離に耐えた

一方、注射器の正しい使い方についての指針が示されていないため、一度使った注射器を、熱した食塩水で消毒して再利用し、別の感染症に罹患する事例も出ている。

そんな中、朝鮮労働党機関紙・労働新聞は今月2日、「医薬品の種類と生産量を増やそう」という記事で、「医薬品の需要を円滑に満たすのは、いかなる条件下でも必ず実行されるべき重大な事業」として、製薬工場に対して原材料の確保、戦略的な経営管理が必要だと主張した。