国家がどう頑張っても押し戻せない北朝鮮の「市場経済化」

上納金の額が下がったのは、商売がうまくいかないからというのが情報筋の説明だ。

商人はかつて、対岸の中国から密輸した品物を販売していた。品物を買う側の消費者も、密輸に携わっている人が多かった。しかし、2020年1月の国境封鎖、防疫停止、国境警備強化で、密輸が非常に困難になってしまった。その後、儲けはおろか、日々の糧にも事欠く状態となった。誰もがそのような有様となり、物が売れなくなってしまった。

それでも、販売員として店に入ろうとする人々には、思惑がある。

「人々は、貿易が再開されれば、中国から品物を取り寄せて儲けられるという期待感から、資金を投じて販売員として店に入ろうとしている」(情報筋)

条件の良い店に入ろうとするなら、国営商店の責任者や恵山市商業部門のイルクン(幹部)に5000元(約9万9000円)のワイロを支払わなければならない。それほど期待感が大きいのだが、不安もある。