「いずれぜんぶ崩壊」金正恩自慢のタワマン、目撃者ら証言

「未来科学者通りは金正恩が自ら旗を振った事業でもあり、当初は安全管理についても関係当局から厳しく指導されていました。しかし、現場に供給されているはずの資材が足りないといったことが、次第に増えました。現場の監督には、その問題を追及する権限がありません。横流しは、もっと上の方(上層部)がからんでいたのでしょう。しかも、どんどん工期が迫ってくる。セメントと砂の混合比率や鉄筋の使用量が、上層階に行くほどいい加減になっていきました。北朝鮮で地震はほとんど起きませんが、いずれ何かの拍子に、建物がぜんぶ崩壊してもおかしくありません」

こうした建設事業ではスピードを重視して安全を度外視することから、建設労働者の死亡事故も日常茶飯事だ。金正恩総書記はかつて、行き過ぎた速度戦を諌める発言をしてはいるものの、しばらくすると「いついつまでに完成させろ」と矛盾した発言をしている。

多くの人の命と財産を奪う悪習である速度戦。そこから抜け出すことは、かくも難しいようだ。