響き渡った女子中学生の悲鳴…北朝鮮「闇病院」での出来事

韓国の国立釜慶大学政治外交学科のイ・ソンボン教授は、「北朝鮮保健医療体系の形成過程と特徴」と題した論文で、北朝鮮の医療制度の核心的要素として無償治療制、医師担当区域制、予防医学、高麗医学の4点を挙げた。

大雑把にまとめると、北朝鮮国民なら誰もが無料で医療サービスを受けられ、地域ごとに住民の健康を管理するかかりつけ医を配置、病気を未然に防ぐための活動を行うと同時に、伝統医学にも力を入れているということだ。

論文では、北朝鮮は1948年の建国前から1980年代に至るまで、「チュチェ(主体)的保健医療体制」を構築し、医療施設や人員を拡充、同じ経済レベルの国と比べて医療施設、医療従事者の数が多く、保健医療の指標も急激に向上したと評価している。一方で、医療システムは旧共産圏からの支援に依存しており、それが途絶えた1990年代以降に急速に崩壊、西洋医学ではなく伝統医学、民間療法に頼らざるを得なくなった点も指摘している。

(参考記事:医薬品不足が深刻な北朝鮮、政府の対策は「病院で作れ」

国営の人民病院への期待を失った北朝鮮の人々は、私設のクリニック――つまりは「闇病院」で診療を受けることが少なくない。咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、そんなクリニックを営んでいた医師夫婦が摘発され、政治犯扱いされかねない状況に追い込まれていると伝えた。