北朝鮮国営の朝鮮中央通信は9日、新型コロナウイルスが流入した疑いがあるとして封鎖された開城(ケソン)市に対して金正恩党委員長が「特別支援物資」を送り、白米などを積んだ列車が7日午後、開城駅に到着したと伝えた。 この際、現地では「最高指導者金正恩党委員長が開城市民に施した配慮を伝達する集い」が行われたのだが、ここで演説を行ったのは党中央委員会の李萬建(リ・マンゴン)第1副部長(党政治局委員)だった。 李萬建氏は今年2月29日の党政治局拡大会議で党副委員長のポストから解任されてい ...

北朝鮮が軍内での物資横流しを根絶するため監督部署の再編を行ったと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。 咸鏡北道(ハムギョンブクト)の軍関連情報筋は5日、RFAに対し「最近、軍総政治局の指示に基づいて、兵士たちの補給物資供給の監督を専門とする『軍人生活検閲課』の名称が『党政策課』に変わり、人員も大幅に増えるなど、軍幹部による補給物資の横領行為に対する監視が強化された」と語ったという。 北朝鮮軍では、以前から食糧などの物資横流しが横行しており、栄養失調にかか ...

北朝鮮国営の朝鮮中央通信は7日、金正恩党委員長が、水害に見舞われた黄海北道(ファンヘプクト)銀波(ウンパ)郡の大青(テチョン)里を視察したと伝えた。 同通信によると、現地は約730棟の家屋と約600ヘクタールの田が浸水し、179棟の家屋がつぶれるなど、多くの被害が発生したという。 金正恩氏は「被害を受けた住民に寝具類と生活用品、医薬品など必須物資を早急に供給して早く安着させるのが何よりも重要だ」などと述べ、さらに復旧作業に朝鮮人民軍(北朝鮮軍)を動員するとし、「見積もった所要 ...

北朝鮮の両江道(リャンガンド)で、大量の金塊を国外に持ち出そうとした一味が摘発された件は、デイリーNKジャパンでも既報のとおりだ。 容疑者をめぐっては当初から重罰が下されることが予想されていたが、予想を超える厳しい処罰が行われた模様だ。現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。 (参考記事:金正恩政権の高官関与か「金塊58キロ密輸で処刑確実」) この事件は、40代男性の密輸業者が先月2日、国境を流れる鴨緑江で中国側に金塊58キロを密輸しようとしたが、加担していた国境警備隊中隊の保 ...

日本の鉄道史における最悪の事故は、1944年12月に起きた沖縄県営鉄道輸送弾薬爆発事故だ。列車に積まれた武器、弾薬、ガソリンが蒸気機関車の火花に引火し、乗っていた兵士、学生など220人以上が死亡する大惨事となった。可燃性物質を無蓋貨車に載せてはならないという規則違反が招いた事故だった。 このような大事故は、戦時中から戦後の混乱期に集中して起きているが、北朝鮮では平時にも頻発している。例えば、1979年には咸鏡南道(ハムギョンナムド)の咸興(ハムン)で貨物列車が爆発、通勤列車が ...

1980年代以前の北朝鮮は、非常に犯罪の少ない国だったと言われている。配給システムが機能し、住宅から食料品に至るまでほとんどのものを国が無料、または安価に配給し、「貧しくとも生きていける皆が平等」な国だったからだ。もちろん、特権層は存在したのだが。 ところが、1990年代後半の未曾有の食糧危機「苦難の行軍」を前後して配給システムが崩壊し、餓死者が続出した。生きるために市場で商売する者もいれば、犯罪に走る者もいた。極度に悪化した治安対策として金正日総書記は「犯罪者はその場で処刑 ...

北朝鮮の金氏一家3代(金日成・金正日・金正恩)の世襲体制と思想に反する住民を閉じ込め、監視するために重要な役割を担っているのが、「管理所」と呼ばれる政治犯収容所だ。そこでは、あらゆる形態の虐待と人権侵害が横行しているとされる。 その実態は厚いベールに包まれているが、近年になって収監者数が大幅に増えたとの情報が出ている。 (参考記事:若い女性を「ニオイ拷問」で死なせる北朝鮮刑務所の実態) 韓国デイリーNKの複数の内部情報筋によると、2012年にスタートを切った金正恩体制の初期に ...

かつて、北朝鮮で「肉談」と呼ばれる話が大流行した時代があった。そのきっかけを作ったのは、なんと金正日総書記だった。咸鏡北道(ハムギョンブクト)の名勝、七宝山(チルボサン)を訪れた際、観光ガイドが肉談を折り混ぜた解説をしたところ、金正日氏が大喜びしたのだ。 それをきっかけに、各地の名所旧跡が同じように肉談解説を始め、国営の出版社が肉談集を先を争って出版するなど、それまでは禁じられていた文化が一気に市民権を得たのだ。 その後またもや状況が変わり、文化は禁じられてしまった。しかし視 ...

都市インフラの安全対策がずさんな北朝鮮では、しばしば大規模な爆発事故が発生。多数の犠牲者が出ている。 国境の川・鴨緑江(アムロクカン)をはさみ中国の対岸に位置する北朝鮮の新義州(シニジュ)市では最近、大規模な列車火災があった。筆者は北朝鮮の列車火災と聞いて、2004年4月に龍川(リョンチョン)で起きた大爆発事故の記憶がよぎった。8000棟の建物が吹き飛び、1500人が死傷した悪夢のような大惨事である。 (参考記事:【写真と動画】大規模火災で黒煙が空高く立ち上る新義州) そして ...

北朝鮮の国営メディアは19日、金正恩党委員長が平壌総合病院の建設現場を視察し、現場の幹部らを厳しく叱責したことを報道。その様子を映像(下)も交えて生々しく伝えた。 金正恩氏が、自身の怒りを外部にさらけ出すのはこれが初めてではない。同氏は2016年、スッポン工場を視察した際に管理不備に激怒し、支配人を銃殺。怒りを爆発させる様子をテレビ放映させ、自らの残忍さを見せつけた。 (参考記事:【動画】金正恩氏、スッポン工場で「処刑前」の現地指導) 今回の建設現場の視察では、同プロジェクト ...

北朝鮮の護衛司令部は、金正恩党委員長やその家族の身辺警護、関連施設の警備を担当する超エリート部隊だ。それだけあって、身体能力が高いだけではなく、成分(身分)に一点の曇りすらあってはならない。選抜過程においては、最高で17親等まで調査するという徹底ぶりだ。 かつては北朝鮮の親にとって、自分の息子が護衛司令部に選抜されるとなれば、相当な名誉だった。息子の出世も、家族の安泰も保証されていた。そのため成分が良いだけでは選抜されず、審査過程ではワイロが飛び交うと言われていた。 もっとも ...

北朝鮮において、金(ゴールド)は朝鮮労働党の重要な資金源となっているため、一般人の所有、売買は禁止されている。違反した場合は政治犯扱いされかねず、重罪を免れない。ましてや輸出などもってのほかだ。 その禁を破って、大量の金塊を持ち出そうとしていた一団が摘発されたが、そこに中央の幹部が関わっていたようなのだ。 両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が説明した、事件のあらましは次のようなものだ。 場所は両江道の恵山(ヘサン)。国境を流れる鴨緑江を挟んで中国と向かい合い、以前 ...

中国遼寧省の丹東市は、鴨緑江越しに北朝鮮を眺められるとして内外から多くの観光客が訪れる。中でも人気を集めているのは、北朝鮮の目と鼻の先ま接近する遊覧船だ。国境は川の真ん中に引かれているのではなく、共同管理という位置づけなので、相手国に接岸しない限りは航行が自由なのだ。 遊覧船が人気なのは北朝鮮側も同じだ。ときには、乗客が鈴なりになっている遊覧船を見かけることもあったが、今では運航できなくなっている。北朝鮮は今年1月末から、国境を閉鎖し、防疫を停止すると同時に、船舶の出港を禁止 ...

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は28日、北朝鮮の拘禁施設で脱北に失敗した女性らに対する性的暴力の横行が続いていると告発する報告書を発表した。 北朝鮮の金正恩体制は、こうした人権問題で非難されることを最も嫌っている。金正恩党委員長の妹である金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党第1副部長は今月10日に発表した談話で「(米国が)朝米関係の改善に先だって『人権問題』が『解決』されるべきだと喧伝してわれわれの『人権実態』に言い掛かりをつけた」と述べ、露骨に不快感を示した。 今回、 ...

最近、北朝鮮と中国の間にただならぬ空気が流れている。とは言っても、両国の外交関係が悪化したわけではない。現場レベルでのイザコザが絶えないのだ。 今年5月末、北朝鮮の両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)と、中国の吉林省長白朝鮮族自治県を流れる鴨緑江で、北朝鮮の国境警備隊が中国人密輸業者の50代男性を射殺する事件が起きている。 北朝鮮は、新型コロナウイルスの国内流入を恐れ、中国に対して自国民を国境地帯に近づけないように警告を発していたが、中国側は銃器使用については「絶対に反対する ...

現在、Netflixで配信中の韓流ドラマ「愛の不時着」。パラグライダーの事故で北朝鮮領土に落ちてしまった韓国の財閥令嬢ユン・セリと、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の生真面目な将校リ・ジョンヒョクが南北を股にかけて繰り広げるラブコメディだが、そこに描かれるリアルな北朝鮮の姿にも注目が集まる。 例えば、空腹を訴えるセリのためにジョンヒョクがトウモロコシ麺を作るシーン、村の人々が一堂に会して律動体操(北朝鮮版ラジオ体操)を踊るシーンなど、北朝鮮のプロパガンダメディアに登場することのない、飾 ...