金正恩体制に暗雲…食べ物がない「絶糧世帯」が急増中

実際、国連世界食糧計画(WFP)と国連食糧農業機関(FAO)は今月に入り、北朝鮮の食糧事情がここ10年で最悪となりそうだとの報告書を発表したが、これに対しては、韓国の専門家の間にも批判的な見方がある。

報告書が北朝鮮側の一方的な情報提供に基づいて作成されているほか、そもそもこうした分析のすべての基礎となる総人口について、北朝鮮が大幅な「水増し」をしているのではないか、との主張がかねてからあるのだ。

しかしいずれにせよ、北朝鮮の国民生活が苦しい状況にあるのは事実のようだ。北朝鮮各地のデイリーNK内部情報筋が、その惨状を伝えている。

平安南道(ピョンアンナムド)の情報筋は、農作業を始める季節となったのに、食べるものがなく力が出ずに、家で横になって休んでいる人が多く、農場にやってきた人も陰で横になって休んでいる人がいると伝えた。そんな有様なので、田植えも進んでいないという。

絶糧世帯は従来、出現してもさほど多くなく、国の管理を受けられたが、今年は事情が異なり、個人耕作地に植えるための種や苗も食べ尽くし、「トウモロコシ高利貸し」に手を出す人も多い。カネの代わりにトウモロコシを借りて、秋の収穫で返すというものだが、返済できない人も少なくない。

(参考記事:女性の「値段」はトウモロコシ1キロ…金正恩氏が生み出す飢餓農場

また従来は、食べるのを我慢してトウモロコシを畑に植え、必然的に5月末や6月初めに食べるものがなくなる現象があった。それが今年は、種を蒔く気力すらないほど飢えが広がっているということだ。