「報復殺人」で警察官70人死亡…秩序崩壊に向かう北朝鮮社会
こうした事件の多くは、無実の罪を着せられ、刑務所での服役を余儀なくされた人々の報復と見られている。
北朝鮮の保安員は取り締まりの権限を振りかざし、庶民からワイロを搾り取ることを生業としている。要求に応じなければ様々な言いがかりをつけて逮捕し、刑務所送りにすることもある。また、同様のやり方で女性に性行為を強要することもあり、悪徳保安員に対する庶民の恨みは深い。
(参考記事:「私たちは性的なおもちゃ」被害女性たちの血のにじむ証言を読む)ただ、報復殺人の背景がどのようなものであっても、大衆の権力に対する挑戦を北朝鮮当局が見過ごすはずはない。北朝鮮当局にとっての「守るべき秩序」とは、金正恩体制を維持するために必要な秩序のことだからだ。
(参考記事:抗議する労働者を戦車で轢殺…北朝鮮「黄海製鉄所の虐殺」)北朝鮮当局がここへ来て公開処刑を再開したのは、経済難による社会の動揺が、金正恩体制の足元を揺さぶる危険性を感じ取ったからではないだろうか。(つづく:杭に縛り付けた2人を火炎放射器で灰に…金正恩時代の処刑方法)