北朝鮮権力に「虐殺者の3代目」vs「罪なき4代目」の新たな構図
こうした態度を取ったからには、ハンソル氏が北朝鮮本国へ帰国することは難しい。現時点で彼がどこにいるのかは不明だが、滞在先で亡命となる可能性が高い。
ハンソル氏の今回の動きに対して、「亡命政権樹立が早まる」などという見方も見受けられる。しかし、若干21歳の彼がそこまで見据えているのかについて筆者は懐疑的だ。動画を投稿した動機は、実の父親が殺害されたにもかかわらず、その存在も殺害された事実も隠蔽しようとする祖国、すなわち北朝鮮に対する抗議の意志が大きいように思える。それでも、その勇気には最大限の敬意を表したい。
今後、ハンソル氏が国際社会から金正恩氏の対抗勢力のような存在として見られるのは避けられないだろう。本人の意思はどうであれ、ハンソル氏は金正男氏同様、金正恩氏を脅かしかねない存在に浮上したのだ。
(参考記事:金正恩氏を脅かしかねない「甥っ子」の勇気)