北朝鮮が「刑務所」を大幅増強…犯罪率上昇で統制強化

建物の配置はコの字型になっているが、脱北者によれば、これは北朝鮮の教化所でよく見られる構造だという。そのためサンドタイムズは、黄州の収容所は管理所ではなく教化所である可能性が高いと分析している。

また、新義州(シニジュ)、沙里院(サリウォン)、川内(チョンネ)の各教化所では2023年12月から、咸興(ハムン)教化所では今年初めから増築工事が行われている。

北朝鮮で近年、犯罪率が上昇していると伝えられている中での教化所の新築、増築は、統制の強化を目的としたものと見られる。

北朝鮮当局は近年、「反動的で反社会主義的思想文化の流入・流布を阻止し、思想陣地、革命陣地、階級陣地を強化する」として、反動思想文化排撃法、青年教養保障法、平壌文化語保護法、国家秘密保護法など、住民生活の統制を強化する法律を次々と制定している。

また、一般的な刑事犯罪も増えていると見られる。公式な統計はないが、最近の北朝鮮メディア報道では市場での密売摘発に関する記事が増加しており、「密売は死刑に処される可能性がある」といった警告文もコロナ後多く見られるようになった。

(参考記事:飢える北朝鮮「禁断の食肉マフィア」男女9人を公開処刑

一般的に拘禁、矯正施設の新築や増築は、収容者の人権状況改善に繋がるが、世界最悪の人権国家である北朝鮮の中でも、さらに人権が蹂躙されている教化所の施設が新しくなったからと、人権状況が改善するものではない。結局は、国内外に対するプロパガンダ目的の見せかけだけの施設にとどまるだろう。