「禁断の書」を持っていた北朝鮮女性、密告され処刑

金の無心にやって来たのだったが、断られてしまった。シンさんが、金の代わりにワカメを持たせようと倉庫に入ったところ、友人はダンボール箱の中にある聖書を発見して、保衛部に密告した。

シンさんは取り調べで、新浦(シンポ)造船所など重要施設周辺の地形に関する資料を外国に送ったことを認めた。そして、敵国の書籍である聖書を国内に拡散させ、党に対する国民の信頼を貶め、社会主義を脅かす反党、反国家行為を行ったのみならず、スパイ行為まで行った容疑で、非公開で処刑された。

(参考記事:北朝鮮の秘密警察に「ハンマーで処刑」された女性経営者の罪状

事件のことを耳にした市民の間では、保衛部のやり方に疑問の声が上がっている。

シンさんが聖書を読んだことは事実だが、スパイ行為については信じられないとのだ。また、聖書を読んだくらいで処刑するのはひどすぎる、密告した女性が新浦居住というだけで、潜水艦基地の周辺の地図を渡したとするのは濡れ衣だろうという反応を示している。さらには「スパイ行為をすればこういうことになるとの見せしめのためにやったのではないか」との見方も示された。

密告した女性に対する非難の声もある。北朝鮮の人々は、密告者を見つけると徹底的に排除しようとする。放置しておけば、自分が密告されるかもしれないという恐怖心からだ。この女性が新浦で生活を営んでいくのは、もはや困難かもしれない。

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