「米国で建造」「いや国内で」 韓国原潜計画、同盟の歯車かみ合わず混乱
韓国の元国会議員キム・ジョンデ氏はハンギョレ新聞への寄稿で「米国の軍産複合体には、このような韓国の(原潜)計画を拒否する理由はない。核燃料の供給をエサとして韓国の潜水艦の一部でも米国の造船所で作らせることができるなら、議会も無理に国防予算を増額しなくて済む」と述べている。つまりは、トランプ氏による「承認」は、米軍産複合体が原潜を韓国に「売りつける」構図につながるとの指摘だ。同氏はまた、高価な原潜を導入しても、核抑止力を持たない韓国では実効性が乏しいと批判している。
「2030年代進水」計画も揺らぐ
韓国政府は当初、2030年代半ばの原潜進水を目標に掲げていた。だが、技術移転や核燃料供給をめぐる合意が遅れれば、スケジュールの見直しは不可避とみられる。加えて、インフレによる製造コスト高騰も重くのしかかる。
専門家の間では、「原潜建造に固執するより、AIとドローン技術を基盤とした分散型の海洋防衛戦略に転換すべきだ」との声も強い。朝鮮半島周辺の浅い海では、巨大潜水艦よりもセンサー網と無人機の方が実戦的だという。
今回の原潜計画は、米韓同盟の象徴となるか、それとも高コストの「空転プロジェクト」に終わるのか。
米国は産業振興の思惑を隠さず、韓国は主権的建造を主張する。両国の利害が一致しない限り、原潜計画は「政治的リスク」として長期化する可能性が高い。