北朝鮮国民が寄ってたかって盗み出す「金正恩の金塊」

軍の外貨稼ぎ基地も独立採算制であるため、買い取った金の原石を民間人に販売している。上述の通り、本来なら重罪のはずの金の売買が、皆が生き残るために必要であるとして黙認されているのだ。

ちなみに鉱山は外貨稼ぎ基地に10トン100ドル(約1万5500円)で売り渡すが、外貨稼ぎ基地はその2〜3倍の値段を付けて民間人に売っている。

買い取った人は、家族や親しい知人などとグループで金の精錬を行うが、彼らは青化法という、原石を砕いた後、青酸カリの水溶液をかけて金を溶かし、それを亜鉛と反応させて金を抽出する手法を使っている。効率的に純度の高い金が得られるが、毒性の高いシアン化合物による環境汚染が懸念される。

食い詰めた技術者が

こうしてできた金塊は、ブローカーを経て新義州(シニジュ)一帯で活動する密売人の手にわたり、中国に密輸出される。