「中国離れ」「ロシア接近」の代償 北朝鮮経済が直面する崩壊リスク
故金正日総書記は市場経済の発展を嫌い、2009年11月に貨幣改革を通じて市場を潰そうとした。旧紙幣を銀行に預けさせ、交換限度額を定めて新紙幣に交換し、民間に蓄積された富を蒸発させ、市場も閉鎖した。(参考記事:「泣き叫ぶ妻子に村中が…」北朝鮮で最も”残酷な夜”)
経済と社会は大混乱に陥り、激しいインフレが発生した。政策責任者を銃殺することで混乱の収拾を図ったが、その影響は長年残った。その後10年を経て市場経済の進展によりようやく生活が安定しつつあった矢先に、金正恩氏は再び市場を取り潰しにかかっている。
北朝鮮には現在、500以上の市場が存在し、人々の生活の中心であるだけでなく、商人から徴収される市場使用料が地方政府の予算や教師の給与などに割り当てられている。この財源が失われれば行政サービスは停止する。当局は、その穴を埋めるために、「税金外の負担」と呼ばれる法的裏付けのない金品を住民から取り立て、生活をさらに困難に追い込んでいる。